地上に行くのは正直楽しみだ
「す、素直っすね…………」
「あいつといると、新しい武器や魔法、魔道具が勝手に舞い込んで来る予感がするんだ。面白いもんを見つけるのにあれだけの適任者はいない」
「それは協力ではなく利用っすね。ソフィアさんらしくて安心したっす」
誰かのためにソフィアが動くなどありえないとアンキは最初疑ったが、その後の言葉で全てを理解。
協力ではなく、利用する気満々だったことに安心した。
「よくわからんが、俺はまだ、新しい物を見たい、ただそれだけで動いている」
「そうなんすか? 今までも?」
「そうだ。同じ日々の繰り返しは、つまらんからな」
今の会話で、ソフィアの気持ちが少しだけわかったような気がしたアンキ。
遠くを見て、「そっすか~」と呟く。
ソフィアは、自分の過去を話したがらない。
聞いたところでうまくかわされ、聞くことが出来なかった。
一度、無理やり聞こうとしたことがあったが力技で拒否されてしまい、それからは聞かないように気を付けていた。
そんなソフィアだったが、今なら聞いても力技は仕掛けられないかなとアンキは企む。
そんなアンキの心境を察したのかしていないのか、絶妙なタイミングでソフィアは立ち上がった。
ビクッと過激に反応したアンキに首を捻りながらも、ソフィアは背中を向けた。
「行くぞ」
「どこにっすか?」
「戻るんだ。ここにいたところで、お前はもう暇つぶしの相手にならん」
「ウッス…………」
暇つぶしだったのかぁ~と、アンキは複雑な気持ちを持ちつつ伸びをし、ソフィアの後ろをついて行った。
※
一日休み、今日は相談したい事があったため、アマリアとグレールを外に連れ出した。
これからの事を話したいからアルカ達にも話したかったんだが、今日は珍しく、本当に珍しく熱を出した。
怪我をして、頭を使っての繰り返し。
体が限界になったのだろうと、今はリヒトとロゼ姫が診ている。
だから、この二人にまず相談して、話が付いたら三人に話そうと思う。
個室のある飯屋にグレールが案内してくれて、今は一息ついていた。
「チサトさんから相談とは、珍しい事もありますね」
「そうだね、アルカの熱が移った?」
「言いたい放題だな」
それぞれが飯を頼み、本題に。
俺達が頼んだもんは、個々で食べると言うよりシェアできるもの。サラダとか、ポテトとか。
それをつまみながら本題に入る。
うん、美味い。
「いんや、そこまで大した話ではないんだけどな。もうそろそろオスクリタ海底から出た方がいいんじゃないかと思ったんだ」
「なぜ?」
「今回のアクアの奇襲は、確実に俺達を狙ったものだろう? というか、俺が狙いだった。なのに、被害がものすごい事になった。アマリアとフェアズに始まり、オスクリタ海底は何回か被害の巻き添えを喰らっている。これ以上はさすがに迷惑をかけられん」
素直に言うと、何故か二人は口をあんぐり。
グレールなんてポテトを落しやがった。
勿体ないだろうが、しっかり食え。
苦笑いを浮かべていると、アマリアが咳払いをして、何故か俺の額に手を添えた。
「…………熱はないみたい」
「おい」
「体に不調があるとかですか? 昨日の怪我がまだ治りきっていないとか」
「おい」
「それはないと思うよ。しっかりとリヒトが治していたもん」
こいつら……。
「いや、俺もらしくないことを言っている自覚ある。でも、仕方がないだろう。今回の件はさすがにきつかったんだ」
水に沈んだオスクリタ海底。
俺がオスクリタ海底にいたから、狙われた。
俺がいなければ、オスクリタ海底は平和のままだっただろう。
流石に甘えすぎたなぁ、あはは……。
「まさか、チサト様がそこまで気にしているとは思ってもいませんでした」
「俺をなんだと思ってやがる」
「守銭奴」
「なんでアマリアが答えるんだよ」
「守銭奴ですかね」
「誰に聞いても同じ結果だったわ」
アマリアもグレールも同じ結果で流石に笑うわ。
…………いや、笑えねぇわ。
「俺にだって人の心くらいあるっつーのに…………」
テーブルに額を付け項垂れちまう。
誰の表情も見たくない。はぁ……。
「…………それじゃ、地上に行こうか」
「それしかないですね。あまり、地上には行ったことがないので、楽しみです」
地上……。どこだ?
俺が知っているのは、セーラ村とグランド国だけなんだが。
そこ以外に行くってことでいいのかな。
それは、少し興味深い。ちょっと、楽しそうだ。
「知里も、わかりやすいよね」
「今初めて、チサト様をかわいらしいと思いました」
…………はぁ?? なに言ってんだこいつら、きもっ。
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