何でこうなるんだよ、俺が一体何をした
「アマリア君、元管理者はどうした」
「頭に血が上ったね。今は落ち着いているから、黒歴史を呼び起こさないで」
「気持ちはわかるぞ、ぷぷっ」
「笑っている余裕あるの? 拘束されているのに」
「死にたい」
「一応生きて」
一応って、酷いなぁ。
俺達は今、薄暗い倉庫の中と思われる場所で、体を縄により拘束され身動きを封じ込められていた。
両手は背中に回され、通気口? に縛り付けられている。
足は拘束されていないから胡坐、隣ではアマリアが俺と同じく拘束され落ち込んでいた。
「なんでこんなことになっているんだ?」
「知里がもろにアンジェロの攻撃を喰らっていち早く退場という名の強制睡眠に入り、すぐに音魔法を出したが無効化され、僕も退場され今に至る」
簡単な説明、ありがとうございます。
「いやぁ、まさか、音魔法に耐性があるなんて思わないじゃん、驚いちゃったよ」
「驚いちゃったよ、じゃないんだよ」
口調は冷静なんだよなぁ、アマリアって。
でも、恐らくだが、今こいつの頭の中はいたたまれない気持ちでいっぱいだろう。
「ねぇ、知里」
「なんだ?」
「ここから脱出するために、もう動き始めてもいいと思う?」
「やめとけ、第二次被害が起きては困る」
「だよね。少しここで待機しておこうか」
「へいへい」
待機する分には特にいいんだが、この後何されるのかが怖いよなぁ。
逃げ出したくても、ここがどこだかわからないし、わけもわからず動いて、また捕まっちまったらまずい。
それなら、確実なものをゲットしてから動き出したい。
「……ゴホッ」
「埃っぽいねぇ。あまり使われていない倉庫的な場所に入れこまれているという情報はゲット〜」
「俺の咳で情報ゲットすんな」
焦られても困るが、ここまで冷静なのも逆に腹が立つな。
「…………さむ」
「あ、ここ寒いんだ。気温が低い所なんだねぇ」
「みたいだな。人の気配もないし。グランド国の捨てられた場所か、外か」
「他になにか感じることは無いの?」
「感じることねぇ……」
そういや、アマリアの体は寒さとか感じないんだっけ。
痛みとかも感じないとか言ってたか。
目を閉じて、気配や肌に刺さる感覚などに集中してみたが、今言った以外のものは感じない。
こういう時グレールがいれば、微かな空気の揺れや風などを感じでくれるとは思うんだけど………。
つーか、アマリアが共に捕まっちまっているのが痛い。
離れすぎても無理だが、仮にアマリアが自由に動ける状態なのなら、俺の魔力を探知して助ける手配をしてくれていただろう。
まぁ、ないものねだりをしても仕方がない。
今は出来る事をしないとならんな。
「まぁ、殺意はないだろうし。次のイベントが起きるまで待機していてもいいかもしれないね」
「殺意がないって、なんで言い切れるんだ? お前は喧嘩を吹っ掛けられたんだろ?」
俺達を捉えたのは、確実にアンヘル族の二人。
そのうちの一人、アンジェロはマイペースっぽいし、人の話を聞かない。でも、会話は出来るし、理性はある。
だが、アマリアに問答無用で喧嘩を吹っ掛けた女の方はわからん。
アマリアを殺すついでに、俺も狙われたのかもしれないし。
「まぁ、ね。それは置いといて」
「置いといていいのか?」
「そう言えばなんだけどさ」
あ、俺の言葉はスルーなのね。はいはい。
「なんだ?」
「知里は、アンジェロと何か話をしたの? 湯船とかで」
あ、あぁ、そうだ。
「たしか、恩を返したいとかほざいていたぞ、あいつ」
「恩を返したい? 僕が管理していない所でアンヘル族に会っていたの?」
「管理されていたところはマジで腹立たしいが、それはもういい」
ツッコんでも、もう意味は無いしな。はぁ……。
「俺は、アンヘル族に会ってなどいないし、あいつなんて知らない」
「なら、なんで恩を返したいって話になるの?」
そんな事、俺に聞かれても困る。
「詳しく聞いてみたら、あいつらは昔、カケル率いる冒険者達に助けられた事があるらしいぞ」
「…………だから?」
「俺を通じて恩を返したいらしい」
「知里の事、知っているの?」
「さぁ、わからん。そこまでは答えてくれんかったしな」
俺とカケルの繋がり。
もしかしたら、知っているのかもしれない。だが、それを答えてはくれなかった。
言えない事情があるのか、今はまだ話すべきではないと判断したのか。
わからんが、これから関わるのなら、そこらへんははっきりさせたい。
――――ガラガラ
ん?
「誰かが来たのか、二人が戻ってきたのか」
「気配的に、ただの人間な気がするんだ……が?」
ぞろぞろとこっちに来たのは――――一般人ではないな。
「あぁ~??? 誰だおめぇら」
チンピラ? ヤクザ?
ん? ひとまず、俺達今、やばくない?
なんか、坊主のサングラスの強面集団が俺達を囲って、ガムを噛みながら見下ろしてくるんだけど。
「えぇ~と。俺達はよくわからない人達に拘束され動けないでいる可哀想な一般人です。もしよかったら助けてくれませんか?」
正直に言うと、リーダー的な人が後ろにいる集団を見た瞬間、何を思ったのか急に笑い出しやがった。
なんだよ、俺は真面目に話しているというのに、なぜ笑われないといけないんだ。
「お前ら、可哀想な奴らだなぁ~。俺達の縄張りで拘束されるなんて」
サングラスの強面男が俺の前で座り、顔を上げさせられ嘲笑われる。
くっちゃくっちゃと音を立ててガムを噛んでいるのがマジでキモイ。
「あぁ? なんだ、その顔」
「普通の顔です。決して軽蔑しているわけではありません」
「あぁ!? 拘束されている分際で俺を馬鹿にしやがったのか!!」
「思考がぶっ飛んでるんだけど。馬鹿にしていないのに」
青筋を立て、男が拳を握り、降りかぶっ――……
――――――――ゴンッ!!
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