出来るかわからないけど、やってみる価値はありそうだ
爆風が吹き荒れる。
体が吹っ飛ばされそうになるけど、何とか耐えれるな。
「どうなった!!」
「わからん。だが、水魔法はほとんどなくなったはずだ!!」
雨のように落ちる水。
蒸発もしたのか、オスクリタ海底を埋め尽くすほどの水はない。
アクアがまた作り出すかもしれないが、そうなる前にイルドリ王と仕留める!!
「――――アクアがいない!!」
黒煙が晴れると、その場にいるはずのアクアがいなくなっていた。
周りを見ても、どこにもいない。
どこに行った、どこにいる。
「――――ゴフッ」
え、イルドリ王??
振り向くと、イルドリ王の背後には、血を流しているアクア。
にんまりと笑い、イルドリ王の肩越しから俺を見る。
下に目線を落すと、イルドリ王の腹部が、水の刃で貫かれていた。
「な、なにが…………」
「私の魔法は、攻撃に特化したものが多いです。ですが、それだけではありませんよ。比較的、多いだけです」
藍色の瞳が、俺を射抜く。
少しでも動けば、今度は貫いている水の刃が俺に向く。
「|assimilation」
「アシミレイション…………」
な、なんだっけ。なんという意味だっけ。
「背景と同じ色になっただけですよ。気配は、息を殺しただけです~」
ニコニコと笑っているアクアが、怖い。
言葉に出来ないくらい、怖い。
「ここまで命を懸けた戦いは久しぶりでした〜、すごい楽しかったですよ〜。では、殺しますね?」
「まっ、待て!!!」
止めようと動き出したのと同時に、アクアは剣の刃を無理やり横へと向け、イルドリ王の身体を引き裂いた。
血しぶきが舞い上がり、イルドリ王が地面に落ちる。
くっそ!! まだ、間に合う!!
すぐに腕を掴み、引き上げた。
「イルドリ王!! イルドリ王!!!」
声をかけるが、反応はない。
黒い翼も小さくなり、体から力が抜けていく。
血がボタボタと落ち、このままでは命が危ない。
「あれぇ~? これで人間は死ぬのに。そこは、神に選ばれたアンヘル族の体なんですねぇ〜」
クスクスと笑って、アクアがイルドリ王を蔑む。右手を動かし、上に。次の攻撃が来る!!
「|trombewater」
「turboflame!」
一度蒸発した水が、再度巻き上がり、水の竜巻が複数作られる。
同時に俺も、炎の竜巻を作る。
水と炎の竜巻がぶつかり合い、爆発音が鳴り響く。
水しぶきが舞い上がり、火の粉が飛ぶ。
属性は俺の方が弱いが、互角にはやり合えている。
でも、もう一歩。いや、もう一手が欲しい。
何か、他の……。
「まだ、発動して、い、るぞ……」
――――え。
「イルドリ王!?」
あ、気を失ってる。
え、なに、こわ。
「よそ見とは、余裕ですねぇ~??」
「っ!」
炎の竜巻が押されてる!! 魔力を込めないと!!
「――――っ、手の甲が、光って……」
視線を一瞬落すと、視界の先が赤く輝いた。
顔を上げると、視界に広がるのは赤く燃え上がる炎の竜巻。
さっきまでとは比べ物にならないほどの威力、熱風、大きさ。
turboflameは、魔力を増やせば増やすほど数が増えるものだと思っていたけど、それだけじゃないのか。
数ではなく、一本に魔力を集約させ威力を高める事も可能らしい。
これは、イルドリ王が刻んだ証と関係あるな。
詳しく説明受けなかったが、証を刻んだ対象の魔法の威力を上げるものなのかもしれない。
イルドリ王が気絶しても、発動し続けるのはすごい。
でも、薄くなっている。これは、命を表しているのかもしれないし、早くしないと。
早くしないと……で、アクアを退ける事が出来たらいいんだけどさ!!
威力を上げても互角、少し押し返しているけど、その程度。
アクアの魔力、マジで……ま、待てよ?
少しおかしくないか?
だって、もし、魔力で俺が完全にアクアに負けているのなら、ウズルイフがフォーマメントまで行くのはおかしい。
いや、それより、俺から魔力を奪うという大きな動きは見せないだろう。
だって、この世界は魔力がすべて。
ソフィアを見ていると、そうと言い切れない部分もあるけど、管理者を相手にするのなら、そうだろう。
アクアの魔力が俺より多いとわかっているのら、アクアと戦闘を行っている俺に攻撃を仕掛ければいい。
アクアに気を取られている時にとか。
まぁ、そこまで単純な事はしないだろうけど。
というか、アクアが俺を本気で殺すように上は指示をすればいいだけ。
上には従うタイプだと言っていたし、怒られたくないとも言っていた。
まさか、アクアの魔力は俺の魔力と互角か、それより少ないのか?
でも、今までの戦闘では魔力の差は感じなかった。というか、アクアの方が多く、俺が負けていた。
実力か? 魔力の出し方で、相手より多いと錯覚させるような。そんなコツがあるんだろうか。
もし、そうだとしたら、今も威力で押せばどうにかなる……けど、ここで魔力を最大限まで上げて、アクアを倒す事が出来なかったらこっちの負けだ。
でも、もう威力で押す以外の選択肢がない。
せめて、属性がこっち優位だったら嬉しかったのに……。
「あ! そうだ……」
いい事、思いついた。
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