やっぱり、俺には変わりは無理なんだ
両手が塞がるわけにはいかないから俺がリヒトと手を繋ぎ、ロゼ姫はリヒトと手を繋いでいる。
なんとなく、ロゼ姫が頬を染めているように見えるけど、どうしたんだろう。さっきまで青かったのに……。
具合悪そうではないから大丈夫かな?
足取りとかも問題なさそうだし、今はこのままでいっか。
襖は、相変わらず開かない。
うーん、どうすれば抜け出せるんだろうり
頭を使うのは苦手なんだよなぁ。
謎解きメインだったら、ロゼ姫様に頼むしかない……。申し訳ない……。
「…………おかしいですね。なにも景色が変わりません」
「さっきから同じ景色の繰り返しですね」
二人の言う通り、周りは等間隔で襖が続く廊下しかない。
曲がり角なんてなかったし、怪しい物も見当たらなかった。
「まさか、同じ所を繰り返し歩いているのか?」
「その可能性はありますが、まだ決めつけるのは早いかと思います」
言いながら、ロゼ姫様が壁に手を添えた。
すると、魔力が込められるのを感じた。
「――――これを目印に進みましょうか」
手を離すと、ロゼ姫様が触れていた部分だけ壁が抉れている。
酸で壁を溶かして目印を作ったんだ。
「ありがとう、ロゼ姫様!」
「ありがとうございます! ロゼ姫様!」
礼を言うと、何故かロゼ姫様が口元を抑えて顔を逸らしてしまった。
「なぜ、こんな純粋なお二人があんな守銭奴様と共に行動しているのでしょうか。もったいない……」
守銭奴様? それって、カガミヤのことか?
ん-、よくわからない。
リヒトもわからないのか、目を丸くしている。
二人でロゼ姫様を見ていると、咳払いをして「なんでもありませんよ」と言って歩き出してしまった。
結局、何が言いたかったのだろうか。
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「やはり、同じ道を進んでいるみたいですね」
歩き始めてから十分弱で、さっきの目印の場所まで戻ってきてしまった。
「つまり、SSダンジョンのラスボスだった、ラムウのようなモンスターがいる可能性があるという事だよな」
「ラムウって、たしか時空を歪ませるモンスターだったよね? しかも、SSモンスターの中でも上位に位置するという……」
やっぱり、リヒトも覚えていたんだ。
ラムウは、カガミヤがいたとしてもてこずった相手。正直、俺達で勝てる相手ではない。
でも、ここはSSSダンジョン。中ボスにSSモンスターは出てきてしまう。
まさか、この空間こそがラムウの空間なのだろうか。
いや、ラムウだと思い込んでは駄目だ。
んー……。駄目だ、頭がパンクしそう。
「アルカ、大丈夫?」
「ナレナイアタマヲツカッテツカレタ」
「…………私も頑張って考えるから、アルカのモンスターの知識を教えて?」
リヒトに言われたから、さっきまで考えていた事をリヒトとロゼ姫様に伝えた。
「なるほど。ダンジョンの制約ですね。ラスボスはダンジョンと同じランクの者が現れ、中ボスはその一つ下のモンスターが現れる。もし、ラムウのようなモンスターが現れた時は、ひとまず戦う事はせず、情けない話ですがグレール達と合流する事を目的としましょうか」
頷きそうになったけど、それでは今までと同じではないだろうか。
せっかく修行もして、戦闘にも慣れてきたのに、またカガミヤやグレールに頼ってもいいのか。
俺だって、冒険者なのに。
このままじゃ、また家族が死んでしまった時のように、何も出来ない。
「――――アルカさん、モンスターの気配を感じます」
「っ、え」
気配を探ると、たしかに、モンスターの気配を感じる。でも、どこから?
周りを見ても、景色は変わらない。
廊下が前後に続いているだけ。
三人で見回していると――……
「今まで開かなかった襖が、開いた?」
静かに、音を立てずに襖が、開いた。
みんなで襖を見ていると、ヌゥっと、白い手が現れる。
「ひっ!?」
「あ、あれって、ゴースト?」
でも、ゴーストにしては、大きくないか?
まさか、ゴーストの中にも種類があって、大きさとかが異なるのか?
剣を引き抜き、目を離さずモンスターが現れるのを見ていると、手の次に現れたのは、顔。
白い顔だ。でも、作り物みたい。
「女性、でしょうか」
「た、ぶん。見た事がないような、顔だけど……。なんだあれ、白くて、目は小さい。丸い眉毛で、表情がわからない」
黒髪を後ろでまとめているのか?
白い着物を着ている。なんだ、あれ。
あれって、いや、でも……。
────あっ、こっちを、見た。
『…………』
無言で、ヒタ、ヒタッと、俺達の方に歩いて――……
「ひっ!?」
「きゃぁぁぁああ!!!」
リヒトの悲鳴を合図に、幽霊もどきが包丁を取りだしたぁぁぁあああ!!
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