早くここから出させてくれよ、逃げるなフラグ
ひんやりとした空間だな。
埃とかが舞っていないだけマシか。
「つーか、なんだよここ。長いだけで曲がり角とかねぇし」
「ずっと同じ廊下が続いていますね。等間隔に設置されている襖も開きませんし。何故か所々お札も張られていますし」
――――――ビリッ
「お札を剝がしても特に何もないしなぁ」
――――――ビリッ
「本当ですね、なにもありません。いっそ、強くてもいいのでモンスターが出てきてほしいものです。それで、ここから出させていただきたい」
「まったくだ」
こんな、考える系の構成より、モンスターが現れて倒して次の道が開かれる方がよっぽどマシだ。
「二人とも、考える事を放棄したね。もう、躊躇が無くてびっくりだよ」
「一枚の御札が当たりで、モンスターが現れたら、フラグ回収したという事で次の部屋への道が開くかもしれないじゃねぇかよ」
「死んだ目で言わないでよ、めんどくさいという気持ちは伝わったからさ」
本当にめんどくさいんだよ。
まじで、めんどくさいの、無理なの。
早くアルカ達を見つけてここから出たいの。
「はぁ、でも、考えないといけないよなぁ」
「適当に歩いていては、道は開かれませんからね」
「ここまで来たらそうだっ―――あ?」
今まで開かなかった襖が勝手に開いた。
そこからまず出たのは白い手。三人で見ていると、次に現れたのは──能面か、あれ。
いや、面ではないな。境目がない。
顔か。能面みたいな顔ってなんだよ、気持ち悪いな。
白い着物を着てヒタヒタと、俺達に向かって歩いて来る。
「あれって、ゴーストか?」
「ゴーストではありませんね。ですが、雰囲気的に物理が効くかわかりません。気配はモンスターですけど」
なるほど。
『…………』
――――――ダッ
あ、床を蹴って走り出した。
手には、包丁?
右手に持っている包丁を俺に向かって振り上げた。
「acqua」
――――――ボヨン
『っ…………』
か〜ら〜の〜。
「flame」
新acquaで包丁を絡み取り動きを封じ、焦っているうちにこいつの腹部にflameをぶちかます。
――――――ドカン
「ほう、この廊下に終わりはあったらしい」
「今のモンスターが吹っ飛ばされた方からぶつかる音が聞こえましたね。行ってみましょう」
「おう」
「もう、僕は二人が怖いよ……。どうしてそこまで冷静なの……」
アマリアが何か肩を落として言っているけど、知らん。
グレールと共に走り、さっき襲ってきたモンスターを追いかける。
「おっ、見つけた」
『っ!? …………っ!!』
なんか、驚いてる? 俺達を見て?
わからんが、せっかく現れたフラグだ。ここで逃がすわけにはいかない。
「待ちやがれモンスター!!」
『っ!! っ!??』
おいおい、なんで全力で逃げるんだよ、さっきみたいに襲ってこいや。
「なんか、怖がってない? あのモンスター」
「怖がってるだと?」
俺の隣を飛ぶアマリアが、モンスターを観察しながら言ってきた。
怖がっているってどういうことだよ。
相手はモンスターだぞ? 怖いという感情がそもそもあるのか?
まぁ、怖がっていたとしてもだ。
あいつは絶対に逃がしてはいけない。フラグよ、早く俺達をここから出してくれ。
「――――――frost!」
グレールが俺の後ろから冷気を噴射。ちょうど、アマリアと俺の間を吹き抜け、床を凍らせながらモンスターへと向かう。
よし、このまま凍らせてっ――――
「跳んで避けただと!? それなら、|turbo flame」
廊下は細い。でかくし過ぎないように調整、細い炎の竜巻を複数出す。
これで動きを封じ込められれば――――はぃ!?
「身軽すぎだろ!!」
空中で体を捻り、俺の四本程度の炎の竜巻を避けただど?! くっそ、意外と厄介。
「チサト様、wavewaterを」
「あっ、なるほどな」
荒業で決め込むって事か。了解だ。
「wavewater!」
一度立ち止まり、水の波を逃げるモンスターに放つ。
避けようと空中に跳ぶが、波はモンスターの行き先を埋める。
「frost」
逃げ道を塞いだ瞬間、グレールが冷気を放つ。
水は簡単に凍り、モンスターは逃げ道を失った。
『…………』
「さて、逃げ道は失った。ここからは、俺達とお話しタイムだ」
モンスターが腰を抜かしその場にへたりこんじまった。
色白だから顔が真っ青になると、目立つな。
さてさて、楽しい楽しいお話しタイム開始としようじゃないか。
「僕、やっぱり知里が一番怖いと思う」
「それは同感です。私も、出来ればチサト様を敵に回したくありません」
「グレールもなんだけどね」
「なんの事やら」
「聞こえているからなお前ら」
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