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善良な主人公になる気はないからな

「わっ、わっ!!」

「カガミヤ! 大丈夫か!?」

「アルカの方も大丈夫……か……?」


 え、咄嗟にアルカの方を見てみると、あいつの背後、やばい事になっていた。

 ダンジョンが崩壊しそうになっている、だと……?


「私を倒したと、このダンジョンが判断したみたいだね」

「え、それって……」

「うん。ここのダンジョンのボスが私。それで、私を倒したから、ダンジョンが崩れ始めたんだ。今までのダンジョンも、そうだったでしょ?」


 あぁ、なるほど。

 なら、いつものようにダンジョンから出れば解決か。


「それなら、いつものようにダンジョンから出るか。お前も――……」


 あれ、手を握っていたのに、離されちまった。

 立ちあがると、フィルムはなぜかダンジョンの奥に。


 え、なんで? 

 早く出ないとこの崩壊に巻き込まれるぞ?


「フィルム、早くここから出ねぇーと──……」

「私は出ない」


 なに言ってんだこいつ。


「なに、ふざけたこと言ってんだよ、かまちょか? かまちょなのか? それならここから出た時にものすごくたくさん構ってやるから、今はふざけてねぇでさっさと出るぞ」

「違う、私は出ない」


 メンドクサッ!!

 なんなのこいつ、死にたいのか。

 死ぬ気なのっ――……


「……………………」


 なんだ、こいつ、俺から離れて……。

 諦めたような、本当にここで全てを終らせたいと思っているような。


 ――――っ。


 あいつ、本気で死ぬ気なんだ。

 ここで、ダンジョンと共に。


「何を考えているんだよ! 早く逃げるぞ!!」


 ――――ガラン!!


 っ、走ろうと思ったら天井が崩れちまって、フィルムが見えなくなっちまった。

 これじゃ、追いかける事が出来ねぇ!!


「知里!! もうダンジョンがもたない!」

「わかってる!! わかってるが……」


 いいのか、本当に。

 ここで、あいつを放置しても。


「知里! 結局、フィルムは殺される! 管理者を裏切れば、殺されるんだ! フェアズの時と同じだよ!」


 ──あぁ、そうか。


 あいつは、俺を殺すのをやめた。

 つまり、管理者を裏切ったことになる。


 今すぐ殺さないとしても、魔力の供給をやめてゆっくりと殺していく。


 結局、死ぬ。

 俺も、アマリアを支えるので精一杯。さすがにこれ以上は魔力を使って生き長らえさせることは出来ない。


 それなら、ここで無駄に助けるより、ダンジョンと共に居た方が、あいつにとっては良い死に方…………なのかな。


 あいつは自分が死ぬことをわかっている。

 だから、ここで死ぬことを選び、残る事を決めた。


「カガミヤさん……」

「…………帰ろうか」


 死ぬことを止めるのが、善良の塊である主人公なんだろう。

 ここで、自分の魔力を使って、あいつを生き長らえさせるのが”いい人”なのかもしれない。


 だが、俺はそこまでしない。

 死にたいのなら、全力で止める事はしない。


 死に場所を決めたのなら、そこで死なせてあげる。

 これが、俺の決めた事だ――今。


 うん、今決めた。

 今まではここまで考えてなかったし、今このように今後の人生を送る事を決めた。


「い、いいのか?」

「あぁ、帰るぞ。もうダンジョンも限界だ」

「わ、わかった。魔力……」


 あぁ、アルカはもう戻れるだけの魔力が残っていないのか。

 瞼も落ちそうになっているし、眠いらしいな。俺も同じだ、眠い。


「私が発動出せますね」

「任せた」

「はい。――――ムーヴ」


 俺達全員は、グレールが発動した脱出魔法で光に包まれる。

 最後振り向くけど、瓦礫によりフィルムの姿は確認できない。


 今、何を思っているのか、何を考えているのか。


 管理者という立場になった者は、最強の力を持つ。

 その代償として、”人間”を失い、支配されてしまう。


 人間を失った者は、納得のできる最期を迎えることは普通、出来ない。

 あいつは納得している。それなのなら、良い方なのかもしれないな。


 光と共に、俺達はダンジョンの外へと抜け出す事が出来た。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 知里達は、ダンジョンを抜けたみたい。

 早く、私も精霊にお願いしないと。


「シロ、最後のお願い。終わったら、もう眠ってもいいよ」


 右手に光が集まる。そこからは、自由に動き回る事が出来るようになった精霊が姿を現した。


 無表情で、何も口にしない。

 ただただ、フィルムを見つめるのみ。


『…………わかりました』


 それだけを残し、シロはフッと姿を消す。

 精霊を見届けたフィルムは、安心したよう表情を浮かべた。


「――――魔力がなくなる。もう、あのお方にばれたんだ。私が、裏切ったこと」


 でも、怖くない。

 ウズルイフやあのお方に恩がないわけではないし、申し訳ないという気持ちがないわけでもない。


 ただ、これ以上罪を重ねたくない。

 だから、ここで殺してくれるのなら、嬉しいな。


「──――――ごめんなさい、ごめんなさい」


 もう、誰に謝っているのかわからない。

 でも、謝りたい。謝罪がしたい。


 ごめんなさい、ごめんなさい。


 ――――あぁ、久しぶりに、涙を流したかもしれない


 ・

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 ・

 ・

 ・


 ――――――――グシャ





ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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