早く帰りたい気持ちはビシビシ伝わってくるよ
「では、今回のメンバーは、四人ということでお間違いはありませんか?」
「大丈夫だ」
「お二人足りませんが、ダンジョンランクは下げますか?」
「SSで頼む」
「よ、よろしいのでしょうか?」
「よゆー」
では、ないけど大丈夫。
だって、こっちは俺とアマリア、ヤンデレグレールとリヒトだぞ。
アルカとロゼ姫がいないのは痛いが、正直いける気がする。
管理者相手に互角にやり合ってきたからな。
俺達だけの力じゃないけど、SSのモンスターならいけるだろう。
「わ、わかりました……。では、SSランクのダンジョンを確認します。少々お待ちください」
パソコンを操作し始めたオスクリタ海底の受付嬢を待っていると、アマリアが小声で声をかけてきた。
「本当にSSで大丈夫なの? アルカがいないのは結構な痛手じゃん」
「金を稼ぐだけじゃないんだ、今回は。ダンジョンを攻略して、魔法をゲットしないといけない。精霊の方もゲットしないとならんが、流石にSSSランクのダンジョンはきついだろう。妥協した結果だ」
「なるほどね。まぁ、やるしかないか」
アマリアも理解してくれたらしい。
すぐ後ろに下がった。
「――――お待たせいたしました。一つ、空いているダンジョンがありました。ご確認をお願いします」
資料を数枚、渡された。
中を確認すると、地図とダンジョンの詳細が書かれていた。
今まで、散々な目に合ってきたからな。
しっかり確認して、詐欺にあわないようにしないと。
「――――今回は、大丈夫……ぽいな」
「うん、パッと見は大丈夫そうだね」
横からアマリアが覗き込んでくる。
んで、特に怪しい所は見つからなかったらしい。
ランクの所が書き換えられていたり、消されていたりも。いろんなところをまじまじ見たが、特に大丈夫そう。
「場所は、どこでしょうか」
「…………どこだ?」
「地図を貸してください」
あっ、奪われた。
冷静そうに見えるけど、内心焦ってんな、ありゃぁ……。
俺から奪い取ったもんな、手荒かったな。
グレールは他の奴にも、ロゼ姫程ではないにしろ、威圧的な態度や乱暴な事はしないように心掛けているもんな。
…………あ、俺には辛辣だったんだわ。
悲しい事実を思い出すと、グレールが地図をポケットに入れ、俺達に背中を向けた。どした?
「行きますよ」
「場所わかったのか?」
「はい」
詳細を言わずに、グレールが歩き出す。
俺達、置いてけぼり……。
アマリアと目を合わすけど、首を振られてしまった。
ついて行くしかないらしく、何も言わずにグレールの背中を追いかけましたとさ。
※
オスクリタ海底からワープして、たどり着いた先は草原。
…………草原、草原だなぁ。
「何もないね」
「少し歩かなければならないですよ、地図だと」
グレールが地図を片手に歩き出す。
もう、一人で突っ走ってる感。冷静に状況判断しているように見えて、冷静じゃない。
まぁ、グレールならいざという時大丈夫だという信頼感はあるから、別に何か言うとかはしないけど。
静かについて行く事、数十分。
何もない草原の景色は変わらない。
本当にこんな所にダンジョンがあるのか?
いきなり目の前にタワーのようなダンジョンが現れるとか?
ボケ~としながら歩いていると、前を歩いていたグレールが足を止めた。
「どうした?」
「…………もう、たどり着いていてもおかしくないんですが、見当たりませんね」
「え、そうなのか?」
周りを四人で見てみるが、何もない。
奥の方に村が見えるけど、それ以外は特に目立った建物や、不自然な洞窟などは見つけられない。
「地図、見せてもらってもいい?」
「どうぞ」
グレールから地図を受け取ったアマリアは、眉間に深い皺を刻んだ。
「確かに、もう辿り着いていてもおかしくないね。グレールがロゼ姫と離れて、頭が働かなくなったのかなとも思ったけど。そうじゃなくて安心したよ」
アマリア君、なに怖いこと言ってんだよ、やめなさい。
「そこまで取り乱していませんよ。早く帰るには、冷静且つ迅速に行動しなければなりませんので」
「はいはい」
軽く流したな、まぁいいや。
グレールが壊れているんじゃないということは、ここのどこかにダンジョンがあるんだよな。
でも、どこだ?
マジで、それっぽいものがないんだが……。
「……………………地下」
「え?」
「地下の可能性はないかな。緑で出入り口を隠しているのかも」
…………あぁ、可能性はゼロじゃないな。
でも、この緑の中から出入り口を探すのはきつくないか?
魔力を感じられたらいいんだが……。
「そういう事でしたら、私が見つけます」
グレールが言うと、地面に手を付けた。
「glace」
唱えると、グレールの周囲が一気に凍り始めた。
「どわっ!! おい!! 俺も凍らせる気か!!」
「避けてください、自力で」
なんで俺には優しくしてくれないんだよ。
ちゃっかり、リヒトの部分は凍らせないようにしているくせに!!
レディーファーストってか!? うるせーよ!!
「――――見つけた」
グレールは、何かを感じたらしい。
歩き、場所を示してくれる。
草原を少し進んだ先で立ち止まったグレールは、指を鳴らし魔法を解く。
しゃがみ、地面を強く押した。
――――ガコン
「おっ?」
「本当に見つけていたんだね」
地面が抉れた。
中には、下に続く階段。これが、ダンジョンへの入り口か。
「行きましょう」
「おう」
なにも警戒せず進むグレール。
本当に、早く帰りたいんだな。
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