突如始まる戦闘はマジで勘弁してほしい
「あのお方…………か」
しかも、声が違う。
それは、確実に違う何かが入れ替わっているな。
きめつけはよくないけど、その線で考えた方がよさそうだ。
「なぁ、カガミヤ。何か引っかかる事があるのか?」
「いや、誰かに従っているという事は明らかになったなぁって思っただけ」
「ふーん。まぁ、そうだな」
仮定をわざわざ口にしなくてもいいだろう
――――てか、え。待って? お願いだから待って?
これも俺が解決しないといけないの? マジで?
報酬がないのに? 報酬がないのに、こんな大変な事をしないといけないの?
え、俺、泣きたい。
「まぁ、この子達が来た道を行けば長がいると思うし、自身達の目で実物を見た方が手っ取り早いよ」
「そうだな。それに、こいつらさっき、ベルクヴェルクの名前を出していたし。リトスについても知っているみたいだし、解決に一歩近づいたと考えるしかないな」
「そうだね」
俺達にはやっぱり、最初の目的と同じ、ベルクヴェルクに向かうしかない。
「ここからベルクヴェルクは遠いのか?」
「そこまで遠くはないわ。あなたたちならすぐにたどり着くことができるはずよ」
そんくらいの距離まで歩いて来ていたのか。
なら、アビリティに頼めばリンクの空間魔法で向かう事が出来るか。
「アビリティ」
『ユウェル族の気配、探知完了。ワープ可能』
「あ、ありがとう」
は、早かった。
※
――――よっと。
空間魔法は、普通のワープ魔法より体への衝撃が少なく、楽。
でも、魔力を倍以上使うから、考えものなんだよなぁ。
距離が近くても、魔力の消費は激しい。
チート魔力を持っていなかったらマジで使えない魔法。チート魔力でよかった。
さて、目的地に到着したけど………。
「ここは?」
「洞窟の出入り口だね。中に入れば鉱物が沢山あって、ユウェル族が住んでいるはずだよ」
アマリアが確認のために、俺の肩と頭に乗っているレンとレイラに顔を向けると、小さく頷いた。
「この先を進めば、すぐにたどりつくわよ!」
「へいへい」
俺の髪を引っ張って操縦しようとするな。
抜ける抜ける。
しかたがないからアマリアと歩いて洞窟の中に。
ここは光が灯されているから割と歩きやすい。
寒くもないからアマリアにローブを返すと、いつもの少年の姿になって被った。
「やっぱり、浮いた方が楽なのか?」
「楽、小さい方が体も重たくないしね」
ふーん、どうでもいいけど。
コツ、コツと歩み進めていると、徐々に道が広くなっていった。
「…………なんか、話し声だの、何かがぶつかり合う音だのが聞こえてきたな」
「もう少しでたどり着くって事だね。さて、長がどんなものになっているのか、楽しみ楽しみ」
真顔で楽しみと言っているアマリアは軽く無視して歩き進めると、大きな広場的な場所にたどり着くことが出来た。
「よしっ、辿りつきっ――――」
――――ガコンッ。ガンッ!!!
っ、耳に突き刺さるような音!?
両耳を抑えていると、アマリアが前を指さしやがった。
このうるせぇ音、アマリアは大丈夫なのか? なかなかな音なんだけど。
「あれが長かな」
「中央に座っているドデカイ太っているユウェル族、あれが長なんだろうな。ところで、こんな耳が痛くなる音に囲まれているのに、アマリアは何で大丈夫なんだ?」
「ヒント、魔法」
「慣れか…………」
アマリアの魔法は”音”。
自分の魔法で耳は慣れているということかよ、くそっ。
不安そうに頭の上と肩に乗っていたユウェル族が地面に降り、俺達を案内するように歩き出した。
俺もついて行くと、歩きにくいから何度か転びそうになりました。
・
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・
・
・
「長! 近くを歩いていた人間を捕えました!」
あっ、俺、捕らえられていたんだ。
自分からここに来たはずなんだけど、おかしいなぁ。
「……………………」
ん? 長が何も話さないな。
「お、長?」
レイラも困惑しているみたい。
何も反応を見せないのだから、そりゃそうだよな。
俺も、どうすればいいのかわからない。
周りで鉱物を採る為、うるせぇ音を鳴らしていたユウェル族軍団も、今は静かに俺達を見ている。
なんか、この視線、気持ち悪いな。
「お、長!!」
再度レイラが名前を呼ぶと、やっと長が動き出した。
「あ、長!!」
やっと話が進む、そう思ったのもつかの間。
長の目は、俺を鋭く見てきた。
その目は、今まで何度も感じてきた。
何度も、何度も。
この視線は──殺気。
『――――――――見つけた』
低く、地を這うような声。
そんな、体を震わせるような声が響いたかと思った瞬間、周りを取り囲むようにいたユウェル族が、手に持っている鎌や鍬を振りかざし、一斉に襲ってきっ──……
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