厄介な魔力をお持ちのようで
恋心だのなんだのってもうどうでもいいからと言う話になり、リヒトにはさっき俺が行ったことを意識してacquaを出してもらう事にした。
でも、そう簡単に出来る訳もなく、今までと変わらない。
杖に魔力が込められるだけで、acquaは出ない。
「まだ怖いのか? ここにいるメンバーだったら最悪、四方に飛び散っても問題ないぞ。自分で自分は守れる」
「それは、わかっていますよ。私なんかでここにいる人達を倒せるなんて微塵も思っていません」
そこまでは言っていません。
「でも、怖いんです。出せない事にも、出してしまった後も。怖いんです」
あぁ、落ち込んでしまった。
でも、ここで諦めても困るんだよなぁ。
…………困らんか。
「仕方がない。今回はエトワール一人で魔法学校に編入するか。頼めるだろ?」
俺から頼んでいるんだし、断るはずないだろう。
めんどくさいくらいテンション上げて「任せてください!」とか言ってきそう。
そう思っていたのに――……
「今回ばかりは、知里さんに頼まれても頷くことは難しいですね」
「え?」
う、うそだろ?
な、なんで? どうして?
「どうして頼まれてくれないの?」
「ぐはっ!!!! あ、アマリア、さま。あの、く、首を傾げて、き、かないで、ください…………死にます」
「理由を話してから死んで」
いやいや、今死んでもらったら困るからやめて。
「んで、なんでエトワール一人で編入は出来ないんだ?」
「えっとですね。これからのダンジョン、絶対にリヒトさんの成長は不可欠だと思うんですよ」
「確かにそうだが、出来ない物は仕方がないだろ? 他の所で補う形でいいだろう」
「今、この中で一番成長できる可能性があるのがアルカさんとリヒトさんなので、リヒトさんには勉強を受けていただきたいのです。アルカさんは実戦で強くなるタイプなので、勉強をしなくても問題はないかと」
アルカに勉強をさせても意味ないし、魔法使いと言うより戦士よりだったから特に考えていなかったが、リヒトは頭でも考えられるタイプ。
勉強を受けて魔法の知識を得て、様々な魔法を使いこなしてくれた方がいいか。
リヒトの編入は、本当に編入だったな、潜入ではなく。
エトワールは、完全に潜入だけど。
「だから、今回ばかりは諦めて欲しくないのです。なので、道中何回か試しましょう。どうせ、三日以上はかかります。焦らず、ゆっくり行っていきましょう」
「すいません、ご迷惑をおかけします……」
リヒトがだいぶ落ち込んでしまった。
でも、ここで無理やり元気づけてもなぁ。
まぁ、言葉でどうにかなるほど甘くないし、訓練を続けるしかないか。
「何か言ってやらんのか」
「まさか、ソフィアからそんなことを言われるなんて思わなかったな。アマリア辺りから言われると思ってた」
アマリアを見るけど、俺と同じように驚いている。
やっぱり、ソフィアの行動は予想外だったんだ。
「アンキにいつも言われていたからな。こういう空気感になった時、アンキは何かしら声をかけていたから気になっただけだ。何もないのならいい、時間の無駄だ」
お、おぉ。
さっぱりしてんなぁ。まぁ、ソフィアだしね、こういう感じになるか。
あっ、一人進んでしまった。
アマリアも行っちまうし……。
ロゼ姫は、リヒトの背中を撫で声をかけている。
うーん、個性豊かなパーティーだ。
※
「なぁ、そんなにリヒトの魔法と言うか、魔力? は厄介なのか?」
「リヒトの場合は、想像がまだ足りないのか。恐怖心が勝って、せっかく想像しているのに魔力が揺れているのか。どっちかだと思うんだよね。まぁ、様々な属性が体の中に入っているから、それが邪魔している可能性もあるんだけど。もう魔力を整える時間もない。人より強く想像する事が一番の近道だと思うんだよね。わからないけど」
大きすぎる力には、それ相応の何かがあるって事だな。
そればかりは代償だから仕方がない。
「うーん。想像力ねぇ。どうすればいいんだろうなぁ」
「知里が魔法を見せ続ければいいんじゃない?」
「……………………え?」
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