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怖いから全てをぶん投げたら怒られました

「ふぅ。雑魚はこれで全て倒したかな」

「そうですね。雑魚だけれど、数多く来ると意外と厄介でした」

「そうだな。リヒトとロゼ姫も怪我はないか? リトスは大丈夫か?」


 リヒトの腕に抱えられているリトスも、確認したところ怪我はない。

 マナーモードのように身体を震わせ、怯えてはいるけど。


「私達は大丈夫です。カガミヤさんは怪我などありませんか?」

「問題ない。みんなが怪我無いのなら先を急ごう。ここに居ると、また雑魚が襲ってくる可能性がある」

「はい!」


 リヒト以外も頷き、俺達は先へと進む。


「…………おいおい、やめてくれって……まじで……」


 途中、地面がボコボコと穴が開いたり山になったりして転びそうになる。


 …………モグラか? モグラが俺達を追尾しているのか? 走りにくいし、うざい。

 普通にでこぼこしているだけでも歩きにくかったというのに……。


「わっわっ! こ、転ぶ……」

「地面の下、何かいるのか?!」


 俺以外の奴らも転びそうになっ──……


「どわっ!」

「なにやってんの、知里」

「転んだだけだがなにか?!」


 ちょうど、俺が足を前に出した瞬間に、地面が盛り上がりやがった。

 避けることも耐えることも出来ず転ぶと、アマリアからは冷たい視線。


 周りの奴らも声をかけることはしないが、同情の眼差し。

 そんな時も、地面は盛り上がったり穴が空いたりと自由。


「…………~~~~~~~|Mitrailleuseflameミトラィユーズ・フレイム!!」


 もう、我慢の限界!!!

 

 片膝を突き、穴に向けて炎のガトリング砲を発射!!


 綺麗に中へ入ると、「ギャァァァァァァ」と言う叫び声が聞こえた。


 もう、地面に動きは無い。

 穴からはもくもくと黒煙が立ちのぼるのみ。


 ────よしっ。


「急ごう」

「知里、もしかして怒ってる?」

「めんどくさがってる」

「納得」


 俺が魔力の温存などを考えずに魔法を使っているからなのか、アマリアがそんな事を聞いて来た。


 怒ってもいるけどな、イラついている。

 本当に、色々めんどくさい。


 早く終わらせて、報酬の出るダンジョン攻略がしたい。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 走っていると、太陽が雲に隠れてしまったからか辺りが暗くなり始めちまった。

 風も冷たくなってきて、額から流れる汗で体が冷える。


「はぁ、はぁ。ち、ちょっと歩くか」

「あ、はい」


 ずっと走っていたし、急がないといけないのもわかるけど、うん。


「歳にはきつい」

「だ、大丈夫ですか!?」


 足がプルプル、心臓や肺が痛い。

 口の中に血の味が広がって、気持悪い。


 手を伸ばしてきたリヒトの肩を借りて、少し休憩。まじで、疲れた。


「はぁ……。だいぶ走ったのに、なぜ景色は変わらない。本当に無限ループ入ってんのか?」

「ループに入っているのなら、先ほどの戦闘の痕跡などが見えてもおかしくないと思いますので、ループはしていないかと」

「あぁ、そういう……」


 確かに、グレールの言う通りだ。

 無限ループしているのなら、俺が放った魔法の痕跡が見えてきてもおかしくない。


「くそぉ、単純に道が長く続いているだけかよ。もっと近くにワープゾーンはなかったのか……」

「あるにはあるけど、険しい道だよ。それに比べ、ここは長いだけ。こっちの方がいいでしょ」

「もう、人生は分かれ道ばかり………」

「こっちはこっちで、予想外な事が起きているから、結果的にはどっちもどっちだったけどね」


 どこに行っても、俺に平坦な道はないらしい。

 ここまで来たならやるしかないけど、本当に最悪。


 はぁぁぁぁぁぁぁ、ここでいう事ではないんだけどさぁ~。


 報酬がないのが本当に嫌だ。

 なんで、なんで俺には金が入らないのに、ここまでの事をしないといけないの。


 なんで報酬がないの、なんで、なんで……。


「疲労で疲れているところ申し訳ないけど、止まった方がいいよ、知里」

「っ、あぁ、教えてくれてありがとう、アマリア」


 アマリアの言葉に、他の人達も足を止める。

 ロゼ姫は、腕に抱えていたリトスを地面に下ろし、上空に目線を向けた。


 俺も同じく上を向くと、雲が立ち込め太陽を隠している景色。


 ……それだけじゃねぇな。

 まったく、最悪だ。今、微かに影が見えた。見たくもない、影が。


 しかも今、二体も横切らなかったか?

 え、あれが二体? はぁ? ちょっ、死んだわ。


「ま、まさか…………」

「そのまさかだと思うぞ、アルカ。歯を食いしばれ、覚悟を決めろ」


 上空には、二体のドラゴンのシルエットが自由に飛び回っている。


 あぁ、今の俺はおそらく、目が死んでいる。

 残業続きで、ろくに夜も眠れていない汚ぇおっさんの表情を浮かべているだろう。


 だって、だって……仕方がないじゃないか。

 嫌な想像が頭を駆け回る、胸騒ぎがする。


「カガミヤさん…………」

「カガミヤ……」


 二人が不安そうに俺を見上げて来るが、そんな顔を浮かべられても困る。


 …………いや、今は大丈夫か。うん、大丈夫。

 だって、後ろに頼もしい仲間がいるからな。


 と、いう訳で。


「すべてを任せたぞ、グレール」

「チサト様、全てを私にぶん投げないでください。さすがに怒りますよ」


 流石に怒られてしまった、くそっ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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