渋っていても仕方がないし、やるか
アマリアに質問され、すぐに答えられなかった。
今はまだ時間に余裕があるからアンジェロ達に事情を話し、城の一室に戻った。
ベッドに戻り、寝ながら天井を見上げる。
なんで俺は、アマリアの質問に答えられなかったんだろう。
帰りたいと、普通に言えばよかっただけ。
元の世界に戻りたいと思っていたはずだし、この世界にいる必要もない。
でも、なんでか、すぐに答えられなかった。
「んー……」
おっ、リヒトが寝返りを打った。
というか、男女が一つのベッドで寝る事が当たり前になってきたな。
これ、言葉だけだと結構やばいが、相手が相手だし、まぁ、いいか。
「…………こんなに安心して寝やがって」
「んー……ふがっ」
リヒトの鼻をつまむと、変な声を出した。
眉間に皺が寄った、嫌らしい。
離すと皺は戻り、気持ちよさそうにまた寝た。
「はぁ……」
まぁ、解決してからの問題だな。
戻れたとして、その時の状況とかが絡んでいるだろうし、考えるだけ無駄無駄。
今は、SSSダンジョンについて明日話し合う事だけを考えよう。
※
みんなが起き、朝ご飯を食べ話し合い。
SSSダンジョンに行き、精霊を手に入れるかどうかを相談中。
流石にすぐ頷くことはできないらしく、皆が難しい顔を浮かべていた。
「SSSダンジョンは、少々危険だと思いますね」
「それは同感よ。実力が上がっているとはいえ、今ままで攻略出来たのは一つのパーティーだけ。さすがに勇気が出ませんね」
グレールとロゼ姫が少し怯えている。
リヒトとアルカも何も発しない。怖いんだろうな。
管理者との戦闘と同じくらい命を懸ける事になるし、今までSSSダンジョンをクリアしたのがカケルのパーティーだけ。
情報があまりにもないし、参考資料もない。
「でも、攻略したことがあるカケルが今の僕達だと問題ないと言っているみたいだし、可能性はゼロではないと思うよ。カケル自身、今ここで僕達に死なれては困るだろうし、適当な事は言えないと思う」
「そうですが……」
唸りつつ、グレールはこれ以上の言葉が出ない。ロゼ姫も同様。
「…………結局、攻略しないとカケルの封印を解除できないし、管理者とも戦うのにこっちが不利になると思うよ。カカル達がいれば必ず力になるし、今の管理者なら倒せる」
よほど、アマリアはSSSダンジョンに行きたいらしいな。
めっちゃ頑張って説得している。
「ですが、私達のパーティーランクもまだAくらいですよね? そこから上がっていないはず。でしたら、そもそもSSSダンジョンに行く事すら難しいのではないですか?」
「そこは僕から言うよ。元とはいえ、ギルドの管理者だ。少しくらいは口利きできるんじゃないかな。必ずではないからあまり期待しないでほしいけど」
そこからはまた沈黙。
否定し続けない辺りを見ると、絶対に行きたくないわけではないのだろう。
「…………あの、カガミヤさんはいかがですか? やはり、行きたいのでしょうか」
「出来れば行きたくねぇよ。怖いし、命を懸ける戦闘なんてしたくはない。だが、管理者が動かない今、少しでもダンジョンを攻略して金を手にっ――――ゴホン。精霊をゲットできるようにしていきたい気持ちもある」
「少し願望が出ていたみたいですが……。確かに、管理者が動いていない今、カケル様の封印解除に集中出来ますし、チャンスですが……」
ですが、と、そこで渋られてもなぁ。
これは、もう、説得は無理っぽいな。
頭では今が一番最適だとわかっているが、感情的に行きたくない。
こうだろうな、怖いし俺も同じだ。
でも、このままだと話が進まない。
この時間が無駄だ……よしっ。
「んじゃ、行くぞ、SSSダンジョン」
「話し合いがめんどくさくなったね、知里」
「うん」
みんなが驚いているが、なんか、もういいやって思った。
今がチャンスなのは変わらないし、悠長に構えていられない。
怖いが、今までの経験も絶対に力になっているだろうし、チャレンジも大事だろう。
んじゃ、いまだに渋っているみんなを引き連れ、ギルドに向かいます。
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