二日酔いというものを初めて味わった
「何をしているんですか、アマリア様」
「あっ……」
お酒を飲み始めて数時間後、グレールが眉を顰めながら部屋に入って来てしまった。
「どんだけ飲んだんですか……」
どんだけ……。
どんだけ飲んだと聞かれると、どんだけ飲んだんだろうか。
えぇっと、周りには酒瓶が五個以上転がっているね。
これは僕が飲んだ分。わぁ、五瓶も飲んでいたのか。
「おいしいよ、お酒。グレールも飲む?」
「いえ、アマリア様はもうお酒は駄目です」
――――ヒョイッ
え、え?
「え、お酒、取るの?」
「そもそも、その姿でお酒は駄目ですよ、誤解されます」
「元の姿に戻ればいい?」
「元の姿に戻っても、もうお酒は禁止です」
え、禁止、禁止された。
お酒、僕の……。
久しぶりに飲めたのに……。
「アマリア様、顔が赤いですが、酔ってます?」
「ん? あぁ、意識はしっかりしているけど、体はふらつくかもね。さすがにモンスターの作ったお酒はちょっと、体に効いたらしい」
「っ、え、モンスターの作ったお酒!?」
おっと、驚いた。
そこまで大きな声を出す事が出来るんだね、凄い凄い。
「モンスターの作ったお酒を、五瓶も、飲んだんですか……?」
「いつの間にかって感じだけどね。でも、僕より長の方が飲んでるよ?」
長の近くを見ると、十以上の空瓶が転がっている。
それでも長は飲むことをやめないで、飲み続けている。
リトスは寝ている。
結構前にはもう寝てしまっていた。
疲れが溜まっていたんだろうね。
走り回っていたもん、しょうがない。
「…………はぁ。アマリア様、貴方の今の身体がどのようになっているのかわかりませんが、さすがに飲みすぎですよ」
「僕の身体は人形みたいな感じだから気にしなくて大丈夫だよ。繋がっている知里にも多分影響ない。今、気を失っているからどっちにしろだとは思うけど」
だから、お酒返してよ、僕は大丈夫だからさぁ。
手を伸ばしてお酒を返してもらおうとしたけど、駄目だった。
「酔っている人は、自分は大丈夫だというのです。アマリア様、貴方は酔っていますよ。早く寝てください」
「大丈夫大丈夫」
「大丈夫ではありません」
「大丈夫」
「絶対に酔ってるでしょう……」
えぇ、今の会話で酔ってるとかは関係ないじゃん……。
しかたがない、今のグレールには何を言っても意味はなさそうだ。
はぁ、美味しかったから飲みたかったのに……。
…………あっ。
「なら、グレールも一緒に呑もう?」
「私はモンスターのお酒ではなく、人間が作り出したお酒でも一口飲むと酔ってしまうんです。これを飲んでしまえば確実に死にますよ」
あー、それは確かにやめておいた方がいいね。
モンスターのお酒はアルコール度数が馬鹿だから。
ひとまず、今日はもう寝ようかな。
流石に長も寝落ちしているみたいだし。
ベッドまで移動するのめんどくさい。
このまま床でいいやぁ~。
・
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知里が倒れてから一か月。
僕はお酒を飲んだ次の日、二日酔いで死んでいた。
幸い、吐くまでには至らなかったらしい。
良かった、本当に良かった。グレールには感謝だね。
まぁ、アルカとリヒト達に情けない姿を晒してしまったけど、そこは仕方がないという事で許してもらおうかな。
僕の体には痛感なんてものないはずなのに、なんであんなに体が重く、目眩が酷かったんだろう。
頭痛もあるような気がしたし、勘弁してよ~。
まっ、今はいいか。
今は僕より知里だな。
「まだ、カガミヤさん。目を覚ましませんね」
「そうだね、さすがにもうそろそろ目を覚ましてもおかしくないと思うんだけど……」
部屋で知里を囲み顔を覗き見る。
顔色はだいぶ良くなったみたいだけど、目を覚まさないのは不安だな。
『主……』
『主様…………』
スピリトとリンクも心配しているなぁ。
空中に浮かび、知里を見下ろしている。
――――あっ、この点滴、もうそろそろで無くなりそう。変えた方がいいかな。
ロゼはどこにいるかな、グレールも。
知里から離れて廊下を見てみると、何やら騒がしい。
何だろう、何かあったのかな。
廊下に顔を出すと、奥から慌てた様子でグレールが走ってきていた。
「アマリア様!」
「どうしたの、グレール」
汗を流してる。
ここまで慌てているグレールは珍しいな。
ただ事ではないことが起きているもかも。
「あの、アマリア様。アンヘル族という者はご存じですか?」
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