これ以上餓鬼を増やすのは俺だってごめんだわ
アルカの持っている地図を受け取り、ナチュール山への道筋を確認していると……。
「あー、これかぁ。アマリアの言っていた崖って、ここだろ」
「そう、そこ。まぁ、野良は大体Aランクくらいしか出てこないし、知里なら問題ないよ」
まぁ、ランク的には問題はないけど。
普通に、メンタル的に嫌だ。めんどくさい。精神的に辛いわ。
「あの、戦う前提で話を進めていますが、回避した方が良くないですか?」
「え、回避できるの? 戦わなくてもいける?」
「うまく誘導すれば。相手は所詮モンスター。頭使えば余裕です」
グレールがそんなことを言ってくれた。
良かった、それは良かった。
戦わなくても済むのなら、それだけ魔力と体力を温存できる。
出来る限り万全を期して挑みたいしな。
「…………」
「あれ、アマリア。なんでそんな目を丸くしてんだよ」
「いや、灯台もと暗しだったなぁって思って。戦闘しなくてもいいのかぁ……」
そういや、アマリアが戦闘ありきで話していたな。
俺も釣られて普通に話しちまっていたけど。
「アマリア様にしては珍しく、思考に偏りが出ていましたね」
「うるさいよ、ロゼ。こっちは、何か問題ごとが起きれば殺す事を主体で今まで仕事をしていたんだ。自分の邪魔をする人、モンスターは排除。アクアとかに頼んでいたんだよ」
腕を組み、偉そうに言うな。
まったく……。俺も、頭をしっかりと働かせねぇとならねぇな。
油断すると、今みたいな偏りのある作戦しか出てこなくなっちまう。
アマリアも俺も、頭がぼぉっとしてしまっていた。とほほっ……。
「えっーと、わかった。雑魚はうまく誘導して、なるべく戦闘は避け、ナチュール山に行こうか。偶然、そこに精霊がいるかもしれないし」
たしか、SSSランクダンジョンにいる精霊をゲットしないと、SSランクで手に入れる魔法、releaseを使えないんだったよな。
普段のダンジョン攻略なら精霊より金が欲しいが、今回のは管理者討伐と、無償のダンジョン攻略。
報酬がないのなら、少しでも目的に近付く為、精霊は欲しい。
そんな事を考えていると、今まで静かだったスピリトとリンクが姿を現した。
「……………………え?」
────ど、どうしたんだ?
なんか、泣き出しそうだけど。
…………え、なんで泣き出しそうなの!?
『ご主人様ぁぁぁぁああ!!!』
『主ぃぃぃいいいい』
「ぶっ!!!!」
が、顔面、強打……。
二体の精霊に顔面を攻撃されました。
ふっ、イケメンは顔面を狙われる運命よ、受け入れろ俺。
現実逃避したくても、頭にある重みで無理。現実を見せつけられる。
「いってて……。なんだなんだぁ??」
精霊二体を引きはがすと、何故か不安そうに俺を見上げていた。
アルカとリヒトも、俺が掴み上げている精霊二人を覗き込む。
「どうしたんでしょうか。どこか痛いのかな」
「んー、でも、どこも怪我してないよな? お腹とか痛いんかな」
二人にもわからないという事は、俺が何か変な事を言っちまったわけではないんだな。
それに関しては一安心なんだが、ならなぜ泣きそうになっている。全くわからん。
『グスグスッ……』
『あ、主は、私達では、ご不満という事なのかしら!?』
………………………………めんどくさっ。
え、なにこの精霊二人。古の彼女か何か?
『私達はまだできるんですよぉぉおお!!』
『そうよ!! 私の実力はまだまだこんなものではないのよ!! 軽んじる言葉は慎みなさい!!』
そういう事じゃねぇんだよ。
俺も、もし叶うのならこれ以上子供はいらねぇんだよ。餓鬼はいらねぇんだよ。
「こ、今回精霊を手に入れるのは、リンクとスピリトが使えないからとかじゃないんだぞ!!」
「そうだよ! releaseという魔法を使うためにSSSランクダンジョンにいる精霊を手に入れないといけないの!! だから、泣かないで?」
アルカとリヒトが二人を慰めてく入れている。
た、助かった……。
はぁ、本当に疲れる。
「それじゃ、動き出すのは来週からにしようか」
「――――え、来週? 明日からとかでもいいんじゃないか?」
急がないといけないだろうし、時間もないだろう。
何でアマリアはそんなこと言うんだ。
あ、俺の頭が今もぼぉっとしているからか?
休みボケしているだけだ、明日には――――あ、いつもぼぉっとしていたわ。現実逃避したくて。
「リーダーはアルカだけど、一番戦闘能力が高いのは知里だし。二人が精神的にも戦力的にもみんなを引っ張ってくれないといけないんだよね。だから、二人のどちらかが弱っていると、このチームは全力を出せない。急ぎ過ぎるより、体力回復をメインに考えた方がいいと思っただけ」
「あー、なる、ほど?」
まぁ、本当に色々あったし、体にはまだ疲労が蓄積されていてもおかしくはない。
これから大きな戦闘も控えているし、管理者の動きを意識しながら体を休ませようか。
「わかった」
「素直でよかったよ」
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