巻き込まれ体質なんていう主人公的属性はいらないんだよ
アマリアと共にオスクリタ海底を見て回るけど、モンスターの気配は感じないし、それっぽいのも見えない。
「アマリア、何か感じるか~」
「んー」
「んー??」
なに、その曖昧な返答。
…………アマリアの奴、本当に探しているのか?
探している風を装っているけど、集中出来ていないのはまるわかり。
何を考えているんだ? 無表情だからわからない。
「なぁ」
「なに?」
「何考えてるんだ?」
「特に」
「絶対に何か考えてるだろ、吐け」
言うと、ちらっとこっちを見てため息を吐きやがった。
なんだよ、言いたい事があるんなら言えよ。もう……。
「ここまで大きく管理者が動き出すと思わなかったから、少し焦っていただけだよ」
「え、焦ってる? お前が?」
「うん」
焦っているように見えないが?
いつものようにマイペースに見えるんだが?
「また、どこかで大きな動きを見せてきたら、今度こそこっちが負けてしまうかもしれない。今回も知里が魔力がなくなったことで危険だったし、イルドリ王がいなかったら完全にこっちが負けていた。今までは、奇跡が重なっただけ。これからも同じように行くとは限らないよ」
あー、アマリアと俺って、やっぱり思考が似てるよなぁ。俺も同じこと考えてたわ。
「知里も同じこと考えていたでしょ」
「まぁな。今までの戦闘は、実力で勝ってきたとは言えないものだったからなぁ。それに、今回はここまで大きな被害が出た。これからもっと多くの人を巻き込む事態になるかもしれないし。そうなると、焦るよなぁ~」
「焦るよねぇ~」
焦ったところで意味は無いけど、それでも気持ちは上ずるよな。
魔法をもっと使いこなして、魔力を無駄に使わず、戦闘にもごり押しじゃなくて合理的に勝っていきたい。
知識がないから難しいけど。
「――――あれ? もしかして、放たれたモンスターって、あれかな」
アマリアが何かを見つけたらしい。
指さした方向には、んー? なんだ、あれ。
「近づいてみようか」
「そうだな」
足を地面に着け、二頭身で歩いているモンスターの後ろをついて行く。
なんか、ユウェル族に似ているな、マスコット的なところが。
地面に足を付けて、二頭身のモンスターに近付いてみる。
俺達には気づいていない。鈍いのか、それとも気づいていないふりをしているのか。
「……モンスターというか、猫?」
「猫だね」
二足歩行で歩く猫。
なんで、二足歩行? なんで、猫?
いやいや、モンスターなんだから、そこは考えてはいけないか。
幽霊とか化け物とかを解明しようとするのと一緒だ、深く考えるでない。
おっ、立ち止まった。
振り向いた、目が合った。
うん、猫。
二足歩行の、猫。
しかも、何処か凛々しい。
『にゅし達はなに者だにゃ? にゃぜ、我を追いかけるにゃ?』
…………猫。
これは、なに、ツッコミ待ち?
「君は、モンスターなの?」
『我はモンスターではにゃいわよ。魔獣にゃ』
「あぁ、魔獣か、なるほど。だから、モンスターの気配を探っても見つけられなかったのか」
アマリアは普通に接している。
魔獣? モンスターではないのか?
「君、名前とかあるの?」
『我はにゃんこちゃんだにゃ!!』
「…………え、名前は?」
『だから、にゃんこちゃんだにゃ!!』
「え、えぇっと……」
『にゃんこちゃん!!』
…………そんな、怪訝そうな顔を俺に向けられても困るって。
お前は何を俺に求めてやがる。
「えぇと、お前はここで何をしている?」
『我は今、むかつく主を探しているんだにゃ。我を置いて行くなんてありえないんだにゃ』
なんか、ブツブツ文句を言いだしてしまった。
これは、詳しく聞いたらまた変な事に巻きこまれてしまうから、これ以上は詮索しないで離れようかな。
『そうだにゃ! にゅしらは、我の主を知らないかにゃ?』
「知らん、んじゃな」
アマリアもめんどくさい事に巻き込まれそうな気配を察したらしく、着いてくる。
『ま、まってほしいんだにゃ! 主を、主を一緒に探してほしいんだにゃ!!』
……………………やっぱりかよぉぉぉおおおおお!!
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




