面白い事を思いつくと素直に表情が変わるの勘弁してほしい
夢の中で、カケルは言っていた。
――――無理やりにでも戦闘に持ち込むんだ
この言葉、普通おかしいだろう。
管理者は化け物の集まり、戦闘は出来るだけするなと言われるのが普通だ。
――――この世界では、魔力量が全て。
相手の弱点魔法を持っていたとしても、強力な魔法を使っていたとしても。
それは全て、魔力量で覆す事が出来る。
相手が自分より魔力量が少なかった場合、相手の魔法を相殺できるし、なんなら無効にし自分の魔法を食らわせる事だって可能。
つまり、ウズルイフの魔力量はそこまで多くは無いということになる。
だから、魔力量が化け物のカケルなら、相手がどんなに強力な魔法を使おうと相殺可能。
それなら俺の魔力でも、相殺は可能のはず。
あとは、グレール程の技術があれば、ウズルイフに勝てるだろう。
「…………なるほどな。ここまで情報を隠したがる理由、なんとなくだがわかった気がする」
「え、カガミヤさん? あの、なんの話し……?」
「さっき、リヒト言っていただろう。なぜここまで情報を隠しているのか、と」
「え、は、はい。なんとなく気になっただけなんですが……」
リヒトのその言葉のおかげで、逆の発想が出来たんだがなぁ。
本人は本当に疑問に思ったから口にしたみたいで、今は首を傾げ目を丸くしている。
リヒトらしいなぁ~、あはは。
「なぜ、ここまで情報を隠す。ではなく、なぜ、ここまで情報を隠さなければならなかったか。こう考えればなんとなくでもわからないか?」
「??」
…………駄目らしい。
眉を寄せ考えたけど、すぐに項垂れてしまった。
「なら、リヒト。お前は、敵だとわかっている人に、自分の弱点魔法や自身の得意魔法をあらかじめ教えるか?」
「え、そ、それはさすがに教えませんよ……」
「それは何でだ?」
「だって、こちらが不利になるじゃないですか……。ただでさえ、私は戦闘などが苦手だと言うのに……」
「だよな。なら、こうならどうだろうか」
首を傾げ続けるリヒト。
これを言えば、さすがに分かるだろう。
「リヒトが管理者のような強い魔力、魔法を持っていたら? 自分より格下だと思っている人相手に、リヒトは厳重に情報を守るか?」
「え、管理者のような強い力があった場合、ですか? それなら。そこまで厳重に守らなくても……。だって、相手はどう頑張っても勝てないのだから」
「だろ?」
「――――っ、そういうこと?」
管理者は、この世界を管理する存在。
だから力は強く、誰にも逆らわせないための魔法を持っている。
どんなに強い冒険者だったとしても、管理者には敵わない。
そのはずなのに、なぜここまで厳重に情報を守ろうとするのか。
自分が強いと思っているのなら。
自分が最恐と思っているのなら。
ここまで厳重に守る必要はない。
つまり、ウズルイフ自身、自分は弱いと思っているということ。
戦闘になれば負けるから相手の精神を壊し、相手よりも自分の魔力が少ないから、少しでも弱点を知らせないように厳重注意。
「ふーん、面白いな」
「え、何がですか……といか、カガミヤさん。あの、悪魔のような悪い笑顔を浮かべていますが……。何か企んでいます?」
「いや、なんにもないぞ」
いかんいかん、笑っちまう。
でも、面白いから仕方がない。
だって、アマリアもカケルも警戒しているウズルイフを、倒す事が出来るかもしれないからな。
これは、面白くなっても仕方がないだろう。
だが、俺が駄目なら、絶対にリヒトやアルカに火の粉が行くはず。
俺の弱点ももう取られているだろうし、そこを何とかしないと駄目だな。
「――――あ、カガミヤさん!!!」
「おうふ、な、なんだ?」
急に肩を揺さぶられたんだが、どうしたんだ?
「あ、あの。微かにですが、空中に何か、人影みたいなものが浮いていませんか? アマリア様の視覚に」
「なんだと?」
リヒトに言われた通りアマリアの視覚を見てみると、確かに米粒より小さい人影が見える。
空中に浮いているな……二人?
…………駄目だ、目を細めても映像だとわからない。
アマリアの視界だから気づいているはずなのに、なぜ近付こうとしない。
人影が見えるんだぞ、そこに向かってくれよ。
『ん? どこを見ているんだ……です。アマリア様』
『いや、微かに視線を感じたんだけど、気のせいだったかもしれないなぁ』
『視線はずっと受けているけどな……です』
『こんなの、視線に入らないよ』
アルカに誤魔化すためにそんなことを言っているのか?
でも、誤魔化す必要性がわからない。
まさか、気づいていないのか?
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