少しの待ち時間でも何もやる事がないのって暇なもんだ
「まさか、私の知らない情報を貴方が持っているとは思っていませんでした」
「俺もまさかだった」
俺が知っている情報は、スペルの知っている情報とは異なっていたらしい。
いや、異なっていたというか、厳重に管理さえているカケルの情報を俺が持っていたらしい。
どうあがいても、誰に聞いても開示できなかった情報だった……と、目をハートにしながら教えてくれた。
「なら、俺の願いも叶えてもらうぞ。占って、長の居場所やこれからの管理者の動きなど。占えるもんは全て占え」
「はい、等価交換。私も全力を出し、占いましょう」
やっと、本当にやっと。前に進んだ。
何で占ってもらうためにここまでの労働をしないといけないんだ。
…………あれ? なんか、俺を見て瞬きを繰り返している。
なんだ、何を訴えている?
「────あの、もうカケル様の情報を手に入れたため、私は満足です、逃げもしませんし、襲いもしません。なので、縄を外していただけませんか?」
…………あっ、すっかり忘れてた。
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「では、占いを行いますね。その前に、集中力を高めたいので、最低限の人数だけ部屋に残り、他の方は別の部屋で待機していただきたいです」
との事だったため、エトワール、アマリア、俺だけが残り、他の人達は隣の部屋に移動してもらった。
リヒトとアルカは最後の最後まで渋って、リヒトの気持ちに答えようとロゼ姫も暴れそうになったから、マジで諫めるの大変だった。はぁ……。
そんで、部屋を暗くしてと言われたため暗くし、準備完了。
あと、俺達は占いが終わるのを待ち続けるだけ。
スペルはテーブルに水晶を置き、椅子に座り占い師のような服を正す。
目を閉じ深呼吸すると、両手を水晶に添えた。
魔力が両手に集中している。
「……………?」
何だろう、なんか、魔力の気配が、変な感じする。
魔力が強い。でも、量が多いわけではなさそう。
質が違うって感じ……か?
────そういや、スペルとエトワールは魔力を制限されているんだっけ。
多くの魔力を使うことが出来ないってことで、解釈あってるよな……。
……え、いや、待てよ?
未来視って、結構魔力使うんじゃないか?
この世界では、占い魔法を持っている魔法使いは未来視が簡単に出来るのか?
そうなると、ちょっと世界的に危ない気がするが……。
「ほんと、スペルは魔力のコントロールを極めているよね。無駄が一切無い」
「えっ!! わ、私だって負けていないんですよ、アマリア様!! 私だって少ない魔力の中で今までやりくりしてきたんですから!!」
「あーうん、すごいすごい」
「その棒読み感も素敵です!! ありがとうございますぅぅぅぅうう!! 欲を言えば蔑んだような瞳も頂戴してっ――………」
「ほら、スペルが集中しているから黙って」
…………へぇ、やっぱりこいつが特別なのか。
魔力のコントロールかぁ、俺が苦手としている技術だな。
そもそも、もっている魔力量が違うんだろうけど。
────あ、水晶の中が変わっていく。
覗き込むと、俺も未来を水晶から見ることが──出来ないのかよ。
中では黒いオーラ的な何かが渦巻いているだけで、他には何も見えない。
アニメとかみたいに、周りの人にも未来を見えるようにはしてくれないらしい。
いや、視聴者にもわかるように描いているだけで、実際あの場にいる出演者は見えていないのかもしれないな。
今そんなことを分析したところで意味はないけど。
ひとまず、俺が水晶を覗き込んでも未来を見る事が出来ないのはわかった。
今はおとなしく待つことにしよう。
あぁ、通帳を眺めたい、お金に触れたい。
何も出来ない待ち時間って、本当に暇で退屈。
せめて、パソコンやスマホで暇つぶしがしたい。
そんな事を考えながらぼぉっと待っていると、水晶の光が徐々に薄れていった。
お、終ったか?
光が落ち着き始め数秒後、完全に部屋が暗くなり、アマリアがふよふよと電気をつけた。
「スペル、視えた?」
「えぇ、視えましたよ。ただ、ちょっと厄介かもしれませんね」
厄介な出来事が起きるのかぁ…………。
────ふっ、甘いな、スペルよ。
俺は、主人公的立ち位置らしいからな、厄介事はどんどん。
本当にどんどん、舞い込んでくるんだ。
今まで、何回も解決してきたのだ。
そのおかげで、俺の体はもう厄介事には慣れている。
さぁ、何が厄介なんだ、その度合いによって俺のやる気が変わるぞ。
「管理者が二人も同時に動いていますね。そのうちの一人は、地下牢にユウェル族の長を閉じ込めているみたいです」
「地下牢……。その管理者が誰かまではさすがにわかんねぇ感じか?」
「ローブで顔を隠しているので詳しくはわかりませんが、身長的にフィルムだと思います」
身長で判断か。
確かにフィルム、めちゃくそ小さかったからな。子供サイズだった。
「もう一人、動いている管理者が…………ちょっと…………」
「もう一人がウズルイフなのは知っているぞ。だから、どのような動きをしているのかを教えてほしい」
動いているのは確実にウズルイフ。
ローブで顔を隠しているから誰かわからないとかなら、こっちはもうわかっているから動きを教えてほしい。
「…………申し訳ありません。ウズルイフが動いているのはわかるんです」
「なら、なぜ躊躇する」
「霞んでいて、見えないのです。姿はもちろん、景色までもが……」
…………え、霞んでいて、見えないだって?
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