予想外な協力者に驚きを隠せません
ツムリア帝国にある魔法学校は、各国の才能ある魔法使いが集まる学校。
才ある者達が集まり、卒業出来た者は皆、大魔法士として名を上げている。
だが、無事に卒業できるものは少なく、年に一人か二人。
誰も卒業できない年もあり、数十人もいる学生が全員退学処分となるのも珍しくはない。
そんな学校を占めるのは、理事長である、クイン。
クインが廊下を歩くだけで生徒は皆、礼儀正しく姿勢を整え、腰を折る。
だが、その表情は一つ、恐怖。
少しでも逆らえば殺される。そう思っているような表情を浮かべていた。
カツン、カツンと廊下を歩くクインが突然足を止めた。
窓の外に広がる青空を見上げ、目を細めた。
「――――嫌な風が向かって来ているわね」
※
簡単に魔法学校の現状を聞いてみたんだけど……。
「えぇっと。理事長の取り決めたルールが厳しく、罰則が激しい…………と言う事でいいのか? それって、スカートの丈を短くするな、とか。髪の色は黒にしろ、とか。それで厳しいとか言っているんじゃないだろうなぁ?」
休憩所で話を聞いていたんだが、学校あるあるっぽい話だった。
「髪の色などはそこまで厳しくない。厳しいのは、他のルール」
「例えば?」
「恋愛禁止、男女で話すの禁止、友達作るの禁止、一人行動厳守などなど」
…………嫉妬?
ずっと独身ババァで若者のキラキラした光に当てられて、嫉妬の塊としたババァなのか、理事長。
いや、理事長だからと言ってババァとは限らないのか。
…………どっちでもいいな。
「確かに、それは私利私欲が入り交じっているめんどくせぇルールだな」
「私利私欲かはわからないが、これが凄く困っているんだ。今も、内緒で外出しているから、もうそろそろ戻らないと気づかれる…………」
腕時計を確認しながら言う。
声が震えているような気がするな。本当に時間がないらしい。
「最後に聞かせてくれ、罰則ってなんだ」
「良ければ停学か牢獄。悪くて退学。逆らうと魔法で体を痛みつけられ、精神を破壊される。それでも、魔法学校としては最上位に君臨しているため、すぐに生徒は転入されるんだ」
うわぁ、怖い。
「魔法学校と言う事は、やっぱり年齢制限とかあるの?」
「二十で卒業だ」
なるほど。
なら、俺は無理だな。
「────じ、時間。頼む、考えてくれ!」
言いながら二人は魔法を発動、その場から姿を消した。
嵐のような餓鬼どもが……。
「どうするの?」
「どうするもこうするもねぇよ。ツムリア帝国に行く予定を変える気はない。だが、理事長の件はリヒト次第だな」
リヒトを見ると、ポカンと目を丸くしている。なんで自分次第なのかわからないらしい。
アマリアはすぐに察したらしく「あぁ……」と、息を漏らす。
「――さっき聞いた条件で一番の適任は、リヒトなんだよね」
アマリアが付け加えるように説明を続けてくれた。
「アルカも年齢としては問題ないけど、魔法に特化しているんじゃなくて、戦士向きだからね。魔法学校でやりきるのは厳しい、男性だしね」
「か、カガミヤさんは?」
「俺の年齢、二十八」
「二十でも見た目だけなら行けます」
お前、俺に年齢詐欺をしろとでもいうのか? というか、アウトだって。
そんな、涙目を浮かべて俺を見上げても無理って、縋るな縋るな。
「つーか、見た目もさすがに二十歳はきついだろっ──」
「面白そうな話しねぇ~。私も行こうかなぁ~」
――――ん?
この声、どこかで聞いたことおあるぞ。
振り向くと、そこには予想すらしていない人物が立っていた。
「え、エトワール?」
「やっほ~。もうそろそろ合流していいかなぁ~って思って一回立ち寄ってみたら、なんだかおもしろい事になっていたから、思わず盗み聞きしちゃった」
銀髪のツインテール、肩出しパーカーに大きな三角帽子。
スカートを履き、ブーツをコツンと鳴らすエトワールが笑顔で俺達を見ていた。
「そう言えば、もうスペクターとは会っているんでしょ? 見つけられなかったけど、なんとなくわかるよ」
「すれ違っていたわけじゃなかったんだな」
「わざとだよ。私達が動き出せば、必ずスペクターは君をダイレクトに探すと思っていたからね。その方が話は早く進むでしょ?」
しっかりと仲間の事を理解していたらしい。
でも……。
「スペルはどうしたんだ?」
「あー…………」
あ、目を逸らした。
なるほど、何か言いにくい事情で別行動しているらしいな。めんどくさいから深く聞かないでおこう。
「まぁ、スペルの事はどうでもいいな。エトワールなら…………」
エトワールは、たしかに見た目は若く見えるし、リヒトと同じ年齢と言ってもわからないか。
魔法使いとしてもレベルが高いと思うし、簡単に編入できるだろう。
学校だし、編入試験もあるかもだしな。見つからずにリヒトのカバーもしてくれそう。
じぃ~と見ていると、なぜかエトワールが頬を染めて照れだした。
な、なに?
「そ、そんなまじまじ見られてしまうと照れてしまいますよぉ~。もう、そんなに今の私は魅力的ですかぁ? でも、私にはアマリア様と言う将来の夫が~」
あー、そういやこいつ、勘違い妄想メンヘラ女だった。
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