動きには、必ず理由がある
皮膚が固いという事は、攻撃方法を考えないといけないな。
適当に放っても無駄に魔力を消費するだけだし、どうしたものか。
「今回は、音魔法が役に立ちそうですね」
「…………あぁ、確かに」
二人でリヒトの隣にいるアマリアを見ると、何故かものすごく嫌な顔を浮かべられた。
何でそんな時だけ表情筋が動くんだよ。
「まぁ、いいけど。被害は知里の魔力だけだし」
「そうだったわ」
アマリアに頼ったら俺に被害があったわ。
「それじゃ、新しい音魔法でも試そうかな」
「新しい音魔法?」
「うん。ソフィアがいたから出来た魔法なんだよね、試す機会を探していたんだけど、今かなって」
どういうことだ?
あ、大人の姿になった。
見た目はあまり変わらないけど、身長が伸びるだけで、雰囲気がまるで違うんだよな。
それに、目元が変わる。鋭くて、つり目だからきつい印象。
その辺の女子なら飛びつきそうな見た目だなぁ~。
「んじゃ、行くよ。――――viasunet」
両手を前に伸ばし、地面を踏みしめ魔法を唱える。
おっと、魔力が吸われるな。
そこまでじゃないけど、今までより大きな魔法を放たれるのはわかる。
――――キーーーーーーーーーーーン
「っ、みみなっ――――」
耳鳴りが起こったかと思えば、アマリアの両手から音魔法が放たれた。
一直線のsunet、みたいな魔法だな。
耳鳴り以外の被害はない、地面を抉りヴリトラへと向かう。
えんじ色の翼を広げ、体を覆い隠す。ドカンと音を鳴らしぶつかった。
「一応、追撃しておくか。flamaArrow」
炎の弓矢を放ち、追撃。
手ごたえあり、だとは思うけど、どうなった?
土埃が舞い、視界が遮られてしまっている。
どこかに逃げているかもしれないから気配も探るが、動きは無い。
どんどん薄くなる土煙、シルエットが見えた。
「…………アマリア、手を抜いた?」
「初めて放つ魔法だったからかな、うまく出来なかったんだねぇ~」
「そこは否定してくれよ、こっちが気まずい…………。というか、無傷はさすがに魔法を放った俺も傷つく」
「僕もだよ。初めてとは言えねぇ~」
ヴリトラは全くの無傷。翼を広げ、咆哮を上げる余裕まである。
ここまで固いのかよ、やばいな。
「やっぱり、直接sunetを脳にぶつけて爆発させないと駄目っぽいね」
「それしかないか。外傷より、アマリアの音魔法で脳を沸騰させた方が確実性はありそうだな。それか、強制睡眠状態覚悟でぶっ放し続けるか」
防御力は今まで出会ったどんな奴よりも強いんだと、今のでわかった。
「動きを止める事を目的にしますか?」
「そうだな。リヒト、出来るか?」
拘束と言えば、リヒトの鎖魔法は必須。
少し緊張しているみたいだけど、頷いてくれた。
俺の炎の鳥籠も使って、氷も拘束に利用出来るな。
なんだかんだ、今回は拘束が得意な魔法使いが集まったパーティーだったんだな、助かった。
――――グワァァァァァアアアアアアア!!
「だから、俺達は攻撃してないって」
「だから、ダメージを食らった咆哮じゃないって。普通の咆哮だよ、喰らったような声だけど」
アマリアに突っ込まれたところで、やっとヴリトラが動き出した。
ノソノソと、なんか、寝起きの猫みたいな感じ。そんな可愛いものではないけど。
「んじゃ、ひとまず、どんな動きをするのか、どんなパターンで動くのか、普通に攻撃を仕掛けてパターンを見つけようか」
「そうですね」
「アマリアは基本待機な、隙を見つけて仕掛けてくれ」
「わかった」
グレールと頷き合う。
剣を構え、俺は魔力を右手に込めた。
「行きます」
グレールが先に地面を蹴り、駆けだした。
俺は、放つ系の魔法が多いし、グレールを軸に援護射撃だ。
ヴリトラは、簡単にグレールを間合いに入れた。
剣を下から上に振り上げ、まず足元を狙う。
――――ガキン
少しも斬る事が出来ないらしく、苦い顔を浮かベている。
そこで動きを止める事はなく、次の動きに移行。俺も、魔法を放つ準備。
「――――|Mitrailleuseflame」
炎のガトリング砲をグレールに当たらないように放つ。
下はグレール、上は俺が担当。
削れているかはわからんが、全くダメージがないことはないだろう。
「…………隙を作れない」
追撃を続けていても、攻撃を仕掛けようとしない。ただ、翼で防ぐのみ。
グレールの攻撃は、足で庇い、腹部と頭を守る動きを見せる。
「全部が固いわけではなさそうだね」
「守り方が不自然だもんな」
体全てが固いのなら、守る必要はない。
守る必要があるという事は、そこが弱いからだし、弱点であるということ。
それなのなら、そこを突けばいい。
弱点を突き、隙を作りアマリアの音魔法で脳を爆発。
「ちと、魔力を多く使いますか」
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