今まで考えた事もない事を質問されると焦る
「…………どうやって?」
「君にはこの世界から消えてほしいんだ。そうすれば、元通り、澄んだ空気がこの世界に漂う」
うっわ、そこまで言われるのかよ、俺。
というか、俺だって好きでここにいる訳じゃない、帰れるのなら帰りたいわ。
言いたい事があり過ぎて逆に言葉を詰まらせていると、アマリアがヒョイと俺の前に出た。
「知里一人で世界の風? を変えられるわけないと思うんだけど? さすがにそこまで言わなくてもいいんじゃない?」
「いえいえ、その男が変えました、この世界の風をね。その異人が、この世界の風を狂わせてしまった。そもそも、管理者と全面戦争などを鍬立てなければこんなことにはなっていない。ね? 元を辿れば異人が悪い」
「本当に元を辿れば、知里をこの世界に連れてきたカケル=ルーナが一番の加害者なんだけどね。知里は別に、この世界に来たくて来たわけじゃないんだし」
その通りだよ、アマリア君。
さすが、君ならそう言ってくれると信じていた。
頷いていると、ガブがまたしても口を開く。
「それにも一理あるけれど、カケル=ルーナがこの世界にいた時でも風は乱れなかった。異人が来た途端だよ。だから、一番大きな原因はその人だ」
…………あー、どうしよう、めんどくさい。
もうどっちでもいいよ、俺。
どっちだろうと、特に変わらないだろう。
だって、結局のところ、俺は管理者との戦闘が終わり、カケルの封印を解除したら元の世界に戻る予定だし。
…………戻れる、ん、だよ、な?
そこもはっきりしていないな、そう言えば。
俺がこっちにいる時間と元の世界って時間の進みは同じなのか、歪んでいるのか。
そこは、後でアビリティに聞いてみるか。
「誰のせいかは、この際どうでもいい。竜魔法の協力はお願いしたいところだが、おめぇの求める約束は、俺の意思で叶えられるものではないから難しいな」
素直に言うと、口元に笑みを浮かべながらもガブは眉を顰める。
「と、いうと?」
「俺がこの世界に来たのは、さっきから言っているが俺の意思じゃない。それに、この世界から俺が元の世界に戻れるかも定かではない。あと、風? が澄まなくなったのは俺の責任かもしれねぇが、今回の件が片付けば少しは落ち着くと思うぞ。知らんけど」
俺の意見をすべて言うと、ガブになぜかまじまじと見られる。
嘘を言っているのかどうかを確認しているみたいだな。
「――――それなら、今回引き起こされている事件を解決した方が早そうだね。それなら協力しようかな」
「それは助かるが、仮にこの事件を解決しても風が元に戻らなかった場合はどうするんだ? 確証ないぞ」
つーか、風を戻す方法の話にいつの間にか変わっているが、なんなんだこの話、自分でもよくわからない。
「そうなれば、貴方に責任を持っていただきます」
「ふざけるな」
なんで、なんでもかんでも俺に責任を押し付けてこようとする。
俺が何をしたっていうんだ。しかも、今回の件に関しては俺の意思は一切ないんだぞ。
この世界には連れてこられただけ、管理者との戦闘は強制、カケル奪還はアビリティに頼まれて。
どれも、俺の意思ではない。
唯一、自分の意思で行っていることは、金を手に入れるためのダンジョン攻略だけだ。
「…………わかったよ。これ以上君と話しても確証のある話を聞けそうにないね」
「おうよ」
「それなら、気分次第で協力しようか。今は、気分では無いからお暇するよ」
「そうですか」
もう、それでいいよ。
話すだけめんどくさいし、竜魔法が使えなくても解決方法はある。
「でも、風を戻す方法がわかれば必ず協力するからね。早く、君がいなくなることを祈っている。またね」
言いながらガブは、風に包まれ姿を消した。
なんか、一気に疲れる出来事だったな。
アマリアと目を合わせると、同時にため息を吐いた。
「知里って、本当に巻き込まれ体質だよね。いや、ここまでくると、もう自分で引き込んでいるのかと疑いたくなるよ」
「ふざけるな、こんな状況を一番めんどくさいと思っているのは俺なんだよ。出来れば俺だって静かにこの世界で悠々自適なスローライフを送りたい」
めんどくさい事にこれ以上巻き込まないでくれ。マジで、勘弁してくれよぉ~。
「そう言えば、知里は自分の意思でこの世界にいるか帰るか決められないってさっき言っていたよね?」
「え、あ、あぁ。戻れるかもわからないからな。そう言うしかないだろう」
「確かにそうだね。でも、仮に戻れるとしたら、知里は元の世界に戻りたいの?」
―――え?
元の世界に戻りたいか……だと?
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