なんか、逆の立場になってしまった。
目印を付けながら歩いているんだけど、中々開けたところにたどり着かない。
「森の中だから仕方がないけど、開けてる場所ないな。やっぱり、みんなの所に戻らんと星空は見えないか」
そんな事を言うと、何故かリヒトが俺の手を強く握った。
戻りたくないのか? そんなに不安なんか?
「…………なぁ、今まであまり詳しく聞いてこなかったが、なんでそんなに不安なんだ? なにが具体的に不安なのか、言葉に出来るか?」
後ろを歩くリヒトに聞いてみるけど、返答はない。
言葉に出来ないのだろうか。
後ろをチラッと見てみるけど、顔を下げているから表情から読み取れない。
これ以上質問してもいいのか。待った方がいいのか。
うーん、悩ましい。
悩んでいると、リヒトが足を止めた。
後ろにくいっと引っ張られたから足を止めて振り向くと、リヒトはまだ顔を下げたまま。
どうすればいいんだ、誰か、助けて。
「えぇっと、リヒト? 今、何を考えてるんだ?」
「透視を使えばわかるんじゃないんですか」
根に持ってらっしゃいますね。
透視を使い過ぎると疲れるから嫌なんだよなぁ。
それに、罪悪感もまったくないわけではない。出来れば話してほしいのだが……。
「別に、使ってもいいですよ。私、うまく言葉に出来ませんので」
「そうか。まぁ、時間ならまだあるし、ゆっくり話そうか」
「いえ、だから、透視を使っても――……」
「星空、どこまで行っても見えそうにないな」
上を見上げるけど、やっぱり木に阻まれ星空は見えない。
はぁ、しかたがない。
「リヒト、暴れるなよ?」
「はぃ? ――――え、カガミヤさん!?」
よいしょっと。
やっぱり軽いなぁ。横抱きしても、全然余裕。
俺にも筋肉付いたという事だろうか。
なんか、嬉しいような、なんとなく微妙な感じ。
「ala・water」
水の翼を作り、空へと羽ばたいた。
「え、え!? ええぇぇぇえええ!?」
…………うるせぇ。
リヒトの声に耐えながら上空へと飛ぶ。
周りの木より高く上がったところで止まると、ちょうど地平線が見えるようになった。
満天の星空、静まり返っている世界。
全方位、星に囲まれている。目を奪われる光景に、さっきまで落ち込んでいたリヒトも目を輝かせた。
「────すごい」
「あぁ、ここまで綺麗だとは正直思ってなかったわ」
俺も目を奪われる。
視界に広がる星空、地平線。その手前には街があるのか、光が宿っていた。
「…………カガミヤさん」
「なんだ?」
「私は今まで、カガミヤさんの役に立てていたのか、凄く不安なんです。また、捨てられないか、不安なんです」
うーん、なんで伝わらないのだろうか。
なんで、ここまで自分を追い込めるんだろうか。
「…………自己評価が低いのは、もうお前の性格だ、仕方がない。だが、仮にお前が今まで役に立っていなかったとしたら、なんで今お前は俺達と共に行動できると思う?」
「それは、カガミヤさんが私を捨てなかったから」
「なんで俺がお前を捨てなかったと思う?」
「…………情?」
もう、適当じゃねぇかよ。
「俺が人に情を持つ優しい奴にお前は見えていたのか?」
「…………」
リヒトが言葉を詰まらせたという事は、そこまで俺は優しくないと思っていたらしい。
ふん、当然だ。俺だって誰彼構わず優しくする訳ねぇし、金がもらえない限りは手助けなんてしない。
そんな奴が情だけでここまで同じ人と行動するなんてありえない。それは理解してくれ。
「つまり、俺はお前と共に居る事で俺に得があるということだ。役に立っている。現状がそう言っているだろう。だから、そこまで自分を追い込めるな。追い込めたところでデメリットしかない」
…………これでも、だめ、か?
リヒトを見るけど、ポカンと唖然としているだけで、良かったのか、考えを改めてくれたのか、わからない。
「だから――……」
「カガミヤさんは、自分の事優しくないと思っているんですね」
「ん? いきなりなんだよ」
どうした、急に。
「思っていますよね?」
「思っているが?」
え、なんで俺今、ため息吐かれたの。
「…………カガミヤさん、貴方は情に流されやすい方ですよ」
「それはない」
「嘘です。いえ、気づいていないだけです。貴方は優しい!! わかりましたか!?」
な、なんで俺が説得されてるの?
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