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信じてくれないなんてひどすぎる

 今すぐに管理者について聞いても良かったが、さすがに体や頭を休めようと言う話が出て、休憩を挟もうという事になった。


 話し合いを開始するのは、一週間後。

 本当は一か月間の休みをしなければならないのだが、そうも言ってられん。


 そう言うと、せめて一週間は何もない時間を過ごしてほしいと女性陣に訴えられ、話し合いはその休暇の後という事になってしまった。



 ベッドに寝転がり、アマリアから受け取ったホクホクになった通帳を見て時間を過ごす。


 アルカとリヒトは、途中合流したロゼ姫も交え楽し気に話している。

 楽しげに話せるのは、海底人の人達が落ち着きを取り戻したからだろう。そうやって報告してくれた。


 アマリアも本を楽しみ、グレールは壁に寄りかかり目を閉じている。


 寝ている――――わけではないな。

 寝息は聞こえない、あれが楽なのか?


 クラウドは、さすがに一人にするわけにはいかないと、俺達と共に居てもらう為、この部屋で待機させている。


 最初は嫌がっていたが今は諦め、壁に背中を預け腕を組み寝ている。

 こっちは、完全に寝ている。寝息が聞こえる。


 他のアンヘル族は、もういない。

 オスクリタ海底を自由に散歩したい言い出し、買い物を楽しんでいる。


「はぁ…………」

「? どうしたんですか、カガミヤさん」


 あ、ため息が聞こえてしまったらしい。

 リヒトが近づいてきた。


「いやいや、気にしなくていいぞ。なんとなく、疲れたような気がしただけだから」

「本当ですか? 体調などは大丈夫ですか?」

「問題ねぇよ」

「…………」


 …………大丈夫だと言っているのに、なんで不安そうなんだよ。

 俺、本当に大丈夫なんだけど?


「本当に大丈夫だって、安心しろ」

「…………」

「信じろ、俺を」

「信じられる要素が今まで無かったので……」

「なんでだよ、畜生」


 今までそんなに無理してたかぁ~?

 んー、してない、よな?


 だって、現代社会で有名だったアニメの主人公とかは、もっと酷い過去を背負っていたり、仲間に心配させないように一人で抱えたりしているだろう。


 その点俺は、自分を犠牲にするなんてまっぴらごめんだし。

 トラウマはあるが、特に普段から苦しんでいる訳じゃない。


 切り替えもできるし、普段は普通。

 そんな心配される要素、ないと思うんだけど。


 …………駄目だ、俺が何を言ってもリヒトは引かない。

 この世界に来てから人の気配や視線にも敏感になっちまったし、通帳に集中できん。


 まずは、リヒトに安心材料を渡すことにするか。


「はぁ……。リヒト、今は暇か?」

「え、ま、まぁ。やる事はないですが…………」

「なら、ちょっと出るぞ」

「…………え?」


 言葉で駄目なら、行動に起こすしかない。

 オスクリタ海底を一緒に回れば、俺が大丈夫なのすぐに理解するだろ。


 ついでに新しい武器や魔道具なども見て、使えそうなもんがあれば買い揃えようか。


「んじゃ、リヒトを借りるぞ」

「へ、あ、あの、カガミヤさん!?」


 リヒトの手を引き、無理やり外に出る。

 暇していたし、たまにはいいだろう。


 ――――――――パタン


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 残されたアルカとロゼ姫は、椅子に座りながら顔を見合せ、目を丸くしていた。


 そんな二人に、壁に背中を預けていたグレールが近づく。


「チサト様、リヒト様の事を慰めに行かれたのでしょう」

「え、カガミヤが? そうなのか?」

「おそらくですがね」


 何やら楽し気にしているグレールを見上げ、アルカは首を傾げる。

 その二人に挟まれ、ロゼ姫が口元に手を当てクスクスと笑っていた。


 そんな時、グレールは小さな疑問を感じ、アルカを見た。


「チサト様、アルカ様と出会った時、どのような方だったのですか?」

「え、カガミヤと出会った時か?」

「はい、リヒト様もアルカ様も、チサト様が何か人助けをしたり、優しい言葉を投げかけると、何やら驚いておられますので、よっぽど、出会い方が酷かったのかなと」


 流れるように毒を吐くグレールの口元は笑っており、アルカの話を今か今かと待っている。


 それはロゼ姫も同じで、優し気に二人を見て話の続きを促していた。


「あー、そうだなぁ。そこまで酷いわけではなかったんだが……」


「うーん」と、腕を組み唸りながら言葉を探す。


「……今以上に金、金とは言っていたなぁ」

「え、今以上、に?」

「おう」


 アルカが自信満々に言い切ったため、疑う余地は無い。

 その事に、グレールとロゼは目を合わせ丸くする。


「今以上とは、よっぽどだったの…………では?」

「よっぽだったぞです!!」


 なぜ、ここで元気いっぱいに言い切れるのか。

 二人にはわからなかったが、それがまたおかしく、「それで?」と、続きを促した。


「最初は、ダンジョンで初めて出会って――……」


 ここからアルカは、楽し気に知里との出会いを話し出した。

 ロゼとグレールは笑顔のまま聞き入る。


 本を読んでいたアマリアはちらっと顔を上げ三人を見ると、フッと口元に笑みを浮かべた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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