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ここで最悪な事態が頭を過る事になるなんて……

 グレールの言う通り、アマリアとの繋がりを探るため目を閉じ集中力を高める。

 だが、この空間が魔力で作られているからなのか、わかりにくい。


 モンスターの胃袋の中にいて、外にいるモンスターを探しているような感じだ。


 なにか、糸みたいになっているとか。

 他の魔力とは違う何かを感じ取る事が出来れば、それを辿ればいいんだけど……。


「――――なんとなく、こっちな気がする」

「それは、信じても良い情報なのでしょうか。ものすごく険しい顔になっておりますが?」

「正直、これは直感に近い。でも、なんとなくこっちな気がするし、今は直感にも頼るしかねぇ」


 グレールは俺の顔を見て不安そうにしているが、こればかりは仕方がない。


「それにな? アマリアの魔法は強敵には向かないと言っていた。早く戻らねぇと、マジで上が壊滅する」


 まだ魔力が吸われている感覚はあるし、アマリアが頑張っているのは感じ取れる。

 だが、アマリア一人では管理者を相手にするのは難しいというのも分かっている。


 リヒトは援護に優れているが、管理者を相手にどこまで冷静で居られているか。


 アルカも同様、いつものような動きが出来れば管理者と言えどすぐにやられはしないと思うが、精神的な部分はまだまだ危うい、期待はできない。


 頼みの綱であるロゼ姫も、どこまで戦えるのか今の俺ではわからない。

 今まではグレールが側近にいたという安心感もあり、それで冷静でいられていただろうしな。


 アマリアが魔力を使わなくなったら詰み、早く戻らねぇと。


 微かに感じる魔力を頼りに歩き出すと、グレールも共に歩き出した。

 リンクも姿を消すことなくついて来る。


「……………………」


 …………あぁ、魔力の気配がわからなくなる。

 少しでも集中力を切らすと、迷子になるな。


 息を吐き、眉間に皺を寄せ集中力を切らさずに歩いていると、後ろから肩を掴まれたっ──て、なんだよ!!


「グレール!! 集中してるんだけど!?」

「いえ、あの、邪魔をしてしまいすいません。ただ、汗が凄いため、大丈夫なのかなと…………」


 え、汗?

 …………あ、本当だ。


 額を手の甲で拭うと、べっしょり。

 俺、こんなに代謝良かったっけ……?


「体調悪いとかはありませんか? また、辛い記憶を思い出したりなどはありませんか?」

「ん? いや、特にないが…………」


 何でこんなに心配されているんだ?

 ただ必死になって魔力を探知していただけなんだが……?


「口の中に入った苦い何か。それがチサト様を苦しめているのかと思いましたが、杞憂でしたね」


 あぁ、それを心配してくれていたのか。

 今のグレールの頭の中には、ロゼ姫しかいないかと思っていたわ。


「あー……、うん、悪かった。今は大丈夫だから気にすんな。ただ、アマリアとの繋がりが感じにくいから集中していただけ」

「そうでしたか、邪魔をしてしまい申し訳ありません」

「いんや、心配してくれてサンキュー」


 話をここで切り、また目を閉じ集中。

 だが、一度切れてしまった集中力をまた高めようとしても、うまくいかない。


 んー、魔力は吸われている。それだけは安心だ。


 安心なんだけど……、不安はぬぐえきれない。

 早く行かないといけないのに……。


「……………………」


 ────あ、見つけた。また進もう。


 歩みを進めると、グレールもついて来た。

 リンクも着いてくる。


 それから数分ぐらいかな、経過。

 これ以上は進めなくなってしまった。


 理由は、ギリギリ感じ取っていた魔力がプツンと切れてしまったから。


 俺が感じ取れなくなったわけではない。

 本当に、糸が切れてしまったみたいな感じ。


 という事は、ここが無限ループのからくりがある場所……という事でいいのだろうか。


「チサト様?」

「あ、わりー、一人で考えていたわ。ここで魔力が途切れているんだ。だから、ここに何か小細工があるんじゃねぇかなと」

「なるほど、ありがとうございます」


 礼を言うと、グレールは俺の前に出た。

 氷の剣を作り出したかと思うと、両手で持ち地面に突き刺す。


「……………………」


 目を閉じ魔力を高めている。

 同時に、辺りが寒くなる感覚。


 足元を見てみると――――氷?

 え、この空間ごと凍らせているのか?


 グレールを見ると眉間に深い皺が刻まれている。

 相当集中しているらしい、邪魔をするわけにはいかないな。


 早く上に戻らないといけないし、ここはグレールにあとはまかっ――――


 …………え、嘘。

 いや、嘘だろ、おいおい、マジか?


『――――? 主様? どうしたのかしら』

「……………………いや、なんでも、ない」


 今、俺とリンクの会話がグレールに聞こえていたら、確実に集中力が切らしちまう。


 ここでグレールが魔力を高める事が出来なかったら、もうここから抜け出せる術はないかもしれない。


 だから、邪魔するようなことは言えない。



 ――――アマリアが、魔法を使わなくなったなんてこと、言えない

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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