強い魔法程リスクがあるのは仕方がない
回数制限の可能性は高いな。
今回、俺の水魔法を黒い靄で防がなかったのが証拠。
「――――壊されるな」
「そうですね」
────ガシャン!
予想通り、氷と共に簡単に破壊された。
「次は、黒い靄を封じたところで畳みかけるぞ。連続で出せないという事を仮定で」
グレールに伝え、すぐに体勢を作り直す。
────? なんか、空気の揺れが……。
「っ、警戒してください!」
グレール振り返り、みんなに伝えている間に、落ち武者が動き出す。
一度鞘に刀を戻したかと思えば、姿勢を低くし構えをとった。
その構えは、普通じゃない。
膝を深く折り、腰も深く下げる。
ものすごく低い体勢だ、どんな攻撃をしかけるつもりだ?
「――――っ、消えた!」
どこにっ――え、う、しろ?
――――ザシュッ
…………血が、視界に映る。
やばい、切られた。肩か? 早く体勢を整えないと次が避けられない。
視界に、血に囲まれ赤い刀が見える。
俺に、向けられている。
体は傾き、力が入らない。
まずい、早く、避けないと――……
「|ground・blade」
隣から土の刃が吹っ飛んでくる。
傾く体は、誰かに支えられたのか、倒れ込まずに済んだ。
「大丈夫?」
「まさか、アマリアに支えられる日が……っ、く、るなんてな」
「今は話さない方がいい。リヒト、結構深い、治せる?」
深い……。確かに、右腕が動かない。
右肩から左腰辺りまで深く切られちまったらしい。
まさか、あんなに早く、しかも気配を消して移動が出来るなんて。
俺も油断したわけではない。普通に、魔法を出せるようにしていた。動けるようにしていた。
『主!!』
「リンク、今はグレールとアルカを任せてもいい? 君の主はリヒトが何とかするからさ」
アマリアが冷静でよかった。
俺を見てきたリンクだったけど、浅く頷きアルカ達に向かった。
「さっきはグレールが狙いだったみたいだけど、今回は知里。何を目安に狙っているんだろう」
それは、わからん。――――あ、淡い光。
リヒトが俺の傷を治してくれている。
くっそ、魔力を温存したかったが、これじゃここで死ぬ。
でも、かといってここで大量の魔力を使わせる訳にはいかない。
リヒトの魔力も温存しないと、ラスボスの時に困る。
回復役がいるのといないとじゃ精神的負荷が全く違うぞ。
「はぁ……。アマリア、二人は……」
「グレールを軸に、アルカが追撃。今はロゼも加わっているけど、押され気味だね。本当にあれ、SSモンスターなのかな。実力がSSSなんだけど」
アマリアでもわからないのか。
ダンジョンを攻略すれば、ギルドに確認が出来るから、今は攻略の方法だけに集中しよ。
「――――リヒト、全回復はさせなくていいよ。最低限、動けるようになるまでで」
「え、で、でも…………」
「リヒトの魔力が底をつくでしょ? そうなれば、知里が怒るよ」
怒りはしねぇよ。でも、魔力は温存していてほしい。
そういう意味も込めて、頷いた。
眉を下げ、悩んでいるけど「わかりました」と、納得してくれた。
早く治ってくれ、早く。
「あれはまずいね。負けそうだ」
首が動かせるようになってきたから二人の様子を見てみる。
アマリア越しだから少し見えにくいけど、それでも押されているのはわかる。
――――そういや、今、治してもらっている時でも魔法を放てそうだな。
だが、万が一反撃をして来たらアマリアとリヒトも巻き込まれる。やめておいた方がよさそうだな。
「気になるみたいだね。知里の代わりに僕が出ようか?」
「で、出来るのか?」
「魔力を使うから、そこだけをわかってもらえれば。――――あっ」
ん? あ? え、な、なに。何かを思い出したような顔を浮かべている。
「時間をたっぷりかけてもいいのなら一つ、とっておきの魔法があるよ」
「倒せる、のか?」
「時間をしっかりと稼いで、且つ一瞬だけ拘束してくれたら確実だね」
結構、リスクの高い魔法らしいな。
でも、確実に倒せる、か……。
「わかった。グレール達に伝えてくれ」
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