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俺、やっぱり頭に血が上ると変な事しかしないな

 ベッドで横になって通帳を眺めていると、時間を忘れる。


 アマリアもグレールと共に本を読んで時間を過ごし、ロゼ姫とアルカ、リヒトは談話を楽しんでいた。


 こっちの世界に来て、ここまでゆっくりできたのは指折り数えられる程度でしかない。

 なんでもない時間が、こんなにも幸せなんて思わなかったなぁ。


 …………なんか、眠くなってきた。

 体調は完全回復したと思うけど、無理するとまた熱をぶり返すかもしれねぇし。


 まだスペルは戻ってくる気配もない、少し寝ようか。


 ・

 ・

 ・

 ・

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 ・

 ・


『鏡谷知里、また呼び出してしまったんだが、話せるかい? お前さんに伝えなければならないことがあるんだ』

「 …………はい」


 また、カケルが俺を呼び出しやがった。

 寝るたびに出て来るとかないよな? さすがに気持ちが落ち着かないんだが?


『そんな嫌な顔を浮かべるな、悲しいだろう』

「正直者なので」

 

 なんで俺をここに呼び込んだんだよ。

 暇つぶしとかだったら許さねぇからな。


『なぜ俺がお前さんをここに呼び出したか。それは、ウズルイフについて少々話さなければならないことがあるからだよ』

「ウズルイフについて?」

『そう。俺が一番警戒している管理者なんだ。できれば、接触して欲しくはなかったが、仕方がない。できる限り、これからは接触を避け、相手から襲ってきたら《《無理やりにでも戦闘に持ち込むんだ》》』

「はぃ??」


 待て待て待て、なんだよ、話が見えない。

 カケルが焦っているのは、表情と口調で分かるが、ちょっとは俺のペースにも合わせてくれよ。


『怪訝そうな顔を浮かべているね。なぜ、俺が今そんなことを伝えたか。それはね、もうアマリアから話は聞いていると思うけれど、俺の仲間が二人、確実に管理者によって殺されているんだ』

「確かに、それは聞いた」

『だろうね。でも、殺され方までは、聞いていないだろう?』


 まぁ、確かに聞いてはいないな。

 指輪から覗いているんだから知っているだろう、いちいち言い方が回りくどいな。


「どんな殺され方をしたのか、聞いてもいいのか?」

『構わないよ。それを話すために、お前さんを連れ込んだのだから』


 言い方が何となく嫌なんだが?

 俺は、男に連れ込まれる趣味はない。


『俺の仲間二人は、肉体崩壊されたわけじゃないんだ』

「肉体崩壊では、ない? 言い方がおかしくね?」


 つーか、それってどういうことだ?

 体の方は無事だったって事でいいのか?


『肉体崩壊ではなく、精神を崩壊されたんだ』



 ――――――――俺さぁ、人の心が壊れる瞬間が、一番好きなんだよねぇ~



 以前、初めてウズルイフと出会った時、こんなことを言っていた気がする。

 人の心が壊れる瞬間が好きで、今も俺の心を壊そうと作戦を立てているだろう。


『俺と共に、冒険者として活動してくれていた二人がウズルイフによって、心を壊され、他の管理者によって肉体はめった刺しにされた』

「待てよ。だって、冒険者なんだろ? それも、お前が率いていた……。そんな、弱い訳ないだろう」


 カケルは、世界最強の冒険者。

 そんな奴についていける奴も、生半可な精神力、戦闘力ではないはず。


 俺には想像できないが、様々な苦難を乗り越えてきたんだろ?

 なのに、そんな冒険者が二人も、ウズルイフによって精神を破壊させているなんて。


 そんな話、そう簡単に信じられるわけない。


『最強だったさ、俺の仲間は。誰にも負けない剣士と魔術師だったよ。でも、ウズルイフによって二人は心が壊れ、魔法を扱う事が出来なくなり、簡単に死んだ。俺の目の前で、俺が封印される直前に、死んだんだ』


 懺悔するかのような、悲しみに満ちた声。

 隣に垂らしている手を強く握り、拳を震わせている。


 あの様子、カケルが嘘を言っているようには見えない。

 という事は、マジで優秀な冒険者が二人も、ウズルイフに負けているらしい。


『……ふぅ、すまない。取り乱した』

「別に」


 落ち着いたみたいだ。

 早いな、さすが名を広げるほどの実力を持った冒険者だ。


『ウズルイフの情報、もう一つ伝えなければならない』

「なんだよ」

『ウズルイフは、用意周到でね。事前準備がえげつないんだ』

「事前準備?」

『そうだ。事前にターゲットの過去、周りの人物、現在、トラウマ、趣味…………そういったものを徹底的に調べるんだ。それで、何を使えば相手の心を壊す事が出来るかも、しっかりと練ってくる』


 事前準備は欠かさないタイプという事か。


 つまり、長いこと野放しにしていると、どんどん俺達の情報があいつに漏れて、材料を作らされるという事か。


『警戒、したいだろう?』

「なんだよ、その言い方」

『いや、警戒しても、俺がお前さんに何度もウズルイフと接触するなと言っても、相手から来るのだから意味は無い。だから、これだけは伝えさせてくれ』


 真剣な表情。

 普段、ヘラヘラしている分、緊迫感が凄いな。


『仲間を思うのなら、絶対に最後まで信じるんだ。そして、お前さん自身、今の自分を信じ続けるだ。それが、ウズルイフにとって、一番嫌な抗い方となるだろう』


 自信満々に言っているが、さっぱりだ。

 だが、とりあえず頷こうか。


 仲間と今の自分を信じる……か。

 できるかわからんが、意識だけはしておこう。


 くそぉ……、そこまで警戒しないといけないのかよ、ウズルイフさんよぉ。

 やべぇよ、俺。喧嘩、ふっかけちまった。


 死んだじゃねぇかこんちくしょぉぉおおおお…………。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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