こんな無理やり感のある道、いいのか?
奥に進むと、やっと水が薄くなってきた。
やっとかよ、どんだけ長いんだよ疲れたわ。
しかも、たどり着いた先にあるのは宝箱一つ。…………はぁ。
「――――flame」
――――ドカン
――――ギャァァァァァアアアアア
よし、これで魔法陣はどうにかなったか?
「躊躇しないというレベルではないですね。私への確認すらしないんですか」
「もう、何でもいいやと思って」
どうせ、宝じゃないのはわかっているしな。
悲鳴聞こえたし、ミミックスだろ? 先手必勝だよ。
黒焦げになった宝箱に近付くと、パコッと勝手に開いた。
中を覗き込むけど、暗くて見れない。
しょーがねぇ、炎を灯すか。
「……やっぱり、何もないか」
「これ以外に何かあるという事ですね」
「だよな」
大広場と言う程広いわけではない広場。
踊り場みたいな場所……って、まさか、奥にまだ道が続いているとかないよな?
周りを二人で見回すけど、暗すぎてわからない。
宝箱だけが淡く光っている不思議な空間。
もっと炎を大きくしないといけないか。
――――グルルルルルルルルルルル
「嫌な音が聞こえた」
「音と言うより呻き声ですね。しかも、複数」
複数……はぁ、何処だ?
何処から呻き声が響いてる?
「…………|turbo flame」
「もう、魔法を惜しむことしませんね」
めんどくさい、早く終わらせたい。
flameしか灯りに使ってはいけないというルールはないからな。
部屋全体を照らすには炎の竜巻の方が明るいだろう。
「――――いました」
暗闇から姿を現したのは、モンスター。
でも、見た事がないモンスターだ。
「なんだ、あれ」
「何でしょう。私、モンスターの知識はないんです」
目の前には、犬。普通の、犬。
犬…………なんだ、けど……。
「…………うわ」
「すごいですね」
闇から大量の犬。
まじで、黒い、大量の犬。
「モンスターでいいんだよな? まさか、普通の犬がダンジョンにこんな大量に迷い込むなんてことないよな?」
「あり得ませんね」
「だよな。――――|Mitrailleuse flame」
炎のガトリング砲、発射。
これで一網打尽に――――え?
「避けられてますよ」
「すげっ」
全て避けられた。
でも、焦りはない。めんどくさいが勝っている。
「水をお願いします」
「了解」
魔力を込めようとすると、犬達は一斉に咆哮を上げながら襲ってきた。
バラバラではなく集団で。四方ではなく、前方から。
「wave water」
「frost」
俺が水であいつらを絡み取り、グレールが氷で凍らせる。
十以上はいた犬を簡単に全員閉じ込めた。
「余裕すぎる」
「相性の問題でしょう」
それもそうか。
「では、レバーを探しましょうか」
――――ガッシャーーン
指を鳴らしたかと思うと、グレールの水は犬もろとも粉砕した。
これで、このステージはクリアでいいよな。
「――――おっ、レバーあった」
奥の方にレバー発見。
近付くと、やっぱり錆びて動きそうにないし、触りたくないからflameを放つ。
――――ガッコン
「任務完了」
「お疲れ様です」
んじゃ、来た道戻るか。
※
水はなぜかなくなっていた。
そういや、途中から俺、水の操作してなかったもんなぁ。
気にせず戻り、アマリアとリヒトと合流。いなくなってなくて良かったぁ〜。
「お帰りなさい! 無事で良かったです!」
「よゆー」
リヒトが笑顔で駆け寄ってきた。
めっちゃ嬉しそう、不安だったのかな。
「魔力、出し惜しみすることなく使ったみたいだね」
「それでも余裕だろう」
「そうだね」
魔力を使っている気配を感じたらしいけど、心配無用だ。
それより、魔法陣はどうなった?
上を見ると、魔法陣の色が変わっていた。
解除の色って、水色だっけ?
「途中で色が変わったから、知里達がレバーを動かしたことはこっちで把握出来たよ。同時に、全ての魔法陣が水色に変化した。ここのギミックをクリアしたという証拠だね」
「なるほど」
つまり、どこかに道ができているはず。
どこだぁ……?
「あ、道はあちらに出来たと思いますよ! さっき、音が聞こえました!」
「そうか、なら行こう」
リヒトが指さした方に向かう。
ウキウキしているけど、なんでそんなにテンション高いんだ?
一緒にいたアマリアに聞こうかなぁ。
でも、アマリアは後ろでグレールと話しているし…………まぁ、いいか。
「ここです!」
リヒトの後ろをついて行くと、たどり着いたらしく、目を輝かせ振り向いた。
えぇっと…………。
「へぇ、こんな感じに奥への道が出来るんだ」
「壁に無理やり作ったって感じですよね」
「言うようになったな、リヒト」
「まぁ…………。色々経験してきましたので」
だよな。
今、俺達の目の前には、洞窟に無理やり作ったであろう穴がぽっかりと開いている。
光は、松明が壁に掲げられているから明るい。正しい道らしいな。
「それじゃ、行こうか。リヒトは俺の後ろで」
「前でも大丈夫ですよ!」
え、そこで張り合うの?
眉を吊り上げても意味ないからな?
「はいはい」
「子ども扱いしましたか今!?」
「してないしてない」
ふてくされてしまったリヒトを無視して、出来た道を進む。
途中、トラップがない事を祈ります。
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