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心に余裕が出来たのは良かったが、なぜここで聞く?

「えぇ、っと。まぁ、仮に俺が優しい奴だったとして、それが今の話に関係あるか?」

「あります。さっき言った通り、情で私と共に居るのかもしれない。そう思うと、私は苦しいのです。迷惑になっていないか、無理をさせていないか。今回も、私が基本攻撃魔法を放つことが出来れば何も考えなくてよかったのです。私が出来れば……」

「出来るようになるだろう」


 言うと、リヒトはなぜか舌打ちして俺の胸ぐらを掴んできた!?


「なんでそんなに簡単に言うんですか!!」

「待って待って!! 落ちる落ちる!!」


 意外とバランス保つの難しんだからな!?

 やめてやめて!! 怖いって!!


「適当なことを言わないでください!! 私は!! 出来損ないなんです!! 役に立てない役立たずなんです!! カガミヤさんみたいにやれば出来るでは出来ないんですよ!! 出来ない人の気持ちも考えてください!!」


 お、おう…………。

 息が荒くなっているが、大丈夫か?


「はぁ、はぁ…………」

「お、おぉ……?」


 まさか、ここまで言われるとは……。

 ……出来ない、か。やれば出来ると思われてんのか、俺。


「おい、お前こそ適当なことを言ってんじゃねぇぞ。俺は、やれば出来るわけじゃねぇ」

「なら、今までのは――……」

「出来ると思っているから出来るんだ」


 素直に言うと、リヒトは一瞬息を飲んだ。


「っ、同じ、じゃないですか」

「違う」

「何が違うんですか!!」

「出来ないと思っていれば出来るわけがない。出来ると自分を信じれば出来るんだよ。魔法は、想像だろ? 出来る自分が想像できていないのなら、出来るわけがねぇーだろ」


 魔法の原理を知ったのは最近だけどな。


 俺の場合は、周りに出来ると言われたら出来るんだなぁと考えていたし、出来ないと命が危険だったからやらざるを得なかった。


 リヒトと状況が違うんだし、比べても意味は無いだろ。


「…………でも、それは貴方が今まで出来てきたからで……」

「お前も今まで成功して来ただろうが」

「慰めはいらないです」

「慰めじゃねぇよ。鎖魔法や回復魔法に今までどれだけ助けられたことか。お前がいなかったら俺は確実に今までに何度も死んでるぞ」


 今までのダンジョン攻略や管理者との戦いを本当に思い出してくれ。

 俺は、お前に命すら助けられている。だから、出来ると思ってんだよ。


「…………でも、私は……」

「なぁ、そもそもなんだが、俺は迷惑をかけていないのか?」

「……え?」

「お前は、俺が出来る奴と思っているらしいが、それなら俺は人に迷惑をかけていないのか? 完璧になんでも出来るのか? お前の目には、俺がどう映っている?」


 聞くと、今度はリヒトがポカンと目を丸くした。

 思い出すように唸ると、次はいきなり渋い顔を浮べる。


 な、なにその顔、何を思っている顔なの?


「た、確かにカガミヤさんは、トラブルメーカーと誰かに言われていましたね。それにお金にはがめつく、自分に優位に働く事しか快く引き受けない方でした……」

「そこまで言うか」

「これも事実です」

「確かに」


 だって、俺は俺に得のある事でしか動きたくないんだもん。

 めんどくさいし、体力の無駄になるし。


「それでも、カガミヤさんは必ず最後には困っている人を助けてしまうんですよね。本当にすごい方です」

「はいはい。まぁ、そういうことだ。人間、絶対に誰にも迷惑かけないなんてことはないんだ。役に立つのと同じくらい、人に迷惑をかけて生きるのが人間だ。だから、どんどん迷惑をかけろ。そんで、バンバン役に立て。それが、仲間なんじゃないのか?」


 俺は、この世界で少しは学んだ。

 最初は、人なんて信じられなかった。

 絶対に、人を信じてはいけないと、利用するだけでいいと思っていた。


 でも、お前ら二人のことは初めて、信じたいと思えたんだ。

 アルカとリヒト。お前らだけは、俺を裏切らないと、そう俺は思った。


 そこからだぞ、情に流され始めたの。

 お前らのせいという言い方も出来るが、お前らのおかげでこんだけの仲間を作る事が出来た。


 まぁ、これは言ってやらねぇけどな!! 恥ずいから!


「…………そう、いうものなんですか」

「そういうものだ。当たり前だろう、常識だ常識」

「はぁ……」


 まだ信じていないだろうなぁ。

 はぁ、これはどう言えばいいんだよ……。


「…………ふふっ、ありがとうございます。なんだか、今でしたら少しだけ、出来るイメージが出来そうです」

「そうか、それならよかった」


 出来る想像が少しでも出来たのなら良かったよ。

 今のこの時間も、無駄ではなかったらしい。


「ところで、カガミヤさん」

「なんだ?」

「あ、あの……」

「ん?」


 なんだ? なんか、顔が赤くないか?


「あの、あの……。カガミヤさんは、その、今もまだ、彼女とかって考えていないんですか?」

「考える余裕あると思うか?」


 なにを聞かれているんだ、俺。


「それって、考える余裕があれば考えると言う事ですか!?」

「それはない」

「…………私、頑張りますから」

「その頑張りは、違う所に活かしてくれ」


 まぁ、元気になったみたいで良かったよ。

 心に余裕が出来たようで何よりです。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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