魔道具という物を初めて使ったが、まぁまぁの使いがってなだ
『えっと、これで大丈夫なのか?』
『うん、これで知里に繋がっているはずだよ。あっちの声はこっちに届かないから、繋がっていなかったらドンマイという事で、後で説明しよう』
耳に付けているイヤホンから、アマリアとアルカの声が聞こえてくる。
んで、足元に置いているボール型の機械から現れているホログラムには、オスクリタ海底の光景が映像になり流れていた。
…………アマリアの野郎、好きかって言いやがって。
「本当に、こんな機械で繋がるんですね」
「アマリアが言うには、これは魔道具。魔力を込めて、特定の奴の聴覚と視覚を共有させるんだってよ」
「へぇ~。機械を動かすための電気の変わりに魔力を使っているということでいいのでしょうか?」
「そういうことだろうな」
俺が管理者の情報を少しでも手に入れたいとアマリアに相談した結果、こんな魔道具を出してくれた。
アルカとアマリアには、ヘッドホンマイクと眼鏡を付けてもらって、俺とリヒトはイヤホンを付け聴覚を共有。
視覚共有は、足元に置いてあるボール型の機械から二人の目線が現れて、俺達に共有されるシステムらしい。
これは、アマリアが独自で作り出した、自慢の魔道具と誇らしげに言っていた。
「にしても、なんで俺は部屋で待機していないといけないんだ? 普通に自分で情報集めたいんだが」
「今回の休暇目的は、カガミヤさんなんですよ。一番休んでいただきないのに、一番働くようなことをさせては意味がありません」
とは言ってもなぁ……。
アルカとアマリア二人が管理者――というか、ウズルイフの情報について聞き込みをしてくれるのはありがたいが、まどろっこしい。
ちなみに、ロゼ姫とグレールは、王の元に向かっている。
これももちろん、管理者について知っている情報を貰う為。
占いで聞いた部分だとあまりわからなかったからな。
やっぱり、こういうことは聞き込みに限る。
アマリアも、もっとウズルイフと仲良くしてくれていればこんなめんどくさい事にならなかったのになぁ。
「俺達の声が聞こえないんじゃ、結局意味なさそうだけどな、この魔道具」
「そんなことありませんよ。二人の聴覚と視覚を共有できることによって、言葉だけでは伝わらない情報もゲットできるじゃないですか!!」
「俺が聞きたい事をアマリア達に伝える事は出来ないけどな」
「そ、うですが…………」
リヒトが項垂れた。
項垂れても俺は知らん。事実しか言っていないからな。
「まぁ、休んでほしいという気持ちは伝わるから、無理は言わねぇけど…………」
本当に、お人好し集団なんだから……はぁ。
────おっ、画面が動き出した。
アルカとアマリアが城から動き出したらしいな。
人通りは少ないみたい、視線はアマリアによって集めちまっているが、アルカは大丈夫かぁ?
『…………これが、いつもカガミヤが感じていた視線なんだな……。たしかに、嫌になるな…………』
『そう? 僕は特に何も感じないけど』
『あ、あはは。そ、そうだよな…………です…………』
アルカよ、理解してくれたか。俺の苦労。
元管理者であるアマリアとの行動は、色々な意味で注目の的になるから超疲れるんだよな。
『あ、ちょうどいいや。色々聞いてみるよ』
アマリアが言うと、近くの人に何も言葉を選ばず管理者について聞き始めた。
元管理者であるアマリアから、まさか管理者について聞かれるなんて思っていなかったであろう住人は目を丸くして、 無意味に慌てている。
でも、催促することはせず、相手が落ち着き始めるのを待ち、再度問いかけた。
最初は戸惑っているけど、円滑に話は進んでいるな。
これはマイペースからなのか、戦略的なのか。
どっちかわからんが、アマリアって話しやすいよな。色々と。
『落ち着いてくれたかな? ちょっと聞きたい事があるんだけど』
「な、なんでしょうか』
『管理者であるウズルイフについて、何か知らない?』
『う、ウズルイフ、様? すいません、聞いたことない名前で…………』
『あー、そうなんだ。わかった、ありがとう』
これ以上聞くことはしないで次に移動。
でも、次もまた同じ。ウズルイフの事、名前すら知らないみたいだ。
…………ウズルイフって、用心深いんだな。
絶対に情報を零さない。本当に厄介だ。
「どうして、ここまで情報がないのでしょうか」
「うまく隠しているからだろ」
もう、何人かにウズルイフの事を聞いているが、いつも知らないと言われて終っている。
でも、これはうまくウズルイフが隠して今まで生活して来たからなんだ。
そこを考えても意味はない。
「いえ、そういうことでは……」
「ん? なら、どういうことだ?」
「えっと。情報をここまで隠すのはすごいなと思うのですが、何故ここまで用心するのかなと思いまして……」
えぇ、そんなこと聞かれても……。
普通、情報は洩れない方がいいだろう。
俺だって漏らしてくねぇよ。
俺の魔法とか魔力量とか。
戦闘に不利になる情報とかは出来る限り隠しておきたいし、自分のプライベートも守りたい。
これは誰でも考えるようなこ……と……。
「――――待てよ」
「え、どうしたんですか、カガミヤさん」
今の考え、逆の発想すれば答えが見えて来るんじゃないか?
例えば、自分が弱いと思っている。だから、出来る限り相手に情報を渡したくないとか――………
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