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初心者だろうとちがかろうとこれはマジであり得ない

 ふざけるな、ありえない。


 ”B”という文字が”SS”という文字を隠してやがる。

 これ、確実に細工されてるじゃねぇか。


 隣には首を傾げているアルカと、傷を治しながら不安そうに見上げて来るリヒト。


 事実を伝えていいのか。

 いや、悩むまでもない。


 伝えなければ簡単に死ぬ。

 二人の鋼メンタルを信じるしかない。


「……アルカ、リヒト。今回のダンジョンは、マジで命の危険があるぞ」

「え?」

「今回、このダンジョンはSSランク。つまり、今倒れている冒険者はSSランク。ボスにやられたんだろうな」

「嘘だろ?」

「本当だ」


 二人の顔が一気に青くなった。

 俺の顔は、おそらくげんなり。


 くっそ……。

 俺の魔力は、少ないわけではないが、油断はできない。

 アルカとリヒトは、半分くらいしか残っていないだろう。


 こんなギリギリでSSランクのモンスターと戦わなければならないのかよぉ……。


「カ、カガミヤさん!! 上です!!」

「上……?」


 ――――――――ポチャ


 っ、天井から、雫が落ちてきた?

 上を見るけど、影が濃くて何も見えない。


 何も見えないけど、嫌な予感。

 いや、考えなければ、動かなければならない。


 目を細め、天井を見ていると、何かが降ってきた。

 それは、口。上下には、人など簡単に噛み千切れるほど鋭い牙。


 ――――やば


「カガミヤさん!?」

「カガミヤ!!!!」


 食べられっ――……

 息をするのすら忘れていると、スピリトが姿を現し炎の息を吹いた。


『ふぅぅぅぅぅうううう!!!!!』


 ――――――――ギュアァァァァァァァァアアアア!!!!!


 スピリトの炎の息は、開いている口の中に吸い込まれる。

 逃げるように、俺を喰おうとしていたモンスターが身を引いた。


 甲高い、声と共にモンスターが暴れ、地震が起きたように地面が揺れる。

 すると、後ろから強い魔力を感じた。


「あれが、SSランクモンスター?」


 振り向いた先には、細長い体。白い鱗に、緑の(たてがみ)

 黒い瞳に俺の姿が映し出された


 見た目は神秘的なんだけど、そんな事どうでもいい。

 大きすぎるだろ、洞窟を塞ぐほどなんて。


「っ、アルカ! リヒトとその冒険者を守れ!」


 魔導書を持ち、魔力を込める。


 絶対に目を離してはならない、少しでも気を抜いてはいけない。

 隙を見つけろ、攻める事が出来る隙を――……


「……………………っ!?」


 動いていないのに、一瞬、足が滑った!?   


 ――――――――キュアァァァァァァァァアアアア!!!!


 しまった! 大きな尾が俺に襲い掛かる。


「ちっ!!」


 上に跳び回避――――って、《《下》》に気配!? 


「っ、なんでお前が下にいるんだよ! そんな高く跳んでねぇよ!!」


 モンスターが口を開き、俺が落ちて来るのを待っている。


「くっそ!! flamaArrow(フレイムアロー)!!」


 魔導書から手を離し、一瞬で弓を生成。弦を強く引く。

 矢の先に集まる炎。引いた右手で狙いを定め、放った。


「行け!!」


 勢いよく放たれた弓矢は真っすぐモンスターの口内に――――え、弓矢が消えた?


「カガミヤ!!!!!」


 アルカが咄嗟に俺の腕を掴み、引っ張ってくれたから喰われずに済んだ。

 それには安心だが、俺が放った弓矢はどこに……。


「きゃっ!!」

「っ、リヒト!?」


 リヒトの叫び声!? 

 まさか、モンスターの狙いがリヒトに向けられたのか?


 …………いや、違う。リヒトの足元には、炎の弓矢。

 俺が放ったもんがリヒトに向かった? そんな馬鹿な。


 アルカが俺の袖を掴み、深刻な顔を向けてきた。


「カガミヤ、たしかこいつの名前はラムウ。時空を歪ませ操る、SSランクの中でも上級クラスを誇るモンスターだ」


 嘘だろ、なんでそんなモンスターが現れるんだよ。


 ・・・・・・・・。


 あの受付嬢かぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!!!! 


 初心者だからと言って、こんな間違いを起こすなんて!!! 

 ふざけるなぁぁぁぁぁあぁぁあああああ!!!!


 多分だけど、あの受付嬢。

 登録自体を押し間違えたんじゃないかな。

 ものすごく緊張していたみたいだし。


 でも、でもよ。これは、マジでないぞ? 

 死ぬかもしれないじゃん。いや、今だったら死ぬ可能性だってある。


 今回は休まずに行こうと言った俺の落ち度でもあるけど、こんなの想像できるわけないだろう。


 いや、今はそんな事どうでもいい。

 現状をどうにかする以外は考えるな。


「カガミヤ、一応指輪で帰れる事も頭の中に入れておいてくれ」

「それは今のこの状況でも使えるのか?」

「た、多分……」


 不安なことを言うなよ……。


 でも、それなら良かった。

 もしもの時、指輪で帰ればいい。深く考えるな。


 アルカと話していると、弱弱しい男性の声がリヒトの方から聞こえてきた。


「待って、くれ……」


 SSランクの冒険者が目を覚ましたらしい。

 リヒトが動かないように制しているけど、なんだ?


「指輪は、このダンジョンでは、使えない……」


 ……………………終わった。


ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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