悪化し続ける状況、最悪
グレールの動きを邪魔しないように且つ、四方から攻撃を仕掛けたい。
…………いや、攻撃を喰らわせなくてもいいのか。
どんなに強くても、脳みそは動物だろ?
惑わせるだけでいい、グレールなら隙を絶対に逃さない。
「――――heathaze」
久しぶりに使うな、陽炎。
さぁ、flamaArrowの幻覚を相手に見せつけろ!
ヴリトラは、四方から放たれた炎の弓矢を見上げる。
グレールも見上げるが、気配で瞬時に本物ではないことを察知。変わらず、剣を振りかざし続けた。
ヴリトラは大きな翼を広げた――――広げた?
大きく動かして風を起こす。だが、炎の弓矢は陽炎。風では押し返すことできないぞ。
変わらず、炎の弓矢はヴリトラに向かう。
────えっ、目を、細めた?
「――――少しは頭が働くみたいだね」
「むかつく」
陽炎は、そのままヴリトラにぶつかる。
でも、あれには殺傷能力はない。それをまさか、風を起こし確認したのか?
さっき見た魔法と違うと、瞬時に判断して、確認したというのか。
そこまで頭が働くとは思わなかった。
舐めておりました、すいません。
「heathazeは、効かないか。いや、あからさますぎたな」
「なら、私がヴリトラの翼をほんの少しだけ鎖で拘束しますか?」
リヒトからの提案、ほんの少しでも助かるな。
あ、そうだ。グレールの氷を使えばいいじゃん。
そこからリヒトが鎖魔法で動きを封じて、その隙にアマリアが音魔法を食らわせる。アマリアに確認すると、頷いてくれた。
「グレールなら水魔法を放った時点で察してくれるでしょ」
「だな」
んじゃ、倒させてもらうぞ、ヴリトラ。
「wavewater!!」
右手を上げ、水を作り出し津波をヴリトラへと向かわせた。
翼で顔を覆い隠すけど、バッシャーーンと、水をかぶる。
瞬間、グレールが俺の元に戻ってきた。
「前もって言ってください。――――frost」
魔力をいつもより多めに込めたのか、冷気の範囲が広い。
水に濡れたヴリトラは、冷気により凍る。
「リヒト、鎖魔法!」
「は、はい! ――――chain!!」
杖を振り上げ、鎖魔法を発動。
ヴリトラの動きを封じた。
氷がガタガタと震える。でも、鎖魔法で拘束しているから簡単には崩せない。
アマリアがすぐに向かい、右手を頭に添えた。
「sunet」
アマリアの音魔法が発動、ヴリトラは氷で身動き取れない。
「――――っ、かった」
アマリアが苦い顔を浮かべてる。
硬い? え、でも、音魔法に鱗の硬さは関係ないんじゃ……。
「氷が…………」
「っ…………」
氷が、壊れる!
――――ガッシャァァァァァアアアアン
氷が壊れた。
ヴリトラは!? アマリアはどうなった!?
氷が砕け、地面に落ちる。
アマリアは空中待機しているけど、どうなったのだろうか。
無事に倒せたのか、それとも無理だったのか。
警戒を高め見てみると――……
「っ! アマリア! にげっ――……」
気づくのが、遅れた。
――――ドカンッ
「アマリア様!?」
「アマリア!!」
一番近くにいたアマリアが、ヴリトラの尾で勢いよく吹っ飛ばされた。
壁に衝突し、気絶。
痛みとかは感じないみたいだけど、脳はさすがに衝撃に耐えられなかったらしい。
「リヒト、アマリアを任せた!」
ヴリトラを中途半端に刺激しちまったらしく、暴れ出した。
くっそ、怒らせたか……。
地団駄を踏み、暴れている。
つーか、なんでアマリアの音魔法が効かなかった?
たしか、音魔法って脳を震わせ沸騰させることが出来たはず。皮膚がどれだけ硬くても、関係ないんじゃないのか。
「アマリア様が離脱した今、私達二人でどうにかしなければなりません。いかがいたしましょう」
「皮膚が硬い以上、無駄に攻撃しても少しのダメージも与えられない。一か所に集中しようか。腕とか、何かを斬り落とせれば」
「そうですね。では、私は動きを封じることをメインに動きます。チサト様はどんどん攻撃魔法をお願いします。私のことは気にせず、思いっきり放ってください」
「わかった」
でも、まずは水魔法で濡らした方がいいだろう。
「wavewater」
さっきと同じ魔法を放つ。
水だから、どんなに弾こうとしても意味はない。
――――グワァァァァァァァァアアアアアアアア!!!
咆哮を上げ、ヴリトラは翼を広げた。
上に逃げたな。だが、残念。
wavewaterは自由自在に操ることが可能。
上に逃げたヴリトラを追いかける。
「…………早いな」
「大きいので動きはそこまでではないかと思ったのですが、手を抜いていたみたいですね」
それなら、水を二手に分かれさせ、進行を防ぐ。逃げるところはないだろう。
ん? 口を開いた?
――――ドカン
「ずるっ!!!」
「ずるくはないですが、これは徐々に状況が悪化してきていますね」
口からレーザーを放たれ、水が霧散しまいた。なんなんだよ!!
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