何で起きたばかりでこんな事に巻き込まれないといけないんだよ
「…………疲れた」
「起きてすぐだったからね」
まじでそれよ、俺に休息をくれ……。
寝ている時間は休息ではなく、魔力回復だ。心身共に回復できる休息時間をくれ。
「とりあえず、こいつには城の中で監視を付けさせてもらおうか」
アマリアの提案に、グレール達も納得。
警備員はクラウドを捉えようと手錠を持ち近付いて行くんだが……。
「こっちに来たら殺す」
殺気を放ち、警備員達を牽制し始めちまった。
あれだと、鍛えている警備員でも迂闊に近付けない。体も震えているし、無理だな。
俺とアマリアが殺されそうになった光景が、警備員の頭を占めているかもしれねぇ、ちくしょう。
「なぁ、そんなに警戒しなくても痛い思いはさせないぞ」
「そんなもん、どうでもいいわ。ただ、俺様を拘束しようとするのは許せねぇ。俺様は自由に生きてきたんだ、ほんの少しだろうと縛られんのはごめんだっつーの」
あいつの視線は、警備員が持っている手錠に向けられてる。
なんでだよ……はぁ……。
「縛られるのが嫌なのか? それなら、城の中で一人大人くしてくれんなら手錠はしないと約束すっ――」
「無理」
「俺がお前を拘束してやろうかこの糞天使」
「出来るもんならやってみろや」
ちっ、こいつめんどくせぇな。
「なら、本当に拘束してやるよ。力ずくでな――――|siege flame」
一応持ってきていた魔導書に触れ、魔法を発動。
炎の鳥籠でクラウドを封じ込んだ。
「なんだ、この檻」
「炎の鳥籠、|siege flame。そこからは、簡単に逃げられないと思うぞ」
余裕そうにしているが、不愉快と顔に書いているな。
────ん? あいつの左手、光出した?
「ふん、舐めんな。俺様も、こんな事が出来るんだぞ」
光出した左手を横一線に振りかぶっ――……
「?! アルカ! リヒト! しゃがめ!!」
後ろにいる二人を押し倒し、地面に伏せる。
瞬間、頭の上に光の刃が通る。
転ばせた形になってしまったが、避けられたのならなんも文句ないだろう。
「今のって、あいつの魔法か……?」
でも、何も唱えてなかったよな?
俺の魔法を簡単に切るなんて……。万全ではないにしろ、なんか悲しい。
炎の鳥籠が切られたことで壊れ、消えるように崩れ落ちてしまった。
魔法、ではない気がする。
魔力を感じなかった。
「へぇ、また避けやがったな。俺様の攻撃をことごとく避けやがって、面白い男だなぁ……」
「額に青筋立てて何言ってんだか。めっちゃ怒ってんじゃねぇかよ」
笑っているが、怒ってる。
いや、頭に血が上り過ぎて、笑うしかないって感じか?
「次、行くぞ? 避けんなよ?」
「させるかよ。|turbo flame」
クラウドの足元から炎の竜巻を繰り出す。
周りには野次馬がごろごろと居るから、威力は抑えたがな。
「――――これが、魔法、か」
足元から現れた炎の竜巻を後ろに下がり回避。だが、完全には避けられなかったみたいだな。火の粉があいつの頬を掠っている。
目を輝かせ、俺の炎の竜巻を見ているクラウド。
さっきまであんなに怒っていたのに、今は目を輝かせ、子供のように笑っている。
な、何がそんなに嬉しんだ?
「これはおめぇが出したのか? さっきの炎の檻も、同じ原理なんか?」
「ま、まぁな。魔法という事でなら同じ原理だ」
炎の鳥籠は腹たったみたいだが、炎の竜巻は喜んでいる。
相当、拘束されんの嫌なんだな。
「今の魔法ってやつ、俺が攻撃をしようとすれば放ってくれるのか?」
「――――ん?」
え、なんか、嫌な予感がする。
「それなのなら、さっきと同じことを繰り出してやる」
「待て待て待て??」
え、魔法を見たいだけで俺は殺されそうになるって事?
はぁ? おい!! ふざけるな!!
「死ね。死にたくなければ俺様に魔法を見せろ!!」
「攻撃を放たなくても魔法を見せてやる からやめろぉぉぉお!」
またしても光の刃が繰り出され――あれ?
「なにも、来ない? ん?」
クラウドを見てみると、あいつは目を丸くして自身の手を見下ろしている。
あいつの左手、光の刃は出来ているけど、刀くらいの長さしかない。
俺達へはさすがに届かないリーチ。
なんで、あんなに短くなっちまったんだ? 一回しか出せないとか?
でも、さすがにそれだと使っている本人は知っているはず。
なんであいつは驚いているんだ?
「…………あぁ、これか」
火の粉がついた頬を右手で押さえ、何やら納得している。
「あー、さっきの炎の竜巻か。火の粉が飛んだって感じだな。痛感が無いから気づかんかったわ」
ツッコミ待ち? ツッコミ待ちなの?
痛感がないという所にツッコミを入れた方がいい感じ?
「…………はぁ、なぁ、そこの黒髪」
「黒髪……あ、俺しかいないわ」
俺の周りには黒髪はいないし、唯一は俺。
そう言えば、黒髪比率少ないな。現代では黒髪が当たり前でもあったんだけどなぁ。
「また、魔法ってやつ、俺に見せてくれねぇか?」
「別に見せるのは構わないが、今は疲れている。休んでからでもいいか?」
「あぁ、いいぜ」
なんか、うきうきと花を飛ばしている。
そんなに俺の魔法、見たいのか?
とりあえず、よくわからんが大人しくなったみたい。
グレールが手錠は付けないが言う事は聞けと言うと、「魔法を見せてくれるのなら」とニコニコ顔。
一応俺を見て確認取ってきたけど、今すぐに休めるのならどうでもいいと思って、適当に頷いた。
もう、俺を休ませてくれ。
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