やめてくれ、俺の感情を壊さないでくれ
部屋に戻り俺とリヒトは、疲れていたのもあり、すぐに寝た。
いつもより早く寝たが、体は正直。すぐに夢の中に入る事が出来た…………はず。
できた、はずなんだ。
そう、ここは夢の中、それはわかる。わかるんだけど……。
『やぁ、久しぶりだね』
「休ませる気ゼロかよ」
俺が立っているのは真っ暗な空間、目の前には笑みを浮かべているカケルの姿。俺に手を振っている。
最悪、本当に最悪。
『今回は、やっとreleaseをゲット出来たみたいで良かったよ。時間がかかっていたね』
「見ていたのならわかるだろうが。管理者と言うめんどくせぇ奴らに絡まれてたんだ。そいつら以外にも絡まれてたけど……。マジで疲れたわ」
『見ていたからわかるよ、大変だったね。でも、これからがもっと大変になるのは、わかっているかい?』
現実を突きつけないでくれよ、マジで。
『これからはどうするつもりだい? 仲間が回復したから、今のうちにSSSダンジョンをクリアしに行くかい?』
「そのつもりではある。だが、正直クリアできるかわからねぇんだよなぁ。せめて、リヒトが自身の力をもっと扱えるようになってからとかがいいんだが……」
『時間がないのもわかっているから困りもの、って感じかい?』
「あぁ」
時間がない。
管理者がいつ動くかわからない今、ゆっくりともしてられない。
だからって、SSSダンジョンに何も考えず向かうのはあまりに危険だ。
それに、高ダンジョンは、途中でダンジョンから抜け出るムーヴが使えなかったはず。
そうなると、誰かが死ぬ可能性だってある。
今まで管理者との戦いで死者が出ていない実績もあるが、それは奇跡に近い。
色んな偶然が重なった結果だ。
実力だけで管理者を退いてきたわけではない。だから、怖いんだよなぁ。
『一つ、アドバイスをしてやろう』
「頼む」
『…………プライドはないのかい!!』
何故かカケルが腹を抱えて笑っちまった。
プライドと言われてもなぁ……。
だって、背に腹は代えられんし、アドバイスを求めたからって、俺に金を要求する訳でもないだろう?
今はプライドより、先に進むアドバイスの方が何より重要だ。
だから、笑ってないで早く教えろ。
『はははっ……。笑った笑った』
「楽しそうで何よりだ」
『不機嫌になるな。それより、教えてやろう。今の君なら、SSSダンジョンをクリアできるよ。それくらいの実力がある』
「はぃ?」
何を言っているんだ、こいつ。買いかぶり過ぎだろう。
みんなそうなんだよなぁ、俺の事を買いかぶる。
何で俺なら出来るとか、俺がいれば安心とか思うんだよ。
俺が強いんじゃなくて、周りの奴らがチートなだけだぞ。
俺じゃない、他の奴らが強いんだ。
俺は、魔力が強いだけのただのおっさんだ。
それに、それはアドバイスじゃねぇよ。
そう言おうとしたが、カケルの笑みが有無を言わせない。
牽制されている感じでムカつく。
『信じてはくれないかい?』
「…………カケルは、管理者が動いていない今、ダンジョンをクリアし、早く自分を解放してほしいと言いたいのか?」
『ご名答。早く俺をこんな窮屈な所から出してくれ』
自分本位すぎる。
まぁ、そういう奴が俺の周りに集まっているから、もう慣れたよ。
「だが、仮に精霊をゲットできたとして、お前がどこに封印されているかなんて分からないんだぞ? 見つけるのにも時間がかかる」
『その時はまた俺が教えるよ。今みたいに夢に現れてね』
ウインクするな、腹が立つ。
「はぁ……。そうやって俺を褒めても嬉しくもなんともねぇし、逆に嫌悪感を感じる。悪いが、お前の口車には乗らねぇぞ」
頭をガシガシ掻きながら言うと、カケルはさっきまで浮かべていた笑みを消した。
『何を言っているんだ、お前さんは』
「あ? だから、お前が俺を口車に乗せて、早くダンジョンをクリアさせようとしたんだろ? その手には乗らないぞと言ったんだ」
あれ、なんか、不機嫌になっちまった……?
『まさか、命の関わるダンジョン攻略について話しているのに、そんな風に思われているとは思わなかったな』
「なんの話だ?」
『俺も、そこまで人の命を軽くは見ていないという事だ。実力があるというのは事実。それは褒めている訳でも、口車に乗せてやろうという気持ちも何もない。事実だ』
真剣な表情でそんなことを言ってきた。
そう言われても……。
『もっと自分を信じてみるがいいさ。今までチート魔力を生かして管理者を倒してきたのだ。そもそも、管理者のランクはSSS以上。そんな管理者を倒してきたんだ、お前さんは。もっと自分に自信を持つがいい』
フッと笑って、カケルは『時間だ』と、暗かった空間に光が差す。
おいおい、そんな言葉を残して消えるなって!!
「ふざけるなぁぁぁぁあああ!!!!」
この、もやもやをどう処理したらいいんだよこんちくしょぉぉぉおおおおおおお!!!!!
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