ここまで静かなのも不気味で仕方がない
道を進む。特に変わったギミックとかはない。水が襲い掛かってくることもないな。
「ボス戦前の静けさですね」
「嵐の前の静けさみたいな感じに言うのやめてくれ」
でも、グレールの言う通りなんだよな。
ボスはSSランク。この四人なら大丈夫かとは思うけど、やっぱり万が一があるしな。
油断せずに行かないと。
「────あっ」
「光が見えましたね」
道の奥、光が見えた。
進むと――――
「――――え」
「あれは…………」
大広場に辿り着いた。
それはいいが、静かすぎて怖い。
だって、いるんだもん。
モンスター、寝ているんだもん。ドラゴンが。
大広場の奥、台座の上に一体のドラゴン。
翼と足を畳み、眠っている。
眠っているドラゴンの登場ってあり得る?
「あれって確か、ヴラトリと呼ばれる、倒すのが困難なドラゴンだよ」
「へぇ……」
アマリアもモンスターの知識はあるらしい。って、そりゃそうか。
こいつは元ギルドの管理者、モンスターの知識があっても不思議では無い。
倒すのが困難なモンスター。
一体、何が困難なんだ?
「なぜ困難なのかってわかりますか?」
「皮膚が固いらしいよ。どんな魔法を放っても、傷一つつける事が出来ないみたい。その代り、攻撃力はそこまで高くないはず。防御に全振りしたモンスターって認識でいいと思う」
なら、攻撃を繰り返しすれば、いずれは倒せるって事かな。
でも、耐久戦になるよな。まぁ、何とかなるか。
「いきまーす」
寝ている方が悪いってね。
「flamaArrow」
炎の弓矢。一つに炎を集中するのにはもってこいな魔法。
放つと、一本の線を作るように弓矢がヴラトリに向かう。
――――ドカン
「当たったけど、当たったけどなぁ~」
「まぁ、油断はできないよね」
「当たり前」
どうせ、無傷なんだろ? そうなんだろ?
もうわかってんだよ。
黒煙が消えると、やっぱり、無傷。
無傷はいいが、いいが……なぁ?
「起きろよ」
「寝続けてるねぇ~」
せめて起きろ、なんで変わらず寝ているんだよ。
お願い、せめて起きて?
いや、起きたら戦いにくくなるのはわかるけど、悲しいから起きて?
「もう一発いっとく?」
「もう一杯いっとく? みたいな軽い感じで聞かないで。いくけど」
酒を進められた時は絶対にもう一杯しないけど、これは一杯やるわ。
「――――flamaArrow」
さっきより集中力を高めて、魔力を多く送る。
弓矢は先程より光りが増して、少し熱い。
「――――行け」
シュッと放つと、さっきと同じ。
線を描くように真っすぐ向かった。
これでも起きなかったら、流石になくっ――――
「あっ。目が、ひらっ」
――――ドカンッ
ぶつかった。
その前に、目が開いたような気がした。
開いただけならいいけど、なんか、こう。
目が、合ったような気がする。
黒煙が薄くなると、ヴラトリのシルエットが見えてきた。
「起きたみたいだね」
「そうだな」
体を起こしてる。
さすがに、魔力を最初より込めた炎の弓矢は効いたらしい。
――――ギャァァァァアアアアアアス!!
「なんか、あいつの咆哮って、"俺やられました"、みたい感じだな」
「なに、その例え」
「いや、なんとなく」
体を起こしたヴラトリの目は、黒い。
体は本当にドラゴン。えんじ色のような皮膚、翼を左右に広げ、尾を地面に叩きつけ威嚇して見せた。
「襲ってくるね」
「攻撃はどんな感じだぁ?」
みんながそれぞれ自身の武器を構え、相手の動きを探る。
だが――――
「――――動きませんね」
「動かないな」
さっき咆哮を上げ、地面を揺らすほどに尾をビタンビタンとぶつけていたに、俺達が態勢を整えると動かなくなった。
警戒を高めたか?
「どうしますか?」
「こっちが仕掛けないと、相手は動きそうにないな」
カウンターを仕掛けるタイプのモンスターなのかもしれん。
うーん、さて、どうしたものか。
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