子供の扱いは難しいし、厄介な奴はいるし、ふざけるな
体がふわふわする、軽い。
でも、瞼がものすごく重たい。
重たいというか、開けられない。
────え、開けられない!?
つーか、右腕やら左腕も動かないんだけど!!
ちょっ、どうなってるの!? 拘束魔法の一種!?
だ、誰か!! 誰か助けてくれ!!
「…………もしかして、起きた?」
ん? この、気だるげな声は!!
「アマリア!! 体が動かん。目も開けられない! これは拘束魔法を寝ている時にかけられたのか!?」
「い、いや。拘束魔法……と、言えば、拘束魔法………なのかなぁ」
な、なんだよ、その曖昧な感じ。
って、あれ、右腕を固定しているナニカがもぞもぞ動き出したぞ。
「ん~~、なんだぁ………」
この声、アルカか?
まさか、アルカが俺の腕を拘束していたという事かぁ?
おいおい……。まったく、人騒がせな奴。
だが、右手は動くようになった。
この調子だと、左手はリヒトかな。目は一体、何が乗っかっているんだ。
――――むにゅ
「あっ? あ……」
目元には、スピリトがいたらしい。
鼻提灯を作り、俺がつまみ上げていることに気づかず眠り続けている。
そんで、案の定というべきか。
左を見ると、リヒトが俺の左腕を完全にホールドしていた。
これは、動けないはずだわ。
顔を引きつらせていると、アマリアが浮かびながら俺の目の前まで来た。
顔を覗き込み、右手を額に乗せて来る。
な、なんだ?
「……………………うん、熱はないみたい。首とかに痛みはない?」
「今、この状況で確認しろと?」
「それもそうだね」
くすくす笑ってんじゃねぇわ、殺すぞ。
誰かぁぁぁぁぁあ、俺の拘束を解いてくれぇぇぇぇぇぇええ。
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やっと、拘束から開放された。
された――いや、されてはいないな。
「へいへい、心配かけたな、リヒト」
「グスッ…………本当ですよ、本当に、心配しました…………」
リヒトが座っている俺の腕を掴み離してくれない。
泣いているし、まだ微かに体が震えている。
こんなリヒトを引きはがすなんて、出来る訳ないやん。
「はぁ…………ん? あっ」
視線を感じてそっちを見てみると、アルカも泣くのを我慢して俺を見ていた。
が、我慢される方も、心抉られるんだけど。
「…………………………………………アルカ、来い」
「っ!!」
流石に今の状態では話にならん。
アルカとリヒトが落ち着いてくれないと……。
沈黙の末、アルカは俺の方に近づいて来た。
…………あれ、近づくだけ? 俺、手を広げて待っているんだけど。
なんかこれ、俺が抱き着いてほしいみたいな図になってない?
別に、アルカが大丈夫なら俺的には抱き着きたいわけではないんだけど。
――――いや、アルカが躊躇しているだけか。
そういや、アルカは十九歳。
気難しい年齢か。
おじさんである俺に抱き着くのは嫌だよなぁ。
でも、不安そうだし……。
――――――――ポンッ
「っ、え」
「よしよーし」
抱き着くのが嫌なのなら、頭を撫でてあげよう。
餓鬼はこれ、好きだろう。
俺もリヒトの頭を何度か撫でてきたから、さすがに感覚は慣れてきたぞ。
上手く撫でれていると思う、自慢したいな。ふふん。
「……………………グスッ」
「――――え」
う、嘘。
なんか、我慢していた涙が決壊したように溢れているんだけど
え、え?
痛かったか? 嫌だったのか?
抱き着くよりましだと思ったんだが、駄目だったのか!?
「~~~~カガミヤァァァア!!!!」
「グエッ!!!」
だ、抱き着くというより、タックル……。
俺の腕に抱き着いていたはずのリヒトは、タイミングよく手を離して巻き込まれることはなかったらしい。
おい!!!! そこは巻き込まれろよ!!
ベッドの上だったから、背中をぶつけてもそこまで痛くはなかったけど、これはこれで複雑。
「カガミヤ、俺、すっごく、心配、したんだぞ!! 死んじまったんじゃないかって!! 死んじまうって…………」
いや、その話をしたいのは山々なんだが、現状、お前らが泣きそうになっているから話が出来ないんだよ……。
俺って、まじでそんなに酷かったの?
そんな心配するほど、やばかったの?
「――――あ、あれ?」
げんなりしていると俺の頭付近に、アマリアと魔法使いの格好をしている女性が立っていた。
その後ろにロゼ姫とグレールの姿も見えるな。
アマリアがいたのは知っていたけど、他のみんなもいたのかぁ。
なぁ、俺を助けてくれてもいいと思うんだけどぉ??
「はぁ、はぁ。げんなりしている知里さん、素敵、美しい。もっと、もっと私が苦しませてみたい!!」
「……………………アマリア、セツメイ」
この声、聞いたことがあるぞ。
というか、あの魔法使い。俺に、なんかの魔法を付与していた女じゃねぇか?
少しだけ目を覚ました時、隣に座っていたような気がする。
「知里が悪夢から目を覚ます事が出来たのは、この魔法使い、ブラント・エトワールのおかげだよ」
ブラント・エトワール? 聞いたことがない名前だな。
「ち、知里さん、知里さんが、あぁ、顔が青い。げんなりしている表情、美しい……。な、なめ、舐め回したい!!」
…………………………………………また、倒れそう。
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