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こんなことを言われるなんて思ってなかったから本当に驚いた

 とにもかくにも、リトスを無事に仲間の元に送り届ける事が出来た。

 感動の再開。でも、長がいない現状に不安も感じているらしい。


 俺も、なんとなくこのままほっておくのは嫌だし、まずロゼ姫達に報告して、長を探すか。


 リトスとはまた違うユウェル族は、ベルクヴェルクに残る事となった。

 これ以上、仲間が散り散りになるのは避けたかったらしい。


 リトスだけは、何故か俺を監視する役割を担ってついて来た。

 これは、レイラの提案。意味が分からない。


 もやもやとしている胸を抱え、無事に城に到着。

 部屋の中ではロゼ姫が椅子に座り、グレールがベッドに座って話していた。


「あ、お帰りなさい」

「あぁ。起きていたんだな、グレール」

「ご心配をおかけしました」


 俺達が帰ってきたことを確認すると、グレールが立ちあがろうとしたため、ロゼ姫が止めた。


「駄目ですよ、グレール。まだ体が重たいでしょう?」

「い、いえ。もう大丈夫ですよ」

「駄目です。休んでください、私からの命令です」

「は、はい…………」


 おぉ、グレールがたじたじ。

 少しだけ浮かした腰を下ろした。


 近くまで行きグレールの顔を覗き込んでみると、確かにまだ眠そう。

 珍しく無防備だし、瞼が落ちそうになってる。


「まだ眠いのか?」

「まぁ、瞼は重たいですが…………」

「寝ていても大丈夫だぞ、話は頭が冴えてからにしよう。大事な話があるからな」

「大事な話ですか?」

「あぁ、グレールの目が冴えた時にな。今はゆっくりお休み」


 顔を離し、部屋から出る。

 アルカとリヒトを部屋に残してきてしまったが、まぁいいだっ――――


「僕の存在、忘れてない?」

「どわっ!?」


 閉じたと思ったドアが半開き!? そこから顔を覗かせて来るアマリア……。


 い、一瞬、幽霊か化け物か。とりあえず、人間ではない何かだと思って心臓が口から出るかと思った。

 いや、アマリアは人間ではないんだけどさ。


 キィィと、ドアを閉めると、俺の隣に移動して来た。


 なんとなく、歩みを進めてみる。

 特に目的があるわけではないけど。


 コツ、コツと、一人分の足音が響く廊下。

 アマリアは浮いているから、足音がないのは当然。


「…………」

「…………」


 んー……。

 アマリアが無言で着いて来る。目的がないから困るなぁ。


 この微妙な空気、どうすればいいんだろう。

 でも、このまま部屋には戻りたくないし、かといって行きたい所もないし。


 うーん、まいった。


「――――ねぇ、知里」

「ん? なんだ?」

「ちょっと、僕に付き合ってくれない?」

「え、別にいいが……、どこか行くのか?」

「うん。ちょっと、気になる事があってね」


 ん? まぁ、わからないけど、今は何かしたいわけでも、体を休めたいわけでもないし、付き合うか。


 ※


 アマリアについて行くと、地上に出た。


 今はオスクリタ海底を見下ろせる丘の上。

 もう日は落ち、星空がちりばめられていた。


 今日は満月なんだな。

 辺りが月光により照らされ、明るい。


 月を見上げていると、アマリアが隣に移動して、一緒に夜空を見上げた。


「綺麗でしょ、ここ」

「確かに綺麗だが、なんでいきなりここに来たんだ? 用事とかあったんじゃないのか?」

「用事はあるよ」

「なら、早く用のある場所に――……」


 アマリアの方を見ると、なぜか左右非対称の瞳と目が合った。

 な、なに、なんでこっちを見ているの?


「な、なんだよ」

「いや、知里、まだ乱れているなって思って」


 え、乱れてる? そ、そんなことないと思うんだけど……。

 今は思考もしっかりしているし、体とかも震えてない。


 どこでアマリアは、俺が乱れていると断定したんだろう。


「なんか、変なんだよねぇ。空気かなぁ、言葉かなぁ。とりあえず、いつもの知里ではないんだよ。だから、ちょっと空気を変えた方がいいかなぁって思って」


 横目でちらっと見られてる。

 そんな事言われても……。


 自分じゃ、どこが変なのかわからないし。

 そもそも、変だっていう事に気づきもしなかった。


「難しい顔を浮かべているね。自覚なしだったのがわかるよ」

「笑うな、まったく…………」


 くすくすとアマリアが楽し気に笑ってやがる、むかつくなぁ。


 ……………………確かに、気持ちは落ち着いてなかったのかもしれないな。

 今、夜空を見上げてみると、胸に潜む異物がすぅっと落ちていくような感覚がある。


「ウズルイフの事は、今すぐに考えなくてもいいと思うよ」

「ん? なんでだよ。これから仕掛けてくるとすれば、ウズルイフじゃないのか?」

「いや、これから大きく仕掛けてくるとしたら、おそらくフィルムの方」


 ウズルイフが俺に思いっきりぶつかってきたのに、次に動くのはフィルムなのは何でだ。

 なんで、そう思ったんだ?


「ウズルイフはまた、作戦を練らないといけないからね。次は、もっと大きな動きを見せて、確実に知里の心を破壊しに来ると思う」

「えぇ……」

「ウズルイフは、そういう男。失敗は一回まで。二回目以降は、必ず傷跡を残しに来る」


 今まで共に行動していたアマリアが言うのなら、そうなんだろうな。


 次の作戦をウズルイフが練っている間に、フィルムが俺達を殺そうとして来るって事なのか。


「ウズルイフの扱いは、あのお方、クロヌ様も手を焼いていたから、今では放置することが多いんだよね。ただ、管理者としての仕事はマイペースにするし、ルールは破らない。だから、ここまで自由にしているんだよ」

「なら、フィルムが動くのは何で予想できるんだ?」

「フィルムは僕が生きていることをよく思っていない。殺すと、直接言われたしね」


 あぁ、オスクリタ海底の受付嬢に、アマリアが管理者を追放されたという文を渡した時か。


「だから、知里というより、僕を殺すために動き出すだろうね。クロヌ様からもそのような命令をされているだろうし」

「ふーん」

「君だけじゃないよ、周りに迷惑をかけたり、危険な目に合わせているの」


 え、なんでそんなことを言われているんだろう俺。

 別に、そんなこと考えた事……。


 あっ――……

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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