何でこうもめんどくさい事が道中に転がっているんだよ
――――シュッ
「どわっぶね!?」
「油断したな、いつでも警戒を解くなと言っていただろう」
「殺気を出さないのは反則だろうが…………」
木々の隙間から姿を現したのは、ソフィアとアンキ。
目が合ったかと思えば、急に姿を消したソフィア。次に姿を現した時には俺の足元。拳を突き上げてきたから、後ろに体を逸らし避けたんだが……。
「なんでいきなり俺、襲われたん?」
「なんとなく」
「なんとなくで俺、死にかけたのか?」
「暇つぶしだ」
「てめぇ都合じゃねぇか!!」
ソフィアの後ろでアンキは笑い転げてるしよぉ……。
アマリアも笑ってんのわかってっからなぁ、このやろう。
「こちらの方は?」
「え? あぁ、エトワールは知らないのか」
「んー。私、男性の場合は、性癖の塊の方ではないと覚えられないんですよねぇ~」
聞かなければ良かった。
それなら俺とアマリアはお前の性癖の塊と言う事になるんだが?
そこは突っ込まないでおこう。
アマリアにも目で制しさせられたし。
「ごっほん。こいつは元殺し屋のソフィア。仲間……? ではないか?」
「それより、なんでここにいる。ここがどこなのかわかってんのか?」
ぶった切られたな……。
ソフィアがエトワールなどどうでもいいように、俺へと向き直す。
ここがどういう所なのかって、ザデットって事しかわからんぞ、俺。
不良のたまり場だっていうのはさっき聞いたけど。
「元殺し屋……。なるほど、それならここにいるのも納得ですね。ここは、野蛮な人が住みやすい環境ですので」
ん? エトワールが複雑そうな顔を浮かべている。
殺し屋と言うのは確かに物騒だけど、ソフィアは……まぁ、本気で殺そうとしてこないし、大丈夫だろ。
さっきのは、許さないけどな。
「拠点と呼ばれるほどじゃないけどな。それがどうした」
「なぜ、殺し屋の拠点として使われている所に、元殺し屋がいるのかなと思いまして〜」
ニコッと笑みを浮かべながら問いかけているけど、目は笑っていない。
バリバリに警戒している。殺し屋、嫌いなのか?
…………感覚が鈍っていたけど、普通に嫌だよな。
というか、普通に怖いよな。近づきたくないよな、うんうん。
「警戒するもしないもどうでもいい。お前に興味はない」
「バッサリ言う方ですねぇ。嫌われますよ?」
「どうでもいい。それより、お前だ」
なんか、二人の会話がかみ合っていないな~とか思っていたら、何故か矛先が俺に来た。
なに? 俺、何かした?
「ここを通り道にするという事は、ツムリア帝国にでも行く気か?」
「よくわかったな」
「やっぱりか」
ん? んー、空気が少し変わったな。
揺らいだ気がするし、動揺? を見せた。
すぐに戻ったけど、ソフィアがここまで動揺を見せるなんて思ってなかったな。
「なにか知ってんのか?」
「…………逆に、お前らは知らんのに行くつもりか?」
「魔法学校の理事長については知っているぞ。軽く」
本当に軽くなんだけどな。
詳しくはわからんから、なんでソフィアがそこまで警戒しているのかは理解できないけど。
「軽くか。それなら行こうとするのも無理はないな」
「どういう意味だ?」
「簡単に言うと、今のツムリア帝国に行くことはオススメしない。めんどくさい事に巻き込まれたいのなら話は別だけどな」
え、めんどくさい事には巻き込まれたくないけど?
「ねぇ、もっと詳しく話してくれない? 何があっても知里には行ってもらうけど、色々下準備はしておきたい」
何があっても俺は行かなくてはならないらしい。
俺も行かないという選択肢はないからいいけど、何となく引っかかるなぁ、アマリア君や。
「本当に簡単に言うと、クインに関われば命はない」
「…………誰?」
「魔法学校の理事長だ」
あぁ、へー、ふーん。なるほど。
それは、ちょっと、いや、かなり、有力な情報になりそうだ……。
やっぱり、い、いいい、行きたくねぇぇぇぇえええ!!
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