連続攻撃をここまでしないと抜け出す事が出来ないとかふざけるな
まずい!! 拳に枝が絡みついて来たかと思えば、腕にまで!
このままだと、体を拘束され動けなくなっちまう!
――――――――ザクッ!!
おっ、アルカの土の刃が俺とフィルムを繋ぐ植物を切ってくれた。
すぐに距離を取るけど、木の枝が追いかけて来る。
体勢が崩れ倒れ込みそうになるが、地面に手を突き立て直す。
すぐに地面を蹴り走るが、ずっと追いかけて来るじゃねぇかコノヤロウ!!
アルカが土の刃や人形を使ってフィルムに攻撃を仕掛けるが、余裕で回避しているみたい。
「なら──|Mitrailleuseflame!!」
地面を踏みしめ振り返り、右手を前に出し炎のガトリング砲を発射。
ボンッ、ボンッ!!
と、小さな爆発が連続で起き植物の数が減る。
それでも、すべての植物を消す事が出来ないですり抜けて来る。
これだけ減ったら、簡単に消せる!
違う魔法を出し、残りの植物を消す――――あぁ?
「消えた…………?」
フィルムの事をアルカが仕留めたか?
そう思ったが、どうやら違うらしい。
フィルムは空中で俺達を見下ろし、アルカは見上げていた。
「次、仕留める」
言うと同時に姿をけっ――――
姿を消したかと思うと、次のうちには俺の視界は植物魔法に包まれている拳で覆い尽くされ……た?
咄嗟に両手を顔近くまで持って行き防ぐ。
「グッ!!」
勢いを殺すことが出来ない、体が後ろに吹っ飛ばされちまった!
地面に背中を打ち付けても勢いは収まらず、壁まで吹っ飛ばされ激突。
「ガハッ!!」
「カガミヤ!!」
アルカがこっちに向かってくるのが霞んだ視界でもわかる。
その後ろには、拳を構えているフィルム。
避けろと叫びたいのに、背中を強く打ち付けてしまったからか、声を出す事が出来ない。
──――――避けろ、避けてくれ!!
アルカの後ろで、フィルムが地面を蹴り駆けだす。
「っ!」
アルカが気づいたが、もう遅い。
拳は、アルカの顔面に放たれた。
「icicle!」
低い響く声が聞こえたのと同時に、上から降ってきたのは氷の刃。
避けるため、フィルムは舌打ちをこぼし後ろへと下がった。
「グレール…………? ごほっ……」
「大丈夫ですか、アルカ様、チサト様」
グレールがアマリアを抱え剣を前に出し、俺達を守ってくれた。
助かった、マジで助かった。
くそ……。一発一発が重いタイプかよ。
体は小さいのに、どこに隠し持っているんだよ、こんな力。
…………って、待って。
グレールがフリーになっているという事は、ウズルイフはどうなった。
そういや、フィルムが攻撃を仕掛けてくる前、煙が現れてなかったか?
まさか、それに紛れ逃げたのか?
いや、まさか。そんなことあるわけが……。
だって、フィルムがここに残っているんだぞ。
一人で逃げるなんてこと、あるのか?
あっ、フィルムがグレールを目を細め見下ろしている。
「……………………また、これか」
”また”?
またって言ったのか?
まさか、ウズルイフは今まで幾度となく仲間を裏切り、生き延びてきたのか?
いや、管理者が負けるはずないと思っての行動か?
どちらにしろ、こっちとしてはありがたい展開。
またどこからか現れるかもしれないが、今はフィルム一人に集中が出来る。
上を向くと、顔を俯かせているフィルム。
ウズルイフがいなくなったことにショックでも受けているのか? そんなやわではないように見えるけど……。
「…………まぁ、いい。一人、勝てる。余裕」
ほう、余裕だと?
いや、確かに、余裕で倒されるかもしれない。だいぶこちらは削られちまったし。
ロゼ姫とリヒトは行動不能。
アマリアとアルカは重症。
今、まともに動けるのは俺とグレールのみ。
こっちが不利に思うが、肉弾戦に持ち込まれなければまだ戦える、か。
魔導書を構え直し、上にいるフィルムを見上げると――――?
なんだ? 足をトントンって、なんか、地面をつま先で叩くような仕草をした?
空中だというのに、何をしているんだ。
「――――今度こそ」
「お前の今度こそはなんかっ――……」
また、消えた……?
「後ろです!! チサト様!」
っ、後ろだと!?
「fistflame!!」
咄嗟に炎の拳を作りまたしても受け止める。
地面を踏みしめ、後ろに飛ばされないようにしていると、またしても俺の拳に植物が巻き付いてきた。
魔力を巻き付かれている右の拳に集中すると、植物は簡単に燃える。
「ちっ、しぶとい。うざい、死ね」
「ダイレクトに言いやがったな…………」
植物を燃やしたことが相当気に入らなかったらしい。
ふてくされたように唇を尖らせやがった、可愛くねぇよ……。
下を見ると、地面から植物が生えて──いや、違う。
元々、地面の隙間から雑草は生えていた。
それをこいつは魔法で急速に成長させ、俺の足に巻き付かせ行動を制限しようとしているんだ。
「――――っ、離せ!」
後ろに飛び距離を取ろうとするが、こいつがまたしても植物で俺の腕を拘束してきやがった。
すぐに炎で燃やすが、先に違う所に巻き付いて来てキリがない。
っ、くっそ!
足にまで植物が巻き付いてきやがった!
何でだよ、魔力は俺の方が上なのに、なんでここまで俺は押されている。
…………まさか、魔力がそんなに残っていないのか? こいつより少ない状態という事か?
――――いや、違う。
そうだとするのなら、俺が炎魔法でこいつの植物魔法を燃やすことは出来ないはず。
属性的には俺の方が有利だが、魔力が負けているのなら、属性などは関係ない。俺が普通に負ける。
なら、なんでここまでの差が現れているんだよ、意味が分からない!
「カガミヤ! 動くなよ!!」
横からアルカの声が聞こえてくると、剣を頭の上まで振り上げていた。
だが、それはフィルムの植物魔法に寄り遮られる。
すぐに上から氷の剣が落下。
同じ魔法は効かないと言うように、左手を上げ横一線に薙ぎ払い植物で弾く。
追い打ちのように今度は土の刃。
ここまでは予想が出来ていなかったフィルムはすぐに対処が出来ず、俺の身体に絡まっていた植物は切れた。
アルカと共にすぐ距離を取り、グレールの元に走った。
「ここまでの連撃でやっと、ですか……」
「俺はもう唖然と見ているしか出来なかったわ」
さて、次はどうやって動こうか……。
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




