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子供は環境に左右される物。だから俺は、金に執着しているんだ

 ………………………………話さないのかい!!


 話し出すのかと思って身構えていたのに、急に黙りこくりやがった。

 またしても顔を俯かせ、口を閉ざす。


 促してもいいのか、それとも待っていていいのか。

 促してもいいのならいつものように「話したいのなら早く話せ」と言うのだが、それを言ってもいいのかどうなのか。


 リヒトやアルカになら普通に言うが、今こいつの爆弾を発動させると負けるのは確実に俺。どうすればいいのか……。


「この世界は、魔力が全て」

「お? らしいな」


 あ、話し出した。

 なんか、まったりとした話し出し方だな。

 焦らせては駄目、ゆっくり聞き出すぞ。


 ………俺の魔力、持つかなぁ。


「私の魔力は、他の人と違う。感情的にもなりやすい。だから、おじいちゃんに、他人と関わるなと言われた」


 え、関わるな? おじいちゃんに?


「それは何でだ?」

「すぐに感情的になってしまうから、危険らしい」


 感情的になってしまう、か。


 確かにさっきまでの戦闘、感情的になっていたな。

 自覚ありという事か。


 でも、感情的になるのって、抑えられないよなぁ。

 俺も、抑えられなくて、何回か暴れたっけ。


 黒歴史を作ってしまった事もあったな。

 自分より年下の餓鬼に甘えるおじさんという黒歴史が製造されたっけなぁ。

 いやぁ、いい思い出だなぁ~。


「でも、その中でもいじわるな人は、いた」

「いじめられていたって事か?」


 あ、頷いた。

 いじめられっ子だったって事ねぇ~。


 その、いじめっ子って、勇気があるな。

 いや、勇気ではなく、ただの馬鹿ってだけか。


「でも、他人事。全ては他人事。私には関係ない。そう、思い込んでいた」

「いや、それは無理だろう」

「無理じゃないもん」

「あ、はい。良く出来ました」


 心の声が漏れてしまったら、怒られた。

 いや、咄嗟に零してしまっただけなんだ、怒らないでくれ。怖い怖い。


 頭をなでると、すり寄ってきた。

 子供だぁ~。


「…………だから、我慢、してた、ずっと。どんなに怖くても、他人事。馬鹿にされても、他人事。何をされても、私にとっては全てが他人事」

「ほうほう」

「…………ほうほう?」

「ほうほう」

「…………聞いてる?」

「聞いてほしいのかよ」


 やっべ、さすがにちょっと笑った。


 いや、相槌を適当にしていただけだから、聞いてるから。

 やばい、ちょっと、笑う。こいつ、ちょっとかわいいかもしれない。


「馬鹿にしやがって……」

「あれ? どんなに馬鹿にされてもすべては他人事じゃないのか? そんな考えを持てるフィルムちゃんだったんじゃないのか?」

「…………」


 ――――ベシッ


「いたっ」


 叩かれた? 頭を叩かれた?

 え、なんか、猫パンチされた感覚なんだけど。何が起きたの?


「他人事だったけど、我慢も出来なくなる」

「あ、話は進めるのね」


 頭を撫でて痛みに耐えているのは放置して、自分の話は聞いてくれと。

 そういうことね、ハイハイ。聞きますよ、まったく。

 あまり痛くはなかったからいいけどさ。


「だから、殺した」

「待て待て待て?? 飛躍し過ぎじゃない?」


 魔力凄い、周りとはあまり関わるなと言われた、罵倒されても他人事、我慢をし続けた、殺した。


 いや、我慢をし続けたと、殺したの間に一体何があったんだよ。

 そこをもっと詳しく教えやがれってんだ。


「我慢しようとした、でも、無理だった。もう、限界だった。他人事とも、思えなかった。私は――――」

「はい、落ち着いて」


 頭をポンと、叩くと口を閉ざし止まってくれた。


 少しだけ魔力も高まっていたけど、それも落ち着いたな。良かった、良かった。

 危なかったなぁ、マジで怖い。油断できねぇ。


「…………限界、だった。他人じゃない、自分自身だもん」

「そうだな」

「自分に、言われているんだもん。それを他人のようになんて、無理だよ。怖かった、辛かった。だから、殺した。殺しちゃえば、何も言わないから」


 死体に口なし、何も言えない。

 だから殺した。


 これが許されるなんて思っていないし、許してはいけない。

 人の命は、簡単に奪う事が出来る、殺す事が出来る。

 だからこそ儚いし、それが生きているという証拠でもあるのかもしれない。


「――――殺しは駄目だ」

「…………」

「だがな、殺したいと思うのは誰だって持っている感情。それを抑えられるかどうかで、その人の人格が現れるんだと思っている」


 殺したいとか、死にたいとかは、多分誰もが一度は思った事がある感情じゃねぇかな。


 どんなに幸せな環境にいたとしても、必ず思うだろう。

 生きるという事は、平坦な道だけじゃなくて、辛い道も必ずあるから。


「お前に人を殺させたのは、周りの環境が悪いのもまた一つ、理由があるのかもな」


 子供は環境に左右される。

 こいつはまだまだ子供、環境や周りの人に左右されても仕方がない。


「だから、すべてお前が悪いわけじゃねぇと思うぞ。わかんねぇけど」


 こんな事しか、俺は言えねぇ。


 …………これで逆上して来たらどうしよう。

 これ以上の言葉を俺は持ち合わせていない。


 逆上したら、まぁ、うん。

 この空間から逃げよう。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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