今後の為にもいろんなことに手を伸ばしておこうか
アルカに殴られ、俺はふてくされながら、アルカと受付嬢の話が終わるのを待っている。
今回のは絶対に俺は悪くないのに、なんで俺だけ痛い思いをしなきゃいけないんだ。納得できない。
「俺達のランクでも行けるダンジョンってあるか?」
「ダンジョンをメインで回っているのですか?」
「そうだぞ。早くランクを上げたいんだ」
「そうですか……」
ん? 受付嬢の声のトーンが落ちたな。
「何かあったのか?」
「毎日、何かはありますが」
それはそうだ。
こいつの思考、どこかアマリアに似ている気がする。
いや、似せているのか? どうでもいいか。
「今回はダンジョンではなく、依頼を受けていただけませんか?」
「依頼? どんな内容だ?」
「護衛依頼です。ですが、誰も受けてくれず……期日が迫っているんです。明後日までに決めなければならなくて」
そんなに面倒なのか。
なら俺は断る。
ダンジョンで宝を取った方が──……
「そうか、なら俺達でやろうか?」
「本当ですか!?」
「おい待て、アルカ」
勝手に決めるな。
「嫌なのか?」
「絶対嫌だ。なんで俺達が汚れ仕事をしなきゃならん。護衛なんて向いてないし、知らない奴を守る気もない。知り合いでも自分から守ろうとは──」
「その任務、報酬はいくらだ?」
遮るな。
どうせ面倒な依頼だろ。
今回は金が良くても断る。
「報酬は現在百ヘイト以上です」
「詳細を聞かせていただけますか」
「切り替え早すぎだろ」
百ヘイトか。悪くない。
なんで誰も受けない?
「こちらをご確認ください」
受付嬢が紙を差し出す。
前回のようなことは繰り返さない。慎重に見る。
受け取ろうと手を伸ばした瞬間──腕を掴まれた。
「細い……これでSSランクを? 色も白い。活発そうではありませんね。これが指輪……え、これは……」
「カガミヤぁぁ!! 死ぬなぁぁ!!」
「え?」
右手を無造作に触られ、意識が飛びかけた。
「もう嫌だ、怖い。女って怖い。助けてアルカ……」
「ここまで怖がるとはな……」
アルカの背中に隠れ、肩を掴む。
受付嬢は涎を垂らしながら見てくる。
鳥肌が立つ。
殺していいなら腕の一本や二本は吹き飛ばしている。
「その辺にしてくれないか?」
「もう、照れ屋さんなんだから!」
やめろ。
「ひとまず説明書を」
「こちらです」
アルカが受け取り、肩越しに覗く。
護衛対象
グランド国 皇子
ヒュース=アグリオス(二十五)
頭が固い。
口数が少ない。
人を信じず、話を聞かない。
……嫌な予感しかしない。
「受けてくれますか?」
「報酬が欲しいなら受けるしかない」
「ありがとうございます!」
「勘違いするな。報酬のためだ」
「ツンデレさん……」
「黙れ」
皇子か。
下手なことをすればこっちが処罰される。
今回は失敗できない。
百ヘイトだ。
「悪い顔してるぞ」
「そんな顔も素敵です!!」
依頼登録を終え、知里とアルカの背中を見送りながら、受付嬢は笑顔を消した。
「あの指輪……カケル様のものと同じ。なぜ、彼が持っているのかしら」
フッ――と、辺りが暗くなる。
「エトワール」
「アマリア様!!」
少年姿のアマリアが現れる。
飛びつこうとしたエトワールを軽く避け、アマリアは問いかけた。
「何か気づいた?」
「指輪が、カケル様と同じかと……」
「やっぱりね」
エトワールが頭を撫でながら立ち上がる。
「今後のことは?」
「色々と。同じ失敗は繰り返さない」
「カケル様の時のことですか」
「……まぁね」
目を逸らすアマリア。
「やはり、貴方は管理者らしくありませんね」
「君のリーダーを殺そうとしたけどね」
「でも殺さなかった」
「殺せなかった、だよ」
沈黙。
「どう転ぶかは、知里次第だ」
指を鳴らし、アマリアは消えた。
同時に、元の場所へと戻る。
空を見上げ、エトワールは微笑む。
「カケル=ルーナ様。また私達を置いて企んでいるのですね。ふふ、貴方らしい。また共に冒険できる日を祈っています」
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