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まさか、アビリティとスペルがそんな関係だったなんて

 アマリアからの話を聞いて、この世界では何があってももう驚かない自信が芽生えた俺は、まだ体が全回復していないため一週間は寝て過ごす事を余儀なくされた。


 起き上がろうとするだけでリヒトは鎖で脅してくるし、目を盗んで部屋を抜け出そうとすればグレールによって引き戻される。


 せめて部屋で魔力のコントロールの練習をしようものなら、ロゼ姫とアマリアによって無言の圧力をかけられ撃沈。


 俺の行動範囲はベッドのみ。

 さすがにトイレには行かせてくれたけど、絶対にアマリアは一緒だった。


 そんな地獄も今日で終わり。

 体は回復、精神は崩壊した状態の俺が今、飯を食っていると姿を消していたスペルが現れた。


「回復したみたいですね、心配しました。それなら、さっそくなのだけれど、私に貴方について教えていただいてもよろしいかしら。いいわね? 特にカケル=ルーナについてを詳しく」

「俺は別にいいが、他の奴らが許さねぇと思うぞ」


 何故か俺は、アマリアを除く四人に守られた。

 サンドイッチと珈琲を楽しむ時間を作ってくれてあんがとよ。


 四人からの圧でさすがにたじろいでいるスペルは、歯を食いしばり俺を見ようとするが、四人は許さない。


「俺って、ヒロイン立ち位置が似合う男かもしれないな」

「それは嬉しい事なの?」

「何もせず守られ、何もせず欲しいものが手に入るのなら喜んでなってやるよ」

「そんなヒロイン、居ても困るよ…………」


 アマリアが何故かため息。

 素直に言っただけなのになぜ飽きられている、意味が分からん。


 サンドイッチを食べ終え珈琲を飲んでいると、スペルが大きなため息を吐き頭を抱えている姿が、四人の隙間から見えた。


「わかりました。なら、また日時と時間を約束しましょう。今回は貴方が熱で倒れてしまったから約束を守る事が出来ませんでしたが、次なら大丈夫でしょう」

「それは約束できねぇな。今の俺は、色んな案件を抱えている。先が読めない状況なんだ」

「なら、今すぐっ――厄介ねぇ」


 おぉ、今すぐ話そうとすると、アマリア以外の四人が殺気を放ちやがった。


「俺は愛されているらしい、嬉しいものだねぇ」


 適当に返していると、スペルは「ぐぬぬっ」と唸った後、気を取り直すように咳払い。

 今は何を言っても意味はないと諦めてくれたんだろうか。


「はぁ、仕方がないわ。また、時間を見つけてきます。ですが、そちらも時間が出来次第、癒し処に来ていただけると助かります。――――私、いつまでも諦めませんので」


 ────っ、なんだ、その目。

 殺気、ではない。でも、俺達ではわからない強い思いが込められているような、瞳。


 そこまでして、カケルについての情報を集めているという事か。


 元、仲間……か。

 あいつは、元仲間がどうなったのか知っているのだろうか。


 カケルしか生きていると言い切れないから、そこまで執着しているのだろうか。


 拳を振るわせ、俺を睨んでくるスペル。

 このまま何も伝えず返しても、大丈夫なのだろうか――……


『お待ちなさい、スペル』

「っ、え、アビリティ?」


 え、今まで呼んでも現れなかったのに、なぜ今になって……?


「――――え、今の声。カケル=ルーナのアビリティ!?」

「え、カケルのアビリティだったのかお前!?」


 いや、待てよ……?

 こんな指輪が湧いて出て来るなんてことあるわけないし、少し考えればわかる答えだった。


 俺、こんなに頭悪かったんだ。

 仕事は出来ていた方だったんだけどなぁ、はぁ。


「な、何故貴方がその男と共に冒険を……。たしか、貴方はカケル=ルーナ以外の人に従うのを嫌っていたはず…………」


 あぁ、なるほど。

 時々感情を露わにしていた理由、今わかった。


 やっぱりこいつ、感情あるじゃねぇかよ。

 時々怒っていたように感じていたのは気のせいではなかったらしい。


『カケル様のご命令なため、仕方がありません』

「そう…………」

『それより、今はカケル様についてお話しできることが知里様にはありません。お帰り願います』


 え、そうなのか?

 色々、離そうと思えば話せる事はあると思うんだけど……。


 いや、俺が知っているという事は、こいつも知っているという事か。

 それなら話せることはないな。


「貴方……、昔と変わらないわね。ただの指輪の癖に」

『私が一番、カケル様の役に立っていたのは確実です。貴方より役に立っておりました』


 あ、あれ? なんか、喧嘩腰になってない?


「ほう、そんなこと言いますか。ですが、残念、そんなことありませんよ。私の方がカケル=ルーナの役に立っていました。癒してあげておりました。貴方などいらないくらいにね」

『そんなことありません。私が居なければ魔法の確認、パラメータの管理。他にも戦闘に関してお役に立っておりました』

「いーえ、役に立っていたのは私よ。私の回復魔法と癒し魔法でカケル=ルーナの傷や疲労を回復しておりました。占いで未来を読み、しっかりと道筋を見せ、導いておりました」


 …………なに、この低レベルな喧嘩。


「この二人、どっちもカケル=ルーナの事が好きだったみたいだね。どっちがカケル=ルーナの役に立ったのかを口論かぁ、面白いね」

「楽しんでいるのはお前だけだ。見てみろ、他の奴を。みんな唖然として俺の方を向いているぞ」

「あぁ、そうだね、助けを求められているよリーダー。早くこの空気をどうにかしてあげなよ」

「ふざけるな。お前らもこっちを見るな!」


 なんでアルカ達は俺を見て唖然としているんだよ。

 視線がうるさい、こっちを見るな。


 こういう時こそ俺を助けろよこの野郎!

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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