まさか、こんなことになるなんて誰も思わないだろう
「ナンデ、フエテルノ」
「野良のモンスターに出会ったと思ったら、出てきたのがこの二体のユウェル族だったんだ」
あぁ、出会い方は俺と同じなのか。
「その二体、…………いや、リトスも含め三体、全然見分けがつかないんだが。誰がどれでどの子が誰なんだ?」
「まず、リヒトの腕に抱えられているのがリトス。頭に乗っているのがリン、俺の肩に乗っているのがリツ。という名前らしいぞ」
えぇっと??
俺の方に来た二体のユウェル族がレイラとレイ。
アルカ達の方にはリトス、リン、リツ。
あぁ、頭が困惑する。
全員見た目まったく同じだし、見分けられる方法は口調だけ。
リンとリツはどのような話し方をするのか……。
「リツ!! リン!! リトス!」
おっ、レイラが声をかけると、三体のユウェル族が動き出した。
地面にジャンプして、感動の再開。
四体で抱き合っている。
うーん、もうわからん。誰が誰だ。
感動の再開を見ていると、アルカとリヒトが顔を青くして一点を集中していた。
「あっ…………」
アルカとリヒトの視線の先にあるのは、男性の死体。
驚くのも無理はない。いいタイミングだし、聞くか。
「おい」
「っ、カ、カガミヤ、これって…………」
「俺が殺った」
「っ、え?」
色々言葉を並べてもいい訳にしかならんしな。
事実を簡潔に――――
「さすがに語弊があり過ぎる。アルカとリヒトにはわかると思うけど、知里の意思じゃないからね?」
あっ、アマリアが横槍入れてきた。
俺の言葉に付け加えるようにさっきの出来事を簡潔に伝えてる。
話を聞いている時、アルカとリヒトは黙って聞いていたけど、徐々に表情に怒りが見え始めた。
拳が自然と握られ、アルカに至っては額に青筋が立てられる。
全て話が終わると、この空間が静かになった。
先程まで感動の再開をしていたユウェル族達も、俺達の空気感を感じ取ってなのか、何も言わない。
反応に困るよな、別にストレートに言ってもいいんだけど。
こいつらは甘い考えだし、戸惑うのも無理は無い。
「――――許せない」
っ、え。
今、言ったのって、リヒト?
「あぁ、許せねぇよ。そんなの、あんまりだ」
アルカも、今まで聞いたことがない、地を這うような声。
「――――っ!」
二人の表情、怒りで満ちている。
今までは怒っていたとしても、子供のように喚いていただけだったというのに。
鬼の、形相。
隣にいるアマリアも一粒の汗を流し、二人を見ている。
俺も、二人を初めて怖いと、思った。
「絶対に、許せません。罪をカガミヤさんに擦り付けただけでなく、心を壊し楽しもうとするなんて」
「あぁ、ありえねぇ。すべてが、人のやる事じゃねぇよ」
アルカもリヒトも、本気で怒っているのか?
「カガミヤさん!! 貴方は何も悪くありません!!」
「そうだぜカガミヤ! お前はただ、守ろうとしただけじゃねぇか!! なに自分が殺したとか意味わかんねぇこと言ってんだよ!! 何もしてねぇじゃねぇかよ!!」
声、大きい。
いや、なんでそこまで怒ってんの?
俺、間違えたこと言ってねぇんだけど……。
「い、いや、待て待て。だが、俺が手を出したのは事実で――――」
「「そんなことはどうでもいいんだ!!」」
え、えぇ……。
怖い、二人が、ものすごく怖い。
あ、こっち来ないで、怖いって。
「カガミヤさん!!」
「カガミヤ!!!」
「は、はい…………」
よ、予想外過ぎて、何も言えない。
「カガミヤ、一緒に管理者をぶっ殺すぞ!!」
「うん!! 絶対に許せない!! 絶対に私達が殺してやるぅぅぅぅう!!!」
い、いやいや、なんでお前らがそんなこと言ってんだよ。
それは俺の台詞で、お前らは止める方だろう。
つーか、は? え、何が起きた?
「ペットは飼い主に似るっていうけど、仲間でも言える事だったのかもしれないね」
「…………どういうことだよ、アマリア」
「リヒトとアルカは、本当に知里の事を尊敬し、心から信頼しているって事。良かったね」
……………………分かってはいた。
アルカとリヒトなら俺から離れないだろうと、予想はしていた。
だが、まさか本当に予想通りになるなんて思わなかった。
……………………ああぁぁぁぁああ!! 胸がざわざわして気持ちが悪い!!!
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