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何もしていないのに攻撃されるのはおかしいだろ

「わたちはリトスじゃないわ!! レインよ!!」

「ぼくはレン、リトス、ちがうよ」


 ……………………目の前には、リトスと全く同じ見た目のユウェル族が二体。


 目を吊り上げているのが女っぽい話し方をしているユウェル族。

 不安そうに体を震わせているのがぼくっこユウェル族。


 …………うん。


「さて、アマリア。野良のモンスターは現れなかったらしい。俺の体力は回復したし、早く先に進もうか。早くアルカ達とも合流しないといけないしな」

「待ちなさい!! わたちたちを無視するんじゃありません!!」


 後ろから何か聞こえたような気がするが、気のせい気のせい。俺は無視して歩く。


「~~~~~~~わたちを無視すると痛い目見るんだからぁぁああ!!!」


 あー、はいはい。

 子供が何かを喚いているみたいだけど、俺は知らん知らん。


「知里、さすがに無視しない方がいいかも」

「警戒しすぎ、ただの子供のざれごっ――――と?」


 アマリアの声につられて後ろを振り向いちまったんだが、何故か影が上から降り注ぐ。


 ゆっくりと上を向くと、天井に足を突き刺し、子供が持てる訳がないほどの大きなハンマーを携え、ユウェル族の一体が俺を見下ろしていた。


「え、な、なに?」

「知里、ユウェル族もモンスターだよ。危害を加えられたと思ったらそりゃぁ、反撃、されるよね?」

「……………………」


 アマリアが自分に被害がない所でそんなことを言ってきやがった。


 今、そんなこと言われても……。

 つーか、今のって、危害を加えられた、に、該当するのか? いや、しないだろ。

 俺、何もしてない……。


「わたちのはなち、ききなさぁぁぁぁああい!!!!」


 大きなハンマーを振り上げ、天井から体と共に落ちてきただとぉぉお!?


 こんなの、きいてねぇぇぇよ!!!!!!


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


「はい、話を聞いてあげます。聞くから、その、振り上げているハンマー、下ろしていただけませんか?」

「ふぅー!! ふぅー!!」


 鼻息荒く、ハンマーを振り上げ続けているユウェル族、否、レイン。

 俺は、痛めた腕を摩りながら地面に正座。レインに頭を下げています。


「咄嗟だったとはいえ、炎を腕に纏ってダメージを軽減して防ぐなんてね。ここが地下だって事を配慮してくれて助かったよ」

「…………どーも」


 ここが地下ではなかったら、俺は確実にflame(フレイム)を魔力気にせずぶっ放していたであろう。それくらい、焦っていた。


 ここが地下という事で、俺は自然と体にセーブが走り、腕に炎を纏いハンマーを防いだんだけど……。


 流石にすべての衝撃を咄嗟の魔力で防ぎ切ることは出来なかったから、腕が痛い。

 でも、骨は折れていないと思うし、黙っていれば痛みは引くだろう、はぁ……。


「ふぅーふぅー!!!」

「わかったわかった。無視をして悪かったから、な?」

「ふぅー!!」


 まだ右手は痛むから左手で頭をなでてやると、やっと落ち着いて来たみたい。

 

 まったく、いい迷惑だ……ん?

 もう一体のユウェル族がテチテチと効果音を鳴らしそうな走り方でこちらに駆け寄ってくる。


 こっちのユウェル族の名前は、確かレイとか言っていたな。


「ね、ねえちゃん。この人間は、ぼくたちになにもしないよ。だから、おちついて」


 うん、何もしないよ。何だったら無視しようとしてたよ。

 無視しようとしたら、何故かハンマーを携えられて腕にダメージ食らったよ。


「わたちのはなし、聞いてくれるのかしら」

「聞かないと離してくれないのなら」

「なら、これはおいてあげる」


 ハンマーを置いたレインは、腕を組んでいる――――のか? 

 長さが足りなくて組めてないけど。


 まぁ、組んでいると想定して、偉そうに俺を見上げてきた。


「人間!!」

「はい」

「わたちたちの住処であるベルクヴェルクをすくいなさい!!」


 ん? 救いなさい? 

 なんだ、その言い方。


 冒険者により鉱物がなくなったから、俺に鉱物を生み出せとかだったら無理だぞ。


 俺は魔法を使えるようにはなったが、炎と水以外の物を作り出すのは不可能。諦めてくれ。


 茫然としていると、アマリアが不思議そうにレインに近付いて行った。


「救ってくれってどういう事?」

「今、ベルクヴェルクにはユウェル族の長がいるの! でも、ようすがおかちいの!」

「様子がおかしい?」


 アマリアがちらっとこちらを向く。

 向かれても特に、何か言えるわけじゃねぇぞ、俺。


 まぁ、何か引っかかるものは感じるけど……。


「なんか、別人みたいと言うか……。わたちたちを道具のようにあつかってくるの。今まではそんなことちなかったのに…………」

「…………そう」


 んー、長が、別人みたい…………か。

 それ、本当に別人になっているか、何かによって操られたとか。そのあたりが濃厚だろうな。


「それはいつからなんだ?」

「一か月前くらいからよ!」


 一か月かぁ。


「その一か月前、何か変わった動きはなかったか?」

「変わった動き?」

「そうだ。例えば、数日帰らなかったりとか、何かに執着し始めたとか。見た事がないものを持ち帰ってきたとか。いつもと違う動きをしてはいなかったか?」


 大体別人になる前って、本人がやりそうにない行動を起こしていることが多いだろう。


 変わった動きをしていたのであれば、そこに原因があるだろうし。

 何かを持って帰ってきたとかなら、それを壊せばどうにかなるはず。


「…………数日、お出かけはちていたわ。でも、それはいつもの事よ」

「何か持って帰っては来ていないか?」

「ないわ」

「帰ってきた時の様子はどうだった。帰ってきてすぐに違和感を感じたか?」

「違和感…………」


 レインが考え込むと、隣にいたレイが手を上げた。

 何か気になる事でもあったのか?


「ぼく、長が帰ってきた時、聞いた言葉がある…………」

「なんて言っていたんだ?」

「えぇっと……。たしか…………『あのお方のために』とかいってた」

「あのお方のために???」

「うん。でも、声が長の声じゃなかった。違う人の、声のような気が、した……」


 いや、あの――――誰。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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