俺は褒められたとしても喜ばねぇぞ
魔法陣がある場所に戻ると、アマリア達も戻ってきた。
「魔法陣の色が変わっているね」
「水色から赤になっているな。二つとも」
三つあるうちの二つの魔法陣が、赤くなっていた。
レバーを動かしたからだろうな。
「問題は、真ん中だね」
「真ん中は、どのようにすればいいのでしょうか」
多分、他の二つと同じで、モンスターを倒してレバーを回せば魔法陣を解除できるだろ。
真ん中だけ方法が違うなんてこと、ないよ……な?
わからんけど、ひとまずまた謎解きなのはわかった。
どうすればいいんだよ……、どこにギミック解除スイッチがあるんだ?
「あ、あの。さっきまであそこに、道なんてありましたっけ?」
リヒトが指さした先は、奥へ進む道。
その途中の壁に、犬小屋の入り口みたいな穴が空いていた。
「なかったね。というか、道?」
「道っぽくないですか? アマリア様なら潜れそうですよ」
「言うようになったね、リヒト。僕にこんな土まみれの細道を潜れって言うの?」
「い、いえ! そ、そういうつもりで言ったわけではありませんよ!」
なら、どういうつもりで言ったんだよ。
他にどんな解釈が出来る。ないだろ、潜ってほしいんだろ?
素直に言えって、大丈夫大丈夫。
俺が言うより被害は少ないから。
俺が同じことを言ったら、必ず音魔法か百倍の毒舌が吹っ飛んでくる。
リヒトだったからこのくらいで済んでいるんだぞ。
「この穴、大きく出来ませんか?」
「物理的だな、やってみるけど」
グレールに聞かれたから、とりあえずやってみる。
「flame」
右手に炎を集中して、穴にぶつける。
――――ドカン
おっと、思っていた以上に土埃が舞ってしまった。
うっ、目に土が入る、痛い…………。
「大きくなったね。穴」
「これならチサト様も行けますね」
「あ、それが狙い?」
グレール、なんか、本当に俺に厳しくない?
いや、今回のは俺に厳しいとか関係ないか。
「全員で行く?」
「いえ、これはあの魔法陣を解くためのモンスターかトリックが隠されているだけだと思うので、チサト様ともう一人だけでいいと思います」
「なら、グレール、お前だ」
首根っこを掴み、引きずりながら大きくなった穴に足を踏み入れる。
逃げようとはしないけど、ブツブツと何か言ってんなぁ。
アマリアとリヒトも俺達を見送ったし、このまま行くしかない。
引きずっていたグレールを立たせ、細苦しい道を歩く。
成人男性が縦に並べばギリギリ歩けるくらいの道。ここで襲われてしまえば、身動きが取れないから何も出来ない。
せめて、ここより広い所で襲われたい。
「…………なんか、水の音が聞こえませんか?」
「え、水の音?」
足を止めて耳を澄ませてみると――……
――――ザザザザザザザッ
「あー、たしかに、聞こえるな。前からっ――――」
――――ザァァァァァアアアアア!!!!
「水ぅぅぅぅうううう!?」
前方から水が波のように襲ってきたぁぁぁああああ!!」
「frost!」
俺の首辺りから剣を突き出し、グレールが冷気を放つ。
襲ってきていた水は、frostにより凍った。
「あ、ありがとう」
「いえ。ですが、これでは先に進めませんよ。いかがいたしますか?」
水に襲われず済んだけど、これだと進めない。
道が完全に氷で塞がれている。けど、氷を解くと水が襲い掛かってくる。
炎で蒸発させるか?
でも、俺達に襲ってくる前にすべてを蒸発って出来るかな……。
こんな細道だと、大きな魔法を放つことはできないし、困ったなぁ……。
「そういえば、チサト様。水、操れませんでしたっけ?」
「その方法があったんだ」
俺には、人の水を操れるチート力があったんだった。
「それじゃ、解除しますね」
「ほい」
グレールが魔法を解除すると、水が波のように襲ってきた。
それを魔力で操作、まずは止める。
――――ピタッ
大量の水を一発で食い止めることが出来た。
すげぇーな、俺。
「やはり、凄いですね。相手が水魔法か炎魔法だった場合、チサト様は最強ですね。頼りにしてます」
「それ、俺が喜ぶと思ってる?」
「嫌悪感いっぱいになると思っています」
「わかってんじゃねぇか、良かったよ」
水を壁側に寄せ、道を作る。
大量だから、細道がさらに細い。
水に濡れながら歩くことになってしまった。
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