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何が、どうなっているんだ

 俺の言葉に、アマリアは何も返さない。

 少々、強引すぎたか。


 甘い考えだとは思っている。

 前までの俺なら、アマリアの言葉に賛同していただろう。


 レイラやレイの言葉や想いなど無視して、簡単に長を殺していただろう。


 なんで、こんな甘い考えが浮上したのか。

 これは、レイラ達と長の関係が家族のように感じてしまったからなのか。


 ――――それだけではないような気がする。

 こんな甘い考え、俺の考えだけではない。


 まったく、本当に厄介だ、あの二人…………はぁ。


「…………完全に、絆されてんじゃん」

「自分でも思う」


 アルカとリヒトなら、今の俺と同じ行動、言葉をアマリアに訴えるだろう。

 完全に絆された、くそ。


「…………わかった、知里の言葉を信じるよ」

「ん、あんがと」

「周りのユウェル族が目を覚ましたみたいだし、そっちは僕がやる。範囲攻撃の腕の見せ所だしね。長は知里、任せたよ」

「あまり無駄に魔力を使うなよ? お前の魔力は俺のもんなんだからな」

「わかっているよ、安心して」


 レイラ達にはその場から離れないように伝える。

 アマリアと背中合わせに立ち、周りを再度見回した。


 ただのユウェル族はおそらく十、二十ではない。五十はいるだろう。


 普通なら一人で相手にする人数ではない。

 だが、あいつらを相手にするのは元管理者(化け物)であるアマリア、心から安心して任せられる。


 なんせ、化け物だからな。

 大事な事だから何度でも言うぞ、化け物だからな。


「なんか、変な事を考えてない?」

「気のせい気のせい」

「まぁ、いいけど。それじゃ、行くよ」

「任せた」


 言うと同時、アマリアは右手を前に出し、魔法を発動した。


muzier(ムゼィーク)


 途端、辺りに激しい音が流れ始めた!?

 え、ロック? ギター? 


 なんの音楽かわからないけど、激しいという事だけはわかって欲しい。



 ――――ギャァァァァァアアアアアア!!!!



 …………周りにいるユウェル族、一言で表すと阿鼻叫喚。

 そ、そんなにきついの? 俺は特にそんなではないんだが…………。


 ――――――――っ、後ろ、気配。


 振り向くと、長が鍬を振り上げ俺を見下ろしていた。

 アマリアの魔法に気を取られている暇はなかったな。


heat haze(ヒートヘイズ)


 まず、自身の陽炎を作り出す。


 地面を抉るほどの威力はある鍬が、俺の陽炎を一瞬のうちにかき消した。

 その隙に後ろへ回り込み、炎の拳を作り出す。


fistflame(フィスト・フレイム)


 悪いが、痛い思いはしてもらうぞ。

 殺さない程度の威力でやってやるから、感謝しな。


 炎の拳を無防備に晒している長の背中へ突き出した。



「ギャァァァァアアアア!!!!!」



 大きな悲鳴、すぐに後ろへ下がり距離を取る。


 というか、今の感覚。

 今までモンスターを殴ってきたことは何回かあるが、違うぞ。


 今回のは、生き物を殴っているというより、無機物を殴っている。

 へぇ、これは躊躇しなくてもよさそうだな。


 仮定が、確定へと変わった。


「ここからは、俺も余裕で戦闘が出来る」


 俺が殴ったところ、微かに煙が出てる。

 あれは、俺が炎の拳で殴ったからだけではない。


 あの黒煙は、アマリアの作った、魔力計測装置を壊した時と同じ煙。

 つまり、俺を襲っていた長は本物ではなく、偽物。


「レイラ、あれはお前らの長ではなく、偽物だ! ただのロボット。だから、壊しても文句を言うんじゃねぇぞ!!」

「え、ちょっ! それは本当なの!?」


 レイラの言葉に返す前に、俺は長の偽物を壊すため、威力高めの魔法を出す。


turboflame(トュルボー・フレイム)


 一本の炎の竜巻を繰り出し、長を包み込む。


『ギャァァァァァァアアア!!!!』


 さっきと同じ声量、録音されていた声を出させていると言った感じか。


 ぐらっと体が傾くと、仰向けに倒れ込む。

 指をパチンと鳴らし、炎を消した。


「さて、本物ではないとわかって良かった良かった。思った以上に早く片付ける事が出来たな」


 おっ、アマリアの方もキリが良くなったらしいな。ふわふわと戻ってきた。

 奥を見てみると――体を痙攣させ力尽きているユウェル族の大群。


「殺した?」

「殺してないよ。今出した魔法にそこまでの殺傷力はない」

「そうなんだー」


 あまり深く考える事はしないでおこう。


 長は――――あぁ、やっぱりこれだけでは壊せないか。


 所々焦げてはいるが、またしても立ち上がる。

 でも、体はふらふら、後一発で終わりだろう。


『ア、アノ、アノオカタ、ノ、タメ』

「おいおい、誰か知らんが、お前の役割はここで終わりだ。残念だったな――――fistflame(フィスト・フレイム)


 再度、炎の拳でこいつのぶん殴る。

 これで、チェックメイトだ。



 ――――――――ゾクッ!!!



 拳を振り上げた瞬間、体に突き刺さる視線。


「待って知里!! 罠だ!!!」


 アマリアの声が届くが、もう遅い。



 ――――――――ドカンッ!!!!



 俺の拳は、長に命中。壁まで吹っ飛ばした。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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