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これで試験はクリアかねぇ~

「な、何が起きたんだ?」

「怪我を治しただけだよぉ~?」

「治し方……。事前に教えてくれよ……」

「ごめんごめん」


 ヘラヘラしながら謝るな、腹が立つ。

 顔を引きつらせていると、俺から離れた。


 まだ眉間に皺を寄せているアンジュの元に戻ると、犬のしっぽが見えそうな程すり寄り『ほめて、ほめて』と表情だけで訴えている。


 それはいつもの事なのか、アンジュは肩を竦めつつも頭を撫でてあげていた。


 なんだ、この茶番。


 はぁ、何だろう。ものすごく疲れた。

 もう、恩を返さなくていいから、俺はこの場から居なくなりたい。


「あ、あれ。アマリア?」


 アマリアが勝手にドアの方に行っちまった。

 …………あぁ、なるほど。お前が一番ここから離れたかったのな。


 ここにいる理由もないし、俺も行くか。

 どうしても俺に手を貸したいとかだったらついて来るだろう。


 よし、アマリアに追いついた。

 さてさて、ドアをひらっ――……



 ――――バンッ!!



「あれ、なんで一度開いたドアを閉じたの?」


 アマリアが聞いて来るが、仕方がないだろう。

 だって、だって……。


「外、さっきの男の仲間らしい集団が、こっちに向かって来ていた」

「めんどくさいね」


 うん、本当に、本当にめんどくさい。

 つーか、なんで、なんで?


「クスクス」


 後ろ、笑い声?

 振り向くと、アンジュが面白そうに俺達の方を見ていた。


 な、なんだよ。


「ここは、ある不良グループのたまり場なの」

「だ、だから?」

「自分の縄張りを荒らされているのよ? そのドアから簡単に帰れるとは思わない事ね」


 こいつ、何かを企んでやがんな。


「知里、どうする。殺す?」

「…………待て」


(「アビリティ、透視」)

(『了解。透視発動準備、整いました』)


 速攻で透視を発動。

 アンヘル族に透視が効くのはもうわかっている。


(さぁて、あの人間。人間相手にどのような手を使って引かせるのかしら。もし、殺そうとしたら、カケル様には悪いけれど、手を貸したくはないわね)

(今回で、あの人間の本質がわかる。人間を殺すか、否か。楽しみ楽しみ~)


 ――――理解した。

 あいつら、この状況をわざと作りやがったな。

 俺が、人間を殺して自身の命を大切にした時点で見切りを付けようと考えているらしい。


 俺の本質を見抜くための試練、と言った感じか。

 俺、頼んでないのに、強制試練。


 俺が殺してぇのは、人間じゃなくておめぇらだわ。


「はぁ……。アマリア、簡単に殺そうとするな。さっきと同じように引かせる形を取ろう」

「めんどくさいよ?」

「殺した方が色々めんどくさいだろう。それに、殺す価値、あるか?」


 言うと、こっちに向かって来ていた集団が、様々な武器を片手にドアをぶち破り入ってきた。


 強面男どもの大量発生。

 ガムを噛んでいるのが大将か。


 大将はガムを噛む法律でもあるのか? 余裕あるように見せているだけか?

 汚いからやめて欲しい。音を立てるな。


 あんな、俗悪顔を浮かべているような奴、殺す価値すらない。

 殺して、俺達の手を汚す必要はない。


 それと単純に、殺すとアンヘル族がめんどくさい事を起こしそうな気がするからやめておきたい。


「お前らが、俺様の縄張りを荒らしているという奴らかぁ~?」

「荒らしているつもりはありません。ここから動いてもいませんし、何もしていないかと思いますが?」


 片手をあげ否定するが、聞く耳は持ってくれない。

 そりゃ、そうだろうけど。



 ――――ガンッ ガンッ



 手に持っている鉄パイプやバットを床に叩きつけている。

 なに、物理攻撃? 魔法じゃないんだ。


「俺達の縄張りに忍び込んだ時点で荒らされているんだ、こっちはよぉ~」

「それは俺達の意思じゃねぇんだけどなぁ」


 何を言っても意味はないだろうけど。

 さて、どうしようかな。


 両手を上げ降参ポーズを一応するが、意味はない。

 手に持っている武器を握り直したかと思うと、俺達に下品な視線を向けてきた。


 笑ってる、気持ち悪い。


「――――いけぇぇえ!!」


 ガム噛み大将が武器を担ぎ言うと、集団が迫ってきた。

 ドサドサとうるさい音、気配を消す事すらしないんだ。


 集団だから、消す事すら出来ないか。


「アマリア、音魔法」

「了解。――――vibration(ヴィブラシオン)


 耳を塞ぎながら言うと、すぐに察したアマリアが制御不可の魔法を発動。

 予想出来ていなかった集団はもちろん、後ろのアンヘル族二人にもダメージ行くだろう。


 チラッと見てみると、うん。

 耳を塞いで苦しんでいるな、ざまぁ。


 俺を苦しめた罰だ、少しは仕返しくらいしてもいいだろう。


 …………まぁ、耳を塞いでいても普通に耳痛いけど、俺も。

 一番近くにいるのは俺なんだから、仕方がない。


 数秒後、アマリアは魔法を消した。

 すると、集団は一気にKO。勝負はついた。


「まさか、殺したの?」

「そんなわけないでしょ。僕はもう無駄に殺さない。気絶させただけ」


 振り向きながら、アマリアが冷静に答えている。


「それに、音魔法は元々殺傷能力は高くないんだよ。僕単体で人を殺すのは難しい」


「できなくはないけどね」と付け加えて、口を閉ざした。


「さて、殺してはいないぞ。これで、俺達はお前らの試験を無事にクリアしたんか?」

「試練…………ですって?」

「今までの茶番は俺達を試していたんだろ? ここに連れ込んだのも、あいつら(不良グループ)を利用するためか」


 おそらく、管理者であったアマリアと共に行動している時点で、こいつらからしたら予想外な出来事。


 俺がアマリアと同じ思考で、人を簡単に切り捨てる奴だった場合、カケルを助けると言えど従いたくはない。


 だから、俺達が無駄に人を殺すのか。

 自分の為なら命を無駄に扱う奴らなのか。

 それを確認したかったんだろうな。


 フォーマメントから見ていたのなら、俺達が無駄に殺さないことはわかっているはずなんだけどなぁ。


 つーか、人の命をそう簡単に捨てられているのなら、俺はここまで苦労なんてしていないっつーの。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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