やり方さえわかれば……くそっ
「早く終わらせたい、早くお前らを殺す。おめぇらが死ね!!」
感情にすべてを任せているのか、植物の動きが本当に読めない。
最悪、回復魔法を使っているリヒトの邪魔をしなければいいな。
俺とグレールで何とか食い止めないと。
俺は刀、グレールは剣を握り直し、壁や地面を叩いている植物達を切ろうと駆けだす。
気配は感じるのか、自由に大暴れしている植物が俺達の方に向かってきた。
「これは、さすがに楽勝だわ」
読めない動きではあるが、向かって来ている植物は脆い。
簡単に刀で斬れっ――――ガキンッ
――――なかったわ。
「くっそが!!!」
固い物がぶつかり合う音、手に通じる振動。
押し返され体勢を崩しちまったが、地面を踏みしめ整える事が出来た。
グレールの方を見ると、俺と同じく斬る事が出来ていない、受け流している状態。
まさか、魔法の密度が暴走させたことでより濃くなってしまったのか?
だから、水の刀では斬る事が出来ず、押し返された。
「――――アビリティ。確か、他属性を纏わせることが出来るんだよな?」
『はい』
「なら、炎属性を纏わせたい」
『fistflameで可能です』
あ、それで出来るのか。
何か特別な方法があるのかと思ったわ。
「fistflame」
魔法を発動すると、炎属性魔法が水の刀に円を描くようにまとわりついた。
これで、炎の属性魔法も共に使っていることになるのか?
まぁ、いい。
炎属性は発動されている。腰ベルトに戻している魔導書も発動中で光っているし、魔力は魔導書から注がれているはず。
無限ではないから油断は出来ないけど、これで少しは温存可能。すぐに斬ってやる。
再度駆け出し、植物を斬る。
――――ガキッ
くっ、やっぱり駄目か!!
──いや、さっきは全く歯が立たなかったけど、ほんの少しだけ食い込んでる。
「こんのっ!!!」
ギリギリと力を込めていると――――
――――ザシュッ
「うっしゃ! 斬れた!!」
──――が! 一本斬るのに、ここまで時間をかける訳にはいかない。
まだ視界を覆いつくすほどの植物がフィルムの周りで自由に動き回っている。
フィルムを倒すための力と魔力も残しておかなければならないし、効率よく出来ないか……。
――――そう言えば、あの二人はどうやって俺とグレールを別次元に連れて行ったんだろう。
あの植物は、このダンジョンに元々生えている植物を利用してあそこまで大きくしている。自ら出しているわけではない。
なら、フィルムを俺達がいた空間に連れていく事が出来れば、武器の大半を奪い取る事が出来るんじゃないか?
「いやいや、あれはウズルイフがいるからだ、俺達には無理無理……」
「なに、突然一人ツッコミしているんですか。何か考えがあるんですか?」
向ってくる植物を流しながらグレールが横目で見てきた。
「いやぁ、俺達が連れていかれた空間に――っ、く。つっ、連れて行けねぇかなって思ってな!」
くっそ、話し合いもゆっくり出来ない。
植物が襲い掛かってグレールと距離が離れる。
「――――なるほど。確かにそれが出来れば、この植物魔法を何とかできるかもしれませんね」
「あぁ、だが、あの空間の作り方や連れ込み方がわからん。無理だ」
――――ダンッ ダンッ!!
地面、壁と。徐々に崩れる。
大暴れしているから、この大広場でも崩れるのが時間の問題になってきたぞ。
「早く死ねよ!!!!」
「嫌だ!! 生きる!!」
死ねと言われても絶対に死なない。
殺されるわけにはいかないんだよ!
だが、強気になりたくとも、無理だ。
完全に押されているのは俺達。
「しねぇぇぇえ!!!」
これ以上変に言い返せば、沸点の低いあいつは逆上する。
――――ん?
出入口、なんか、嫌な気配が……。
「――――さいあっく!!!!」
「マジ、勘弁してくださいよ!!!」
あ、グレールもさすがに限界だったのか声を荒げた。
そりゃ、まぁ、そうだよな。
だって――……
「なんで雑魚モンスターが大量出現してくるんだよぉお!!!」
出入り口からは大量のゴブリン。
数を数えたくないくらいの量、くっそ。
あれも相手にしないといけないのか?!
マジでふざけんなっ──あ? アマリア……?
「知里、悪いけど魔力、結構使わせてもらうよ」
な、なんだ??
「vibration」
っ!?!?
この音!!! アマリアの、見境ない広範囲攻撃だ!!!
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