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なんとしてでも殺してやる

「はぁ、はぁ…………」


 長を壁まで吹っ飛ばしたせいで土埃が舞う。


 息が、苦しい。

 なんだ、この、嫌な感じ。


「はぁ、はぁ…………」


 自然と呼吸が荒くなる。


 ――――いや、今は唖然としている時ではない。


 さっき、俺が炎の拳を振りかぶった時、人をあざ笑うかのような視線を体に感じた。

 アマリアの叫び声も、ギリギリ聞こえた。


 隣にいたはずのアマリアは今、土埃が舞っている場所へ移動している。

 そこには、アマリアだけではなく、他にも一人……。


 壁にぶつかり、頭がもげてしまった長のロボット。

 ガランと大きな頭が落ち、《《中から何かが覗き見えた》》。


 ――――ドクン、ドクン


 心臓が、激しく波打つ。

 嫌な予感が走り、足が勝手に壊れた長のロボットに近付く。


 覗いているのは、人間の黒髪。

 ゆっくりと手を伸ばし、壊れたロボットに触れる。


 ぎぎぎっと、首部分を掴み、開くように引っ張った。



「――――――――っ」



 中から現れたのは、頭や口から血を流し、《《腹部が大きくえぐれている》》一人の男性だった。


「なっ、なん、で…………」


 なんで、中から人が出て来る。

 何が起きた、わからない。


 アマリアが男の口元に手を当て、生存確認している。


 顔を上げ、こちらを向き、首を横に振った。

 もう、死んでしまったらしい。


 俺が、殺したのか?

 俺が、やっちまったのか?


 俺が――…………


「知里、落ち着いて」

「っ、ア、マリア…………」


 っ、汗が、酷い。

 服が肌に張り付いている。


 あっ、後ろから、レイラとレイが駆け寄ってきた。


 俺を罵倒する気か。

 なんで殺した、とか。話しが違う、とか。


 まぁ、罵倒は慣れている。

 これは、俺が招いたことだ、仕方がない。


「あ、あの、あれは誰」


 ロボットの中にいた人の事を指しているのかと思い顔を向けるが、違った。

 辿ると、黒ローブを着た人が空中にいる。


 あれって、あの、黒いローブって……。


「おやおやぁ?? なぜ、元冒険者が死んでいるのかなぁ??」


 元冒険者? 誰の事を指してやがる。

 いや、まず、あいつは誰だ。まさか、あいつが……。


「なるほど。この男は違反を犯し、フィルムが作ったダンジョンに放り込まれていた、元冒険者か。こうなるように仕向けたね、ウズルイフ」


 ”ウズルイフ”

 この名前、アマリアが目に出した、管理者の名前だ。


「酷いなぁ、そんなわけねぇだろう? ただ、そのロボットは魔力を原動力にしているから、協力をしてもらっただけだ」


 被っていたフードを取ると、紫色のウルフカットに藍色の瞳が見えた。

 頭にはヘアバンド、八重歯を見せ笑っている。


「俺はただ協力をしてもらっただけ。誰だろうなぁ~? 冒険者に容赦なく炎魔法を放ったのは」


 っ。こいつ、わざと……。


「誰だろうなぁ、容赦なくぶん殴ったの。俺は、ただロボットを作り、冒険者に協力を仰いだだけ。最終的に殺したのは、誰だろうなぁ〜」


 ――――ギリッ


 こいつ、俺に罪を擦り付けやがった。俺を、利用しやがった。

 ――――俺に、殺させやがった。


 あいつは目的があって、この冒険者をロボットに入れて殺させたわけではない。

 アマリアの言葉が正しければ、ただ楽しみたいだけでこんな事をした。


 嘲笑い、相手を地獄の底へ叩き落そうとしてくる。

 すべて、自分の娯楽のために。


「おいおい、なに怒ってんだよ。理不尽じゃねぇか? 俺は、何もしてねぇのによぉ。なぁ? 知里ちゃんさぁ~?」


 ――――フゥゥゥ。


 魔導書を開き、魔力を高める。

 足を肩幅に開き、目線は一つ、ウズルイフに。


「おっ? まさか、俺と殺り合う気か? 無謀だと思うぞ?」

「やってみねぇとわからねぇだろうが」

「やらなくてもわかるんだけどなぁ」


 アマリアが「やめた方がいい」と止めて来る。

 でも、もう止まらない、止めたくない。


 あいつは、許してはいけない。

 あいつを、野放しにしてはいけない。


 今、ここで、あいつを殺さねぇと――――…………


「――――|Dragonflameダーク・フレイム


 右手を前に出し、炎の竜を作り出す。

 今までの非にならない程大きく、色が濃い。


「ほぅ、チート魔力を持っているだけの事はあるみたいだなぁ。面白い」

「面白がっているのも今の内だ。そのうち悲鳴を上げ、逃げ惑う事になるぞ、覚悟しやがれ」

「さてさて、それはどっちかねぇ」


 余裕なのが腹立つ、むかつく。

 殺したい、あいつだけは、絶対に。


「――――行け」


 炎の竜をウズルイフにぶっ放す。

 轟音を響かせ、口を大きく開きウズルイフに向かって行く。


 本物の竜のように大きくなった|Dragonflameダーク・フレイム、食らいやがれ!!!


「チート魔力を使っているみたいだが、穴が多いな。これなら、俺でも問題はなさそう。えぇっと――――temps(テムス)


 魔法を唱えた。何属性だ――――っ!!


「────えっ、俺の、|Dragonflameダーク・フレイムが、とま、った?」


 俺の放った|Dragonflameダーク・フレイムは、ウズルイフの目の前で止まった。



 ――――パチンッ!!


 ────シュッ


 あいつが指を鳴らすと、魔法が消え、た?

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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