深く考えれば考えるほどやばい状況になっていると気づかされるな
「────すごい勢いで魔力が吸い取られているような気がする」
「それって、アマリア様でしょうか。…………という事は、戦闘が始まっ――………」
「アマリアが動いているという事は、そこまで大きな被害にはなっていないだろう。アルカとリヒトも戦闘には慣れてきたいし、ロゼ姫も弱くない。信じて、今はここから抜け出せる方法を探すぞ」
取り乱しそうになったグレールをすぐさま落ち着かせ、何もない暗い空間を歩かせる。
立ち止まるなよぉ、お前に取り乱されると俺まで落ち着かなくなるんだからな。
「はぁ…………」
…………それにしても、本当に、周りは何もないな。
地面、天井、壁。
私生活には必ずあるはずの物が見えず、ただ真っ暗なだけ。
でも、不思議な事に、俺自身とグレールは暗闇でも見ることが出来る。
お互い、体が発光しているってこと……?
これも、また不思議な現状だなぁ~。あはは……。
「…………ちょっと、体がきつくなってきた」
「え、大丈夫ですか? どのように辛いのでしょうか」
「いや、精神的にというか、なんと言うか」
「…………どういうことですか?」
「早くここから抜け出して精神安定剤を何も考えずに眺めたい」
「それに関しては同意です。早くここから抜け出す方法を考えましょう」
まぁ、グレールと一緒というのは正直安心はできる。
でも、ロゼ姫のいないグレールは不安定な時があるから、そこだけは注意。
「はぁ……」
「あの、チサトさん」
ん? 足を止めた?
いきなりどうしたんだよ。
「この空間、ただ落ちただけではない。やはり、おかしい……ですよね?」
「…………まぁ、おかしいよなぁ」
最初から分かってはいたんだが……はぁ。
グレールの反応的にも、考えたくはなかったが、みたいな感じだな。
ここ、普通のダンジョンじゃない。
ウズルイフが絡んでいるのだから、当然と言えば当然か。
フィルムも、何かしら小細工しているんだろうな。
「ここって、精神世界的な場所?」
「そういう所には大抵一人だけ入れられるイメージがありますが、二人同時にどちらかの精神世界に入り込んでしまったという可能性があるのでしょうか」
……………………あまり、イメージが出来ない。
「単純に考えてください。ただ、私達はロゼ姫達から引きはがすためだけに落とされた可能性があります」
「そうだな」
「ロゼ姫達を倒した後に、私達を殺すかもしれません」
「と、いうと?」
「この空間は、あくまで時間稼ぎ。殺すための空間ではないのかもしれませんよ」
なるほどな、そういう考えもあるのか。
確かに、いくら管理者と言えど魔力の限界は必ずある。
あっちもこっちもなんて不可能だろう。
アマリアが魔力を使っているということは、上でも戦闘は始まっているだろうし。
大きな仕掛けをあちらこちら何て、ウズルイフ単体でなんて不可能だろう。
「でも、仮にウズルイフが無理だとしても、フィルムがこの空間を作り出している可能性もあるだろ?」
「フィルム様は確か、ダンジョンを管理する管理者。ダンジョンの形を自由に操れたり、モンスターを作り出すことが出来る──だったはずです」
あぁ、そうだな。
「ですが、そっち系に特化した魔法の場合は、逆にウズルイフ様のような時を操る魔法や、空間魔法などは持っていないはずです。管理者がいくら強いと言っても、そこまででは無いはずです」
最後に「そこまで強ければ、わざわざここまでまどろっこい事はしませんよ、きっと」と付け加えた。
グレールの言うように、本当になんでもできる神のような存在だったら、俺とグレールをロゼ姫達から引き剥がすなどといったまどろっこしいことはしないか。
出会い頭に殺してきそうだし、その方が楽。
俺が管理者達の立場で、神のような力を持っていたら出会い頭に金を貰って殺す。
「そう考えると、時間稼ぎ目的なのが濃厚になってくるな」
「そうですね。ですが、そうなりますと、非常に今の状況は厄介ですよ」
た、確かに厄介だし、まずい。
俺達の方に管理者達が向かってくれていればまだ良かった。
まさか、あいつらを殺してから俺達を殺すつもりなんて……。
い、いやぁ、マジかよ。
これは、俺も焦ってきたぞ。
…………あぁ……。
グレールの顔が真っ青だ。
世界の終わり、そう思っているような顔。
────うん、俺は冷静になってきたわ。
自分より取り乱している人を見ると、逆に冷静になるというのは本当だったらしいな。
「――――あ、そうだ」
もし、ここがウズルイフによって作られた空間なのなら、魔法で作られているんだよな?
時魔法でどうやって空間を作り出しているのかわからんが、魔法を使っていることに変わりない。
なら、力づくで押し返せばいいか。
魔力量がこの世界のすべて、良し。
空間魔法には、空間魔法を使ってやる。
「リンク、出てこい!」
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