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無駄に脳みそを動かしたところで俺達には意味はない行動だ

 肩から手が離れたから振り向いてみると、アマリアが頬を膨らませ怒っていた。


 こんな感じでさっきまでおこっ――てはいなかったな。

 絶対、こんな子供のように怒ってはいなかった。


 だって、後ろから感じていたもん、殺気が。

 肩に力が込められていたもん、地味に痛かった。

 鳴ってはいけない音が鳴っていたもん、俺の肩から。


「さっき、何か気づいていたでしょ。それで、僕が問いかけるとわかりやすいくらいに話を逸らした。何に気づいたの?」

「気づいたというか、なんか嫌な感じがしたってだけ。確証もないし、変に悩ませるのもなって思って…………」


 ────あ、やべぇ。

 またしてもアマリアの顔が険しくなっていく。


 うーーーん、言うしかないかぁぁぁあああ。


「…………ウズルイフの顔が、頭に浮かんだんだよ。あと、口の中に入った苦い味の液体が、なんとなく嫌だった。これでいいだろう?」


 言えと言ったから言ったけどさぁ。

 でも――――ほらぁ、だから言うの避けたのに。


 ウズルイフの名前を出しただけなのに、今この場にいるみんな、険しい顔を浮かべちまった。


 絶対に難しく考えてんだろう。

 まったく……。余計な懸念は増やしたくなかったのに……。


「…………つまり、またカガミヤは苦しい思いをするかもしれないって事か?」

「それはわからない。仮に、以前のような事が繰り返された場合は、対処法をしっかりとわかっている。呼びつける事は可能だろうし」


 あぁ、なんか、エトワールならアマリアが口に出して名前を呼べば、どこに居ようと来そうだな。


「ですが、さすがにチサト様の精神力が持たないのではないでしょうか」

「まぁ、それなんだよね」


 おうおうおう。

 なんか、俺の心配をしてくれてる。


 何だろう。俺、自分で主人公的立ち位置かと思っていたんだが、ヒロイン的立ち位置だったのか?

 でも、ヒロインはリヒトがいるしな。


 というか、別に俺の事で悩まんでもいいっつーの。


「俺の事はどうでもいいっつーの。仮に、また同じように悪夢を見せられたところで、前のように取り乱さん」

「なんで、そのような事が言い切れるんですか?」


 おっ、リヒトが不安げに見上げて来る。


 …………めっちゃ、不安そう。

 多分、俺が倒れた時の事を思い出しちまったんだろうな。


 泣きそうになっているリヒトの頭を撫で、落ち着かせよう。


「トラウマを完全に克服したとは、今の俺では言えない。だが、もしまた同じような事になっても、抜け出す方法はわかっている。今の俺は、わかっているから大丈夫だと言い切れるんだ」

「え、それって、どうやるんですか?」

「ん? ん-、秘密だ」


 ぐしゃぐしゃとリヒトの頭を撫で、隣を通り過ぎる。

 いい加減前に進まないといけないしな、ここで道草喰っている時間はない。


「え、ちょ、カガミヤさん!! 何ですか今の!! 教えてくださいよ、カガミヤさん!!!」

「知らん知らん」


 リヒトがやっと動き出して追いついて来た。

 他の人達もついて来る。


 なんか、空気が甘い気がするんだけど、気のせいか?

 隣にいるリヒトを見てみると、ほんのり頬が赤い。


 ……………………え、照れてる?


 後ろの人達を肩越しに見てみると、何故か温かい目を浮かべている。


 なんか、初々しいカップルを見守っているうざい友人的な目を浮かべているような気がする。


 ――――――――めちゃくそうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 ダンジョンを先に進むと、上に行くための階段が現れた。


「ダンジョンに入る時に下がったのに、今度は上に上がるのかよ。無意味な構成になっているな。最初から下がらなければいいのに」

「そういう問題ではないでしょ。とりあえず、道は一本しかなかったし、進むしかないね」


 分かれ道もなかったし、アマリアが言うように進むしかない。


 俺とアマリアが先頭、グレールが一番後ろ。

 真ん中はロゼ姫を守るようにリヒトとアルカが歩いていた。


 リトスは俺の頭の上。なんか、髪がもふもふで気持ちいいとか言っていたな。

 天パで悪かったな、この野郎。



 ――――――――カツン カツン



 人数分の足音が響く。

 壁に光が灯されているから、足元とかは問題ない。


 先にも光があるから、階段が長く続いているのはわかる。

 わかるからこそげんなり、疲れた。


「もうそろそろ出てきても、おかしくありませんね……」

「ん? 何がだ? グレール」


 グレールの言葉にアルカが質問している。

 俺も、何を指しての言葉なのか分からず困惑だ。


「このダンジョンのボスですよ。ラスボスがもうそろそろ出てきてもおかしくないはず」

「え、そうなの?」

「通常なら。ですが、このダンジョンはSSS(スリーエス)。他のダンジョンと同じに考えてはいけないかもしれませんね」

「んー……。どう、なんだろうな。よくわからんが、考えたところで意味はない。進めるだけ進むぞ」


 SSSダンジョンは俺達にとっては未知数。

 何が起きるのかわからないし、予想しても意味はない。


 さっきのオオザメの件で学んだ。


「考えたところで、俺達に選択肢はないのだから。考えるだけ無駄」

「オオザメの件、めっちゃ気にしてるじゃん」

「別に」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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