まだまだ知らないことがたくさんあるなぁ
「確か、知里も属性違いの竜魔法を持っていましたよねぇ~?」
「持っていたが……」
目の前にいるのは、巨大な竜。見られるだけでこの場の空気を全て変えてしまう程の威圧感。
「私も持っていたんですよぉ~。奇遇ですねぇ~」
「いやいや、奇遇とか、そういう問題じゃないだろう……」
隣にいるイルドリ王を見ると、苦い顔を浮かべていた。
「竜魔法……。ここまで大きなものは今まで見た事がないな
「竜魔法について、知っているのか?」
「知ってはいるぞ!!」
へぇ、魔法を扱わないアンヘル族でも、竜魔法は知っているんだな。
「では、喰らうとしましょうか。いっけぇぇぇえ!!」
無邪気に特大竜魔法を放ちやがった。
「くっ、かくなるうえは……」
「待て! 俺がやる」
何かをしようとしたイルドリ王を止め、魔力を集中。
竜には、竜をぶつけてやる。というか、それしか太刀打ちできる魔法がない。
「頼む、何とか互角までは持ちこんでくれ――――|Dragonflame!!」
最大出力で、炎の竜を発動。
大きさは少し相手より小さいが、それでも太刀打ちできるだろ!!
「行け!!」
大きな咆哮を響かせ、炎の竜は突っ込む。
相手も同じく空気を震わせる咆哮を出し、迎え撃つ。
っ! 風圧で吹っ飛ばされそうなんだが?!?!
「うわっ――――ん!!」
あ、あれ、吹っ飛ばされたけど、誰かが俺の背中を支えてくれた。
いや、この状況でそんな事ができるのは一人しかいないか。
「大丈夫か!!!」
「うっさ……、いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
耳元で叫ばないでほしい、マジで耳が壊れるから。
でも、助けてくれていたし、うるさいとは言えない。
ちょっと口から出たけど、言えない。まだ、相手に聞かれていないから、セーフセーフ。
「同じ竜魔法か。差が出ているな」
「わかってるっつーの。だが、俺の今の魔力だとこれが最大値なんだ。それに、飛行魔法も使っている。チート魔力だからといって無限じゃないんだぞ」
と、文句を言っても実力差が埋まる訳では無い。少しずつだが押され始めている。
大きさの差なのか、実力――――の、差は出ていてもおかしくはないか。
「まだまだ行きますよー!!!」
え、水の竜魔法に手が生えた、だと?
まずい、身動きが取れなくなった!
手で体を押さえつけられ、大きな口で首元を噛まれている。
何とか炎の竜も耐えてくれているが、時間の問題だ。
「あははははっ!! 悔しいですか!? 苦しいですか!? もっとです、もっと楽しんでくださいよ! 知里!!!」
もう、気に障ってんじゃねぇかよ。
何がそんなに楽しいのか、なんでそんなにも笑えるのか。
アクアの場合、自分が押しているからという事はない。押されていても楽しく、逆転の一手を示す。
それに、これはあくまで俺の偏見だが、アクアは追い込められるほど、大いに楽しむタイプ。
「チサト」
「な、なんだ」
「動いてもよいか!!!」
え、い、いや、良いけど。何で俺に許可を取ろうとするんだ?
別に、俺は止めてない……。
「先ほど『待て』と言ったではないか!! だから待っていた!! 動いてもいいだろうか!!」
……あぁ、無意識のうちに言ったような気がするな。
それは咄嗟に出た言葉だから、時と場合を考えようぜ?
「た、頼んでもいいか?」
「わかった! なら、君の竜魔法を強化させよう!!」
え、俺の竜魔法を強化?
「行くぞ!!」
「え、え?」
なんか、俺の右手を掴まれたんだけど? ん? 淡い光?
なんか、淡い光が俺の甲に注がれる。
「よし!! 今より魔力を込めるが良い!」
手を離すと、俺の甲には翼が二枚、重なっているようなマークが刻まれていた。
マークというか、証? なんの証だ?
「早くするんだ!! 押されているぞ!!」
「~~~~~もう!! なんで俺の周りの奴らはいつもいつも説明をしてくれないんだよ!!」
だが、押されているのは事実。
よくわからないけど、魔力を込めればいいんだろ!?
「よくわからないけど、やってやるよ!!」
右手に魔力を込めると、右手に刻まれた翼が光り出す。
すると、手のひらから赤い炎が燃え上がる。同時に、炎の竜魔法にも動きが見えた。
「え?」
アクアのぬけた声、いや、俺も出る、抜けた声。だって、…………え?
「か、噛みちぎった??」
水の竜を、炎の竜が噛み千切った、だと?
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