早く見つけねぇとならん気がしてならない
「ロゼ姫、ロゼ姫はどこに……。なぜ、私はロゼ姫と離れるのでしょうか、最近多すぎませんか……」
「それは確かにそう思う」
最近グレールの発狂をよく見る気がするな。
これで何回目だ? 三回? もう忘れた。
「これは、まずい別れ方をしたね」
「まずい別れ方?」
それは、どういう意味だ?
実力は確かに偏りあるが、アルカとリヒト、ロゼ姫も強い。何がまずいんだ?
「わからない? 簡単に言えば、ビビりと平気組で別れてしまっているんだよ。僕達は実力的にも精神的にも大丈夫だけど、あっちはどうかな」
……………………あぁ、そう言えば、あっちはビビりで組まれてしまっているのか。
めっちゃビビってんだろうなぁ、あはは……。
「────早く見つけるぞ」
「「了解」」
※
「ひゃぁぁぁぁああ!!! あ、あああ、アルカ、アルカ!! ここ、こここ、ここここここどこ!?」
「わ、わわわわ、わかるかよ俺だって!」
リヒトに縋りつかれても俺だって分かんねぇよ!!
いきなり襖が閉まったかと思ったら、建物が回転して廊下を転がり落ちた。
すぐにリヒトのchainで何とか体勢を整える事が出来たけど……。
そこまでは良かった。
でも、そこからが問題だ。
周りを見回すけど、分かるのは廊下が続いていることだけ。
近くの襖を開けようとしても、開かない。飾りっぽい。
雰囲気は、さっきまでの古民家と変わらないから、普通にこえぇし……。
カガミヤは、幽霊とかはダンジョンなんだから出てこないと言っていたが、それでも怖いものは怖いんだよ。
リヒトはさっきから俺の腰に抱き着いて離れないし、ロゼ姫様はなぜか固まっている。
多分、怖いんだと思う。顔が青いし……。
ここは、男である俺がしっかりしないと。
しっかり、二人を導かねぇと!!
――――――ガタッ
「ぎゃぁぁぁぁああ!」
「ひゃぁぁぁああ!!」
あっ、リヒトと一緒に叫んじまった。
だって、音が、音が聞こえたんだもん!!
「どこからでしょうか……」
ロゼ姫様、冷静だ。
さすが、お姫様、強い……あっ。
ロゼ姫様、震えてる。
胸元に置いている手が、微かに震えていた。
恐怖を押し殺して、表情に出さないようにしているんだ。
…………怖くないわけがない。今はグレールもいないんだ。
いつも一緒にいる人がいないのは、ものすごく不安になるし、怖さも倍増する。
いや、駄目だ駄目だ、ここで弱気になっては駄目だ!
男である俺がしっかりしないと、先行して動かないといけないんだ。
「と、とりあえず、廊下を歩いてみようぜ! 俺が先を歩くから、付いて来てほしい」
怖い、が、頑張らないと。
廊下の奥を見ると、闇が広がっている。
何が出てきてもおかしくない。もしかしたら、壁から手が……。
駄目だ駄目だ! 考えるな。
カガミヤの言う通り、出てくるとしてもモンスターだ。
幽霊なわけないし、ゴーストが出ない限り魔法は効く。
魔法が効くのなら、俺達も弱くない。
リヒトも、ロゼ姫様も強い。
何かあってもリヒトの回復魔法がある。絶対に、平気だ。
震える足にムチ打って、廊下を進む。
いつもより歩みが遅いのは自覚しているが、それでも前に進まないよりマシだ。
俺が、俺が二人を守るんだ。カガミヤみたいに、俺だって……。
――――――ギュッ
「っ! え、リヒト? ロゼ姫様?」
なぜか、リヒトには腰に抱き着かれ、ロゼ姫は俺の腕を掴む。
ど、どうしたんだろう。やっぱり、怖いのかな。
「アルカ、一人で頑張りすぎないで」
「そうですよ、アルカさん。一人で頑張ろうとしないでください。三人で怖がりながらでも、前に進みましょう。警戒していきましょう。何が起きてもいいように、皆で手を繋いで歩きましょう?」
二人も震えているのに、笑っている。
俺に、笑みを向けてくれている。
…………情けないな。
安心している自分がいる。
二人は怖くて怖くて仕方がないはずなのに、こうやって俺を安心させてくれる。
やっぱり、俺にはカガミヤの代わりは出来ないんだ。逆に、二人に気を遣わせてしまった。
俺は、なんでこんなにも情けないんだろう。
「アルカ?」
「…………なんでもない。ありがとう」
二人と同じく笑う。
怖いものは怖いが、笑っていれば少しは気が楽になるとは思うし、二人が頑張ってくれているのに、俺が負けては駄目だ。
守るなんてことは言えない俺だけど、一緒に前に進もう。
協力して進もう。
じゃないと、俺はまた、二人に気を使わせてしまう。
俺には、カガミヤのような立ち居振る舞いは無理なんだ。
無理、なんだ……。
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