新しい魔法がここで出す事になるとは思わなかった
まさか、俺が魔力で負けたという事か?
いや、そんな、まさか。せめて、互角にやり合ってもいいはず。何でこんな簡単に……。
「――――これが狙いかよ!!!」
ウズルイフの本当の狙い。それは。アクアに俺を殺させる事。
俺の魔力を奪ったのは、そもそも前座。俺が魔力を取り戻した時が勝負かよ。
「どういうことなんだカガミヤ!」
「ちっ……。ウズルイフが俺の魔力を使って大量の魔力を使い、イルドリ王と戦っていたんだ、さっきまで」
つまり、事前にオスクリタ海底をアクアに襲わせ、俺達を戦闘へ持ち込ませ、魔力差で俺が負けるように仕向けた。
こんな感じの筋書きだろう。
くっそ、ここまではさすがに読んでいなかった。
「話している余裕、ありますかぁ〜?」
「ちぃ……。わぁってるよ!!」
魔力を右手に一点集中。動きを止めた波が微かに動き始めた。
アクアは楽し気に笑い、余裕の表情。自身の操っている波も正確に俺達の方へと向かわせた。
「くそが!! 動けよ!!!」
「――――え」
アクアの困惑声。同時に、俺のwave waterが動き出した。
アクアの操っている波と俺の波、大きな音が響きながらぶつかる。
水飛沫と共に強い風が吹き荒れる。
イルドリ王…………安定し過ぎだろう。台風並みの風なのに、一切ぶれない。
アンジュとアンジェロは吹っ飛ばされそうになっている、ついでにグラースも。
って、いやいや、安定しているのなら、俺は魔法に集中しないと。
少しでも気を抜けば一瞬のうちに持っていかれるぞ。
「へぇ、これは驚きましたぁ~。確か、魔力はないんじゃなかったでしたっけ?」
「まったくないわけじゃねぇよ、なめんな」
「まぁ。いいですぅ~」
「いいんかい」
このままだと、確実に俺が押し負ける。
早く相殺したい。
いや、相殺したとしても、全ての水魔法を消すのは不可能だ。
逃がしたくとも、ここは海底。水に囲まれているから、逃がすことが出来ない。
「――――チサト!!」
「は、はい!?」
「空は飛べないのか!?」
「無理ですねぇ!?」
いきなりなに言ってんだこのアンヘル王が!!!! 手元が狂っちまうじゃねぇか!
一瞬気が緩んで押されかけたぞ、すぐに集中力を戻して事なきを得たけど……。
「なんでいきなり飛べるかどうか聞いて来たんだよ」
「このままでは私が戦闘に参加出来ないからだ!」
…………あ、あぁ、そういう事か。
俺を抱えているもんな、戦闘に参加出来ないか。でも、困った。
俺は空を飛べない。
なにか、飛べる魔法があるだろうか。
『水魔法に一つ、飛行魔法があります』
「今すぐ教えてくれ!!」
『こちらです』
アビリティが魔法一覧を開いて見せた。
一つだけ文字が光っている、これか。
今は水魔法を発動している。消して、すぐに飛行魔法を出す形になるな。
炎魔法で相手をしなければならなくなる。
今は魔力が俺の方が少ないし、さすがにきついが、イルドリ王が戦闘に参加できる面で考えると、そっちの方がいいか。
「飛べる魔法があるらしいな!!!」
「あぁ。だが、そっちを発動すると、アクアの攻撃をせき止めている波が消えちまうんだ。それだけじゃなくて、炎魔法しか出せなくなる」
「そうか!!! それなら発動してもらおう!!」
「…………はい」
それならの意味は如何に……。まぁ、いいや。発動しまーす。
「《ala・water!」
発動すると、wavewaterは消える。
同時に、俺の背中には水の翼が作られた。
「離すぞ」
「お、おっす」
ばっ、と離されっ!?
待って待って!! 落ちる落ちる!!! どうやって翼を扱うの!?
『意識だけで出来ると思います』
「簡単に言いやがって!!!」
くっそ!!! 鳥をイメージすればいいのか!? 鳥ぃぃぃいいい!!!!
――――バサッ
「ふぅぅぅう。飛べた――――あ」
イルドリ王が見えない壁で波をせき止めている。
余裕……ではないな、口角は上がっているけど、表情が硬い。
「へぇ。やっぱり、知里は面白いですねぇ~」
「なんで俺!? 今やり合っているのはイルドリ王なのに!?」
「知里の周りに、強い人が集まっているんですよぉ~? 知里が面白いからじゃないですかぁ~」
「今回のは絶対に違う!!」
っ、アクアの目線が、俺達の後ろに回された?
「――――アンジュ!! 後ろだ!!!」
アンジュの後ろから高波が襲い掛かろうとしている!!
「あっ――――」
気づいた時には遅い、今から避けても間に合わない!!
「flame!!」
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