俺の扱いが最近雑過ぎる件
「アマリアって、人に興味なさそうに見えて、超見てるよな」
「いきなりどうしたの」
「本人すら気づいていない思考を敏感に感じ取ってさぁ」
「知里の場合は、わかりやすいだけ」
「えぇ…………」
わかりやすい…………?
わかりにくいとは、よく言われるんだけど……。
「…………あんがと」
「別に。こっちは命を救ってもらっている側だからね、これくらいしないと平等ではないでしょ」
「こんなことをしても平等ではないけど」と付け足したアマリアが、夜空を見上げ口を閉ざす。
俺もアマリアと同じ景色を見るため上を向くと、なんか、体に集まった熱が全て冷めたような。
すぅっと、落ち着いていく。
「――――夜空ってさ、澄んでいて心洗われる光景なんだよ。高まった全てのモノを落ち着かせるんだ」
「へぇ、経験談?」
「まぁね」
アマリアは、俺以上に色々経験しているもんな。
本当に、色々。
「さすがに長い時間生きていると、気持ち的に冷静ではいられなかった時や暴走してしまった時とか。色々経験だけはするよね」
「だよな」
「そんな時、フェアズが教えてくれたんだよね。星空を見ると、気持ちが落ち着くよって」
えっ、フェアズが?
「それって、管理者の時の話だよな?」
「そうだよ」
「管理者の時は、フェアズとアマリアって、仲が悪かったんじゃなかったか?」
「そうだよ。だから、いまだによくわからないんだよね。フェアズは、なんで僕の事を邪険に扱っていたのに、時々そんなこと言っていたんだろうって。でも、今気にしても意味はないから、いい思い出として覚えておこうと思っているよ」
…………これは、何も言わなくていいな。
まったく…………はぁ、おじさんに惚気話をするんじゃありません。反応に困るでしょうが。
「はぁ、ごちそうさんでした」
「何言ってんの?」
「別に。それより、俺をここに連れてきたのは、澄んだ光景を見て心を落ち着かせてと、言いたかっただけ?」
「そんな感じ。心休まる時も大事だって事だよ。今まで、本当に色々あっただろうしね。僕の管理が出来ていなかったところでとか」
「……………………言いたい事が沢山あり過ぎて、逆になんも言葉が出てこなかった」
まず、管理はするな。
そんで、色々の原因はお前にもある。
最後に、そう言うならこれからはもっと俺を敬え。
以上!!
口に出さずに顔を引きつらせていると、アマリアは視線から逃げるように顔を背けやがった。
察しやがったな、俺の心境。
ため息を漏らしつつ、再度夜空を見上げ、静かな時間を過ごした。
※
俺達が部屋に戻ると、アルカ達全員が眠りについていた。
グレールの隣にアルカが横になって。
リヒトとロゼ姫も布団を敷いて眠っている。
全員疲れがたまっているのか、ドアの音や俺達の気配にも気づかず眠り続けていた。
「相当疲れていたんだね」
「俺も疲れているんだがなぁ」
「はいはい。空いているのは椅子だけみたいだけど、眠れば?」
「冷たいなぁ…………」
「現状を見ているだけ」
「ちぇ」
まぁ、椅子しか空いていないのは仕方がないし、座って寝るかぁ。
次の日、首や腰が痛そうだけど……。
椅子に座り寝ようとすると、アマリアも床に座って、壁に寄りかかり目を閉じた。
「椅子、まだ空いてるぞ?」
「ここでいい」
「そう」
はぁ、色々疲れたなぁ。
今日はゆっくり休んで、また明日からやりますかぁ。
…………ん?
後ろ、アマリアが何かモゾモゾ動いている?
余計な事はするなよぉ~。
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さて、目が覚めてご飯も食べた。
気持ちも切り替えたし、準備は出来た。
でも、体にはまだ疲労が残っている感じ。
これ、すぐに活動開始してもいいのかぁ?
「疲れておりますね」
「まぁな、何か行動を起こせば、必ず何かに邪魔される。さすがにストレスと疲労が蓄積されて、体が重たい」
ロゼ姫にも心配されちまった。
あぁ、欠伸が自然と出る。
涙を拭いていると、リヒトとアルカが顔を見合せ眉を下げちまった。
え、どした?
「あの、カガミヤさん」
「なんだ?」
「カガミヤさんはまだゆっくり休んでいてください」
「え?」
まさか、そんなこと言われるなんて思わなかったわ。
いつもブラック企業並みに『動け! 働け!』と言ってくるのに。
「そうだな。カガミヤはゆっくり休んでいてくれ。俺達で長の手がかりとかお探すから!」
リヒトとアルカがありがたい言葉をかけてくれているが、それはそれで不安しかない。
アルカは頭を使う事は苦手だし、リヒトも慣れてないだろう。
どうやって調べる気だ?
「でしたら、私がチサト様を体休める所へご案内します。グレールはアルカさんとリヒトさんを図書館へお願いできますか?」
「星屑の図書館ですね……。私が……ですか」
あ、渋ってる。
ロゼ姫と少しでも離れるのが嫌なんだろうな。
ん? アマリアが動き出した?
「多分、少しなら離れても大丈夫だろうし、僕がアルカ達と行くよ。星屑の図書館なら場所を把握しているし」
アマリアがそう言った途端、グレールは目を輝かせた。
最初は無表情が多かったけど、共に過ごすとわかるな、表情の変化とか。
「それじゃ、そんな感じでいいか」
「わかりました。では、ロゼ姫、行きましょう」
「わかりました」
あ、呼ぶのは俺ではないのね、グレール。
あれ、おかしいなぁ。
俺の疲労を回復する事がメインじゃなったか?」
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